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2009年1月 6日 (火)

病膏肓に入ったギョーカイ主義のなれの果て

朝日新聞が昨日の夕刊、今朝の朝刊と、勝ち誇ったように製造業派遣禁止の記事を1面トップに持ってきていますな。

http://www.asahi.com/politics/update/0106/TKY200901050324.html

>東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に社会的な関心が集まったことなどを受け、派遣労働の見直しが政治の焦点に浮上してきた。舛添厚生労働相は5日の記者会見で、製造業への派遣を規制すべきだとの考えを表明。民主党も独自の労働者派遣法改正案をまとめる方向で調整に入った。

>民主党も製造業派遣規制に踏み込む。同党は労働組合を支持基盤とするだけに、これまでは「さらなる失業を招きかねない」と消極的だったが、予想を超える雇用情勢の悪化で方針転換を迫られた。共産、社民、国民新各党はかねて製造業派遣原則禁止を掲げており、小沢代表は4日、「4野党でしっかりまとめないといけない」と党幹部に指示。野党共闘を優先し、法改正の検討に入ることになった。

 民主党政調幹部は「製造業で派遣切りが相次いでいることは事実。年度末の決算期に向けてさらに派遣が厳しい状況になるのは間違いない。そのままというわけにはいかない」と明言。派遣労働者への雇用保険適用などセーフティーネット強化策とあわせて検討する。菅直人代表代行は5日、「派遣村」の参加者らと国会内で開いた緊急集会で「まさに人災。大きな責任が野党を含む政治にある」と強調した。

現行の労働者派遣法に労働者保護の面で問題があるからといって、なんでそれがギョーカイ規制になるのか。

労働者保護を問題とすべきところで、労働者保護が出てこずに、ギョーカイ規制がしゃしゃり出てくるというのが、日本のギョーカイ主義の悪い面だということが未だにわからないのか。

タクシーの運転手の労働条件を労働規制の強化で何とかしようとする代わりに、すぐにタクシーギョーカイの需給調整でなんとかしようとする、医師の労働条件に問題があるというと、すぐに医師の需給がどうたらこうたら。以下すべて同じ。

もちろん、労働法規制だけではいかんともしがたい面も世の中にはある。しかし、労働問題を解決するときに真っ先に検討されるべき労働者保護をほったらかしておいて、ギョーカイ規制ばかりがあたかも唯一の解決策のごとく(それも労働者のためにやっているんだぞと云わんばかりのやり方で)持ち出されるというこの愚劣さ。

ここはあえて連合に問いたい。特定の産業別組織ではなく、すべての産業の労働者を代表する立場として、もし派遣労働というのが禁止しなくちゃいけないくらい悪いものならば、なんである産業ではそんな悪いものを禁じておいて、別の産業では許すのか。

今の派遣法は大変問題がある。国会に提出されている改正案も不十分だ。労働者の立場からすれば、それはまさにその通りだろう。その解決がなぜギョーカイ主義になってしまうのか。製造業だけ救われればいいのか(実は単なる派遣禁止では請負に流れるだけで救われもしないが)。非製造業で働く多くの派遣労働者に対して、説明責任があると思わないか。

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コメント

労働法規制の方が費用対効果が高ければ労働法で規制し、業界規制の方が費用対効果が高ければそっちを使えばいいだけでしょう。なにをそんなに熱くなっているのか意味不明です。

たとえばタクシーで、具体的にどうすれば現在の異常事態を解決できるのか示してください。それなしにいくら吠えても無意味です。

「吠える」と言うのは何を指して言われているのか判然としませんね。
私は上述の通り、派遣労働規制を業務規制でやろうというやり方に対しては「熱く」なっていますが、あなたの関心事項らしいタクシー事業がうまく運営できるかどうかには関心はありません。あくまでも、労働者保護という目的を実現するためにまず第一に追求されるべきは労働法規制であって、それを抜きにして事業規制が先に来るのはおかしいという一般論を言っているだけです、
タクシー運転労働者の賃金労働条件の改善のためには、まずは労働法規制を限界までやってみて、それでも駄目ならまずは労働法規制の強化をできる限りやってみて、それでも駄目なら事業規制という順序なんじゃないですか。
実際、労働集約的産業であればあるほど、事業規制で労働規制を補完する必要性は高まるとは思います。具体的なタクシー事業で、どこまでいけばそうなのかを語るだけの知識を私は持ち合わせておりませんし、あなたと「熱く」議論する気もありません。
ただ、タクシー運転労働者の労働条件が話題になるたびに、労働法はどこへやら需給調整ばかりが話題になるというのは、あまり健全な傾向ではなかろうと考えているだけです。

(追記)
個人的には、労基法の解釈上、歩合給をどこまで認めるのかという議論をやり直してもいいのではないかと考えていますが。

なお、

>労働法規制の方が費用対効果が高ければ労働法で規制し、業界規制の方が費用対効果が高ければそっちを使えばいい

というわけにはいきません。業界の発展を第一義に考える官庁が、その業界の発展に差し支えが出る可能性のある労働者保護機能を同時に行使することは、利害相反の危険性があり、原則として避けるべきです。

実際、鉱山保安は、かつて「石炭増産のため」労働行政から商工行政に移管されましたが、それが炭鉱労働者の幸福につながったとは言い難いと思います。

あなたの言う「費用対効果」の「効果」というのが純粋に100%タクシー運転労働者の労働条件だけなのか、まさかタクシー業界にとっての「効果」なんてものが入っているなんてことはないのか、その辺が気にかかるところです。

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