第171回国会における麻生内閣総理大臣施政方針演説
政策よりも政局が大事というような人は別にして、この総論はなかなかいいことを言っていると思いませんか。
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/01/28housin.html
>今回も、私たちが自らの生き方を選び、「この国のかたち」を創ります。目指すべきは、「安心と活力ある社会」です。世界に類を見ない高齢化を社会全体で支え合う、安心できる社会。世界的な課題を創意工夫と技術で克服する、活力ある社会です。
そのために、政府は何をなさねばならないか。私たちは、この点についても既に多くのことを学んでいます。それは、「官から民へ」といったスローガンや、「大きな政府か小さな政府か」といった発想だけでは、あるべき姿は見えないということです。
政府が大きくなり過ぎると、社会に活力がなくなりました。そこで多くの先進諸国は、小さな政府を目指し、個人や企業が自由に活動することで活力を生み出しました。しかし、市場にゆだねればすべてが良くなる、というものではありません。サブプライムローン問題と世界不況が、その例です。今、政府に求められる役割の一つは、公平で透明なルールを創ること、そして経済発展を誘導することです。
もう一つの政府の役割は、皆が参加できる社会を創ること、そして安心な社会を実現することです。
日本は、勤勉を価値とする国です。この美徳が、今日の繁栄を築きました。それを続けるためにも、高齢者、障害者や女性も働きやすい社会、努力が報われる社会を創ることが重要です。また、競争に取り残された人を支えること、再び挑戦できるようにすることが重要です。
この点において、我が国はなお不十分であることを認めざるを得ません。日本の行政は、産業の育成には成功しました。これからは、政府の重点を生活者の支援へと移す必要があります。
国民の安心を考えた場合、政府は小さければよい、というわけではありません。社会の安全網を、信頼に足る、安定したものにしなければなりません。中福祉を目指すならば、中負担が必要です。私は、景気回復と政府の改革を進めた上で、国民に必要な負担を求めます。
現在の豊かで安全な日本は、私たちが創ったものです。未来の日本もまた、私たちが創りあげていくものです。過去二回がそうであったように、変革には痛みが伴います。しかし、それを恐れてはなりません。暗いトンネルの先に、明るい未来を示すこと。それが政治の役割です。良き伝統を守り発展させる。そのために改革する。それが、私の目指す真の保守であります。
私は、世界にあっては「新しい秩序創りへの貢献」を、国内にあっては「安心と活力ある社会」を目指します。
政局しか見えない愚劣な週刊誌的感覚で論じられたくはない貴重な提起であると思います。こういう考え方と、コームイン改革が現下日本の最重要課題と心得るような政治家とどっちが大切であるかは、政局に目をくらませない限り明らかだと思いませんか。もちろん、各論はいろいろ議論があるところですし、私も異見があるし、それは様々であるところでしょうが。あるいは、この哲学をより正しく実行できるのは麻生総理より自分だという議論は大いにしていただいてかまいませんが。
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初めてコメントを書かせていただきます。ちょくちょくこのブログを拝読させていただいております。とても勉強になります。
麻生総理の施政方針演説については、私も中身自体はいいことを言っているなと思いました。
私は一地方労働行政の職員で、最近は仕事のやりがいがますます強くなる社会経済情勢になってきていると感じていますが、職員数は減らされるばかり。本当にこの施政方針の哲学が体現され、やりがいに応じた体制を作ってもらいたいなと感じます。
投稿: yi | 2009年2月 1日 (日) 13時03分