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2009年1月20日 (火)

住宅支援の必要性

先日、事業場外見なし労働時間制の件でちょびっと批判させていただいた北岡大介氏(社会保険労務士・元労働基準監督官)が、ご自分のブログ「人事労務をめぐる日々雑感」で、

http://kitasharo.blogspot.com/2009/01/blog-post_19.html

早稲田大学主催「「貧困の拡大とセーフティネットの役割-雇用と社会保障の交錯」における岩田正美先生の問題提起を紹介しています。

>岩田先生は長年の貧困問題の研究から、我が国のホームレスの多くは、「会社が提供する寮・社宅から退去した者」であり、ここが欧米と大きく異なる点であると指摘した上で、次のような問題提起をされたと受け止めました(要旨 文責北岡)。

 
勤労者(広い意味)の住居は、長年企業に多くを依存してきた。企業の提供は福利厚生的な性格がある一方、会社の事情も多分に含んでいる。今後、勤労者住居は企業よりむしろ公的支援(住宅手当等)を検討すべき時を迎えているのではないか

これは、まさに本ブログでも最近何回か指摘した点です。北岡氏は次のような感想を述べています。

>従来、住宅支援の問題は建設省(現国土交通省)の担当とされ、厚生・労働省が展開する社会政策からは引き離されていました。社会分断を招くことなく、如何に社会政策として、住居喪失問題に対応することが可能か。先日のシンポジウムでは、西欧に見られる住宅手当等の公的給付などが検討課題として挙げられていました。配分できる財にも限度がありますが、政府・企業・地域社会・個人等が住宅に要する費用をどのように負担するのが公平妥当か、改めて考えさせられたシンポジウムでした。

このあたり、戦前の内務省では社会局(戦後の厚生省・労働省)で社会政策として住宅政策を所管していたのに、戦後業所管官庁たる建設省の所管となり、もっぱら建設業者の業界保護が中心になっていく経緯を調べてみたいところです。その建設省から、あの福井秀夫氏も出てくることを考えると、なかなか因果は深いのかもしれません。

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コメント

いつもかなりの共感をもって拝読させていただいている当該省関係者でございます。しかし、今回は、一言言わせていただきたく…。

>このあたり、戦前の内務省では社会局(戦後の厚生省・労働省)で社会政策として住宅政策を所管していたのに、
→ミスリーディングな言い方だと思います。関東大震災後の「同潤会」のような限られた取組を除いては、戦前に「住宅政策」と呼べるような代物があったとは言えないのではないでしょうか。

>戦後業所管官庁たる建設省の所管となり、もっぱら建設業者の業界保護が中心になっていく経緯を調べてみたいところです。
→ちょっとあんまりな言い方ではないかと。確かに労働省と接する部分の建設省というのはまさに「業所管官庁」としてのそれでしょうが、総じて見ると業法で仕事してる部分はごく一部なので、「業所管官庁」と言われるのは中の人間からするとやや違和感があります。
 それはともかく、戦後の住宅行政を「もっぱら建設業者の業界保護が中心」などと総括されてはやりきれません。住宅ストックの圧倒的な不足(と低い質)というのが戦後の課題だったのであり、これに対して、ブルドーザーとトンカチによる解決が求められたのは、少なくとも当時としては合理的だったのではないでしょうか。低所得層対象の公営住宅のみならず、中堅所得層を対象とする日本住宅公団までが国策としてつくられたのは、このような時代背景を抜きにしては理解できません。当時としてはとにかく「建てる」ことが正義であり、住宅設備の近代化といったおまけまで含めて、昭和30年代頃の住宅行政というのはそれはそれは輝かしいものではなかったかと。
 なお、現状については、北岡氏の指摘はよく理解できますよ。

>その建設省から、あの福井秀夫氏も出てくることを考えると、なかなか因果は深いのかもしれません。
→そんな因果ありませんよ。勘弁してください、本当に(泣)。

上記投稿とは全く関係なく、諸外国の住宅給付についてのご紹介を。
OECDが、こうした社会政策について、国際比較の可能なデータベースを公開していますが、

社会保障についてのデータベース http://stats.oecd.org/wbos/Index.aspx?datasetcode=SOCX_AGG

各種の給付の制度設計とそれが所得にもたらす効果についてのデータベース http://www.oecd.org/document/29/0,3343,en_2649_34637_39618653_1_1_1_1,00.html

日本語になっているものとしては、
社会保障の最新の状態については、社会保障・人口問題研究所の「海外社会保障研究」の最新の165号に「社会保障費の国際比較統計― SOCX2008ed.の解説と国際基準の動向 ―」が、
給付と所得については、『図表でみる世界の最低生活保障OECD給付・賃金インディケータ』(OECD 編著 日本労働組合総連合会(連合)総合政策局 訳 明石書店 版)があります。

住宅政策は戦後の出発点として、まず戦災復興として大量の住宅供給が必要だったということがあります。
(絨毯爆撃での大量の住宅の焼失、大量の植民地からの引き揚げ・復員兵等々)

ここで求められたのは住宅の大量供給。
(材木供給が追いつかず建築用材の大量育成が求められた結果、我が国の山林は杉だらけになり、今日の林業や杉花粉といった問題が生じる原因となりました。)

量が満足してくると、質へ。
質もある程度満たされてくると、個性、個性から次は長期優良(か?)と住宅政策が流れていきます。

戦後の出発点としては、ある種の社会政策としての住宅供給政策があったことは間違いありません。それは労働者保護のためというより、住居が消失していて住むところそのものがないことへの対応だということです。
(戦後復興が落ち着けば急激な人口増への対応に移行します)

量がある程度満たされて質やら個性やらといった点に住宅供給の力点が置かれると、どうしても業界保護的になってきます。
戦後急増した建設業界に、もう十分だから倒産してください、とは言えませんからねぇ。

補足ですが、福井センセイだったらどういうことを言うかと言えば、

・良質の賃貸住宅が十分に供給されないのは、借地借家法が借主側を過度に保護しているからである。
・よって借地借家法の規制を緩和(撤廃?)すべし。
・そうすれば公共住宅の直接供給など不要。
・貧困層には金銭給付すればいい。
といったところかと。

主張の当否はともかく、建設省チックな思考からはほど遠いでしょう?

住宅政策については私はまさに「一知半解」ですので、うかつなことを書いて関係者のお怒りを買う結果になったようです。申し訳ありません。
ただ、戦後住宅政策についてはまさに無知ですが、戦前の社会局の住宅政策についてはいくつか読んで、どうしてこれが戦後厚生省に受け担がれなかったのだろうかという疑問を抱いていたのも確かなので、一知半解を一歩進めるべく、時間が空いたときに勉強してみたいと思います。

私も住宅政策には詳しいわけではありませんので、かえって恐縮です。

まあ、公営住宅法の制定時にはやはり権限争い的なこともあったようですし、その結果かどうか、平成に入ってからの大改正の前まであった第一種・第二種の区別(第二種のほうがより低所得者対象)では、第二種公営住宅に関しては厚生大臣との協議といった規定もあったようです。

なにやら本職の方とのやりとりに割り込んでしまってますが、国会会議録検索システムで「住宅政策 社会局」で検索して出てくる「昭和25年11月14日 参-建設委員会-閉8号」の24番目の植田俊雄氏の答弁で何となく経緯がわかりました。

「○説明員(植田俊雄君)・・・御承知の通り建設省も厚生省も元は内務省から一つは早く分れ、後者は内務省解体後に分れたという関係でございまして、元は同じ系統の役人でやつておるわけでありまして、御承知の通り厚生省ができました後の住宅行政、建築行政という問題は、内務省がいわゆる建築監督的な行政をやり、厚生省は福利事業の一環としまして戰争中労務者住宅が不足いたしました際に、この住宅政策というものを厚生省で取り上げたのでございます。
・・・かように二つの部門に分ちまして建築行政、或いは住宅行政というものを分担いたしておつたわけでございますが、戰災復興院というものができます際に、厚生省にありました住宅政策というものが戰災復興院に一本になりまして、それが建設省にそのまま引継がれて来ておるわけでございます。」

「・・・、住宅政策というものは厚生省でやつたら社会政策的に運営され、建設省でやつたら社会政策的に運営されないといつたような性質のものではないと存ずるのでございます。」

「・・・建設省はただ家を建てるだけを本旨とするものでは決してございません。家を建てる際には社会一般の需要というものを考えまして、国民の需要に合うような家を建て、それを供給するということを本旨といたさなければならんと考えるのであります。」
・・・
「・・・現在の庶民住宅にいたしましても、海外引揚者が二七%、戰災者が四七%というふうに引揚者なり戰災者なりに十分考慮をしながら入居者を選定している事情でございますので、・・・。尚一つの住宅政策を省を多く分けて担当いたしますのには、その担当の技術官の数も殖やさなければならんということになりますし、一つの仕事を余り多くの役所で分担していたしますよりも、一つの省でまとめてやる、但し他の省のそれぞれの要望につきましては、担当省が十分考慮してやつて行きさえすれば、そういう摩擦がなくて済むのじやないかというふうに考えておりますので、私共の方の立場といたしましては、厚生省の要望を十分取り入れながら住宅政策をやつて参りたい。」

「こういうことで住宅を建てるということについては、飽くまでも建設省で公共事業費の枠の中でやつて行きたい、かように考えている次第でございます。」

23番目の越田得男氏の答弁も見ると、何年経っても課題はいっしょやなぁと。

日本では低所得者が住宅難で苦しむ一方で、空き家はどんどん増えているとのこと。

空き家率の将来展望と空き家対策
富士通総研 上席主任研究員 米山秀隆  2012年5月
http://jp.fujitsu.com/group/fri/downloads/report/research/2012/no392.pdf

「日本の住宅市場は、住宅取引件数に占める中古住宅の比率が13.5%(2008年)と、アメリカやイギリスが80%前後であるのと比べて極めて低く、この比率を高めていくのは容易ではないという問題がある。」

>・そうすれば公共住宅の直接供給など不要。
>・貧困層には金銭給付すればいい。
といったところかと。

今後増加が見込まれる身寄りの無い老人はどうするんでしょうね。

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