フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

« 組合弱体化の原因としての人権的把握 | トップページ | 労働者派遣法の経緯と動向について »

2008年12月 9日 (火)

新たな雇用対策

本日公表された「新たな雇用対策」が、官邸HPに掲載されています。

http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2008/1209koyou.pdf

>世界金融危機は実体経済にも深刻な影響を及ぼしてきており、倒産件数が10月に5年5か月ぶりの水準を記録する中で有効求人倍率は9か月連続して低下し、雇用状況は悪化しつつある。
このような状況の中で、昨今、派遣労働者等の雇い止め・解雇、新卒者の内定取消など、さらに深刻な問題が生じており、今後、一層の雇用の悪化が懸念される。
このような雇用情勢に対応するため、麻生総理大臣の指示の下、与党において「新たな雇用対策に関する提言」(平成20年12月5日、与党新雇用対策に関するプロジェクトチーム)がとりまとめられた。
政府としても、同提言を踏まえつつ、離職者の住宅の確保も含め、年内に実施できる施策を早急に実施するとともに、今後の2次補正予算及び平成21年度予算の編成等に取り組み、政府が一体となって必要な施策を実施するものとする。
なお、今後3年間実施していく事業については、雇用状況等を踏まえつつ、各年度の予算編成過程において適切に対処するとともに、雇用保険の国庫負担の在り方については、今後、平成21年度予算編成過程において検討する

で、その与党のプロジェクトチームの提言がそのまま載せられています。

>我々は、このような危機意識を持った上で、雇用創出のための産業政策、公共投資をはじめ国の各般の施策を総動員しなければならない。まず、財政出動、政策減税による需要喚起を行い雇用を創出することが求められている。また、新たな成長への道を切り拓いていくという国家的なビジョンに立ち、新たな産業分野の開拓が必要である。さらに、離職を余儀なくされる労働者を、今後労働需要が見込まれるが人手不足状態にある医療・福祉分野に吸収することなどでミスマッチを解消していくこととする。
このような需要喚起等による雇用創出を行った上で、雇用のセーフティネットの万全を期すため、非正規労働者をはじめとした社会的弱者の雇用の下支えを行いつつ、雇用保険制度についても適用拡大や給付改善等の機能の大幅な強化を行っていく必要がある。

きわめてまっとうな現状認識であり、的確な処方箋であるというべきでしょう。最近、すべてが政局みたいな雰囲気が瀰漫していて、こういう政策文書をきちんと読んで、立派なことをいってるじゃないかと評価しようという雰囲気が薄れているような感じですが、どういう政権の状態であろうがなかろうが、的確な政策は的確だと評価する精神は必要でしょう。

>今般、麻生総理より、
①非正規労働者をはじめとする労働者の雇用の維持
②雇用を失った労働者に対する再就職支援
③新卒者への内定取消問題への対応
を中心に雇用の安定に向けた更なる対策について報告するよう指示を受けたところであり、我々は、100 万人を超える雇用の下支えを実施すべく、別添のとおり、対策を取りまとめた。政府においては、予算措置や次期通常国会への改正法案の提出を含め、すみやかな政策実現を求めるものである。

というわけで、その具体的内容は:

現下の厳しい経済状況や雇用失業情勢を踏まえると、雇用の安定に向けた対策を今後3年間実施していくため、雇用保険2事業で1兆円規模、一般財源で1兆円規模、総計2兆円規模の予算を確保するものとする。当面、二次補正及び来年度予算での対応として、以下の対策(雇用保険2事業では3年間で総額1兆円規模、一般財源は二次補正で1500億円)を講じ、雇用創出のための基金額としては過去最大の4000億円を措置すること等により、生活対策による60万人に加え、80万人分の雇用下支え強化を行い、『140万人の雇用下支え』を図ることとし、一般財源の残り8500億円は、雇用失業情勢等を踏まえ適時適切に支出を行うこととする。

1.雇用維持対策(雇止め対策を含む)
派遣労働者等の雇止め・解雇や新規学卒者の採用内定取消しの問題を踏まえ、非正規労働者の雇用維持、派遣労働者の直接雇用の促進、中途解約の防止や再就職についての指導、相談等の対策を抜本的に強化し、企業の雇用維持支援に万全を期す。

2.再就職支援対策(雇止めに係る者の対策を含む)
雇用保険のセーフティネット機能の強化、地域の実情に応じた雇用機会の開発、派遣労働者等へのワンストップによるきめ細かな相談・援助、住宅の確保、職業訓練の拡充等の対策を強化し、円滑な再就職を促進する。

3.内定取消し対策
採用内定取消しは、本人に大きな打撃と失望を与え、社会全体にも大きな不安を与えるものであり、企業指導の強化、悪質企業名の公表、内定を取り消された者への支援、22年3月卒業予定者に対する就職支援対策の強化を迅速に実施し、新規学卒者の雇用の安定を図る。

このうち、雇用保険の改正は、

① 雇用保険制度の機能強化
非正規労働者のセーフティネット機能・再就職支援機能の強化を重点に、以下のような雇用保険制度の見直しを行う。雇用保険の国庫負担については、雇用対策に政府が責任を担うべきであることから、その廃止・削減を行うべきでない。
1) 非正規労働者に関する適用基準である「1年以上の雇用見込み」を「6か月以上」に緩和し、適用範囲を拡大する。
2) 契約更新がされなかった有期契約労働者の受給資格要件(現行1年)を6か月に緩和し、6か月以上1年未満で雇い止めされた労働者も給付の対象とするとともに、特例的に給付日数を解雇等の離職者並みに充実する。
3) 年齢、地域を踏まえ、特に再就職が困難な場合についての給付日数を特例的に60日分延長する。
4) 安定した再就職へのインセンティブ強化のため、早期に再就職した場合に支給される再就職手当等について特例的に給付率を引き上げるとともに、一部受給要件を撤廃する。
5) 育児休業給付の暫定措置(給付率50%と10%引き上げ)を継続するとともに、全額を休業期間中に支給する。
6) 失業給付受給中に職業訓練を受講する者に対する手当を引上げる。

というものですが、はっきりと「国庫負担については、雇用対策に政府が責任を担うべきであることから、その廃止・削減を行うべきでない」と言い切っています。

労働政策に対する見当はずれの攻撃から始まった雇用保険法改正の議論が、雇用情勢の急転で、見事に逆転したようです。

⑦ 住宅・生活支援対策の全国実施
社員寮の退去を余儀なくされた離職者等について、住宅入居初期費用等の貸与を全国で行うほか、廃止決定していない雇用促進住宅を最大限活用する。

昨日も書きましたが、ここ数年来、労働政策に対する憎悪感をたぎらせて雇用・能力開発機構を攻撃しまくってきた方々からすると、ここにきて「雇用促進住宅を最大限活用」というようなまっとうな政策が打ち出されてきたことは切歯扼腕でありましょうな。

⑧ 離職者訓練の実施規模の拡充等
失業者の増大に備え、離職者訓練の訓練定員を大幅に増加する。また、若者が基礎的能力を習得するための訓練等若年者の訓練期間中の生活保障給付を拡充する。

ごく最近まで、同機構の職業訓練機能すら潰せ潰せという声が囂しかったことを考えれば、こういうまともな政策がきちんと政府与党の中枢で明記されたことは、やはり不況は人間を冷静にするということなんでしょうね。

参考までに、「公共職業訓練を守る会」というのがあって、共同アピールというのを出していますので、紹介しておきます。

http://minoaki2001.web.officelive.com/default.aspx

http://minoaki2001.web.officelive.com/chishikijin.aspx

« 組合弱体化の原因としての人権的把握 | トップページ | 労働者派遣法の経緯と動向について »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新たな雇用対策:

« 組合弱体化の原因としての人権的把握 | トップページ | 労働者派遣法の経緯と動向について »