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2008年12月22日 (月)

間違っても自律的回復に委ねるといった新自由主義的発想に回帰するようなことがあってはならない

「転向」か「回心」か、いずれにしても大きく改心された中谷巌氏の「正論」が産経に載っています。

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/081222/fnc0812220307000-n1.htm

さすがに、万邦無比の我等が縄文文明(!)は出てきませんで、まっとうな経済政策論議になっております。

>言うまでもなく、今回は戦争による不況克服は望めないし、望ましくもない。そうだとすると、今次の世界大不況を克服するためには、戦争によって発生するであろう軍需に匹敵するくらいの巨大な需要創造が必要になる。その規模がどれくらいになるかは正確にはわからないが、はっきりしているのは米国一国の財政出動だけでは到底不十分だということである。おまけに、米国だけが巨大な財政赤字を続ければ、ドル過剰、ドル暴落という新たなリスクを世界は抱え込むことになる。

 重要なことは、日本を含む世界各国がこのことを深く認識し、協調して大規模な財政出動に踏み切ることである。間違っても自律的回復に委ねるといった新自由主義的発想に回帰するようなことがあってはならない。グローバル資本を国境を越えて自由に動き回らせることが「正義」であるとした新自由主義こそ、今回の危機の主たる原因であることを思えば、それは間違いなく自滅行為である。

 日本を含め、どの国も財政事情に余裕がある国はそう多くないが、今はそんなことを言っている時期ではない。今必要なことは、各国政府が一丸となって大きな財政出動に踏み切り、人々の将来に対する自信を回復させ、前向きに行動させるように仕向けることである。これができなければ、世界経済は長期にわたる大不況を甘受しなければならなくなるだろう。可能ならば、地球環境を劇的に改善できるような分野に重点的に財政資金を使うという国際合意ができれば一石二鳥である。

 将来に向けてもう一つ、避けて通れないより本質的な課題は、「グローバル資本主義」という考え方にどのような「歯止め」をかけるべきかという問題であろう。今回の危機を通じて、グローバル資本という「モンスター」を自由に動き回らせることがいかに危険であるかということをわれわれは学んだ。

>アジア通貨危機は、グローバル資本がちょっとした情勢の変化をきっかけに大量に流出したために発生した。今回も、アイスランドのような小国に分不相応な巨大な資金が流入し、一時期、同国は未曾有の繁栄を享受したが、今度は一転して、それら資本が大挙して流出したため、国の存亡を問われるほどのダメージをうけた。

 このように、グローバル資本という名の「モンスター」に「鎖」をつけないことには世界経済は、今後とも極度に不安定な状態に身を任せざるを得なくなる。しかし、人類が「自由」という禁断の実を食べてしまった以上、人間は「自由」を完全に捨て去ることはできない。「自由」のない計画経済では元も子もなくなる。

 他方、だからといって、資本の側から出され続けるであろうとめどもない「自由」への要請に対して、適度の自制を求めるような強力な国際的取り決めができなければ、世界経済は「自由」によって滅びることになるだろう。

 子供が父親からの厳しい躾(しつけ)なしには健全な大人として育ちえないように、グローバル資本主義が健全な地球市民として成熟するためには、それ相応の厳しい国際的な規制が必要なのである。この点についても、国際協調は待ったなしである。少なくとも、規制などなければないほどよいという「市場原理主義」とはわれわれはもうそろそろ決別しなければならないのである

中谷氏の近著については:

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-3779.html(中谷巌氏の転向と回心)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-2350.html(中谷巌氏の「回心」再論)

ついでに、以前産経に載った中谷氏の「正論」にも触れた小文:

http://homepage3.nifty.com/hamachan/shain.html(「社員」考)

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コメント

国家規模の徴税と金融という大きな規制が存在している限り、
「それは自由経済ではない」という当然の事実がある訳です。
リバタリアン的には。

投稿: tamutamu | 2008年12月23日 (火) 00時46分

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