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2008年12月26日 (金)

仕事の社会的レリバンス

もう一つ、JILPTの雑誌の紹介。学術的な『日本労働研究雑誌』の方です。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/01/index.htm

特集は「派遣社員の適正なマネジメントに向けて」で、

提言 雇用の原則に立ち返る
高木 剛(日本労働組合総連合会会長)

解題 派遣社員の適正なマネジメントに向けて
編集委員会

論文 労働者派遣をめぐる法的問題
皆川 宏之(千葉大学法経学部准教授)

製品開発における派遣技術者の活用―派遣先による技能向上の機会提供と仕事意欲
佐野 嘉秀(法政大学経営学部准教授)

高橋 康二(東京大学大学院人文社会系研究科)

派遣労働者のキャリア形成に向けて―ヒアリング調査による考察
松浦 民恵(東京大学社会科学研究所特任研究員)

製造業務請負の事例に見る業務請負適正化の課題
木村 琢磨(大阪経済大学経営学部専任講師)

紹介 フランスにおける派遣社員への職業能力開発支援の取り組み
中道 麻子(早稲田大学産業経営研究所助手)

と、興味深い論文がてんこ盛りですが、ここでは特集記事じゃなく、

座談会

平成20年版労働経済白書をめぐって―働く人の意識と雇用管理の動向

石水 喜夫(厚生労働省労働経済調査官)

伊藤 実(JILPT統括研究員)

野田 進(九州大学法学研究院教授)

守島 基博(一橋大学大学院商学研究科教授)

の方を紹介したいと思います。

白書の中身はもういいでしょうから、興味深い発言をいくつか。働く目的がお金を得ることというのが多いという白書の記述に対して、守島先生曰く、

>経済要因や金銭要素と働きがい、生き甲斐という対立で考えてはいけないんだろうと考えます。

>私がもっと大きい問題だと思うのは、先ほど議論も出ていましたが、働くということと社会との結びつきというのが、お金といっても、それから生き甲斐を見つけるといっても、どっちにしても失われているように思うんですね。

>つまり、どちらにしても自分個人に対しての価値なのです。働くということが社会の中でどういう意味を持つのか、意義があるのか、自分が働くということは社会にとってどういうインパクトがあるんだろうかと、そこまでいうと少し大げさかもしれませんが、・・・多分、ほとんど考えられていない。

>日本の企業というのは、これまで働く人たちを囲い込み、囲い込みとやってきすぎた。その結果、一つの企業に入って安定的な雇用と収入を得るというのが、すごく大きな目的になってしまう。でも、それが否定されると、今度は、生き甲斐などの自分にとっての非金銭的価値に注目する。結局、どこまで行っても、社会にとってどういう意味やベネフィットがあるのか、というところを考えていない・・・。

>ですから、お金か生き甲斐かという対立は、そんな問題ではないというか、あまり大きな変化ではない。それよりも今いったような社会性のなさというところが、学校教育なども含めて今後は一つの大きな論点になるように感じています。

仕事の社会的レリバンスとでもいいましょうか。すごく本質的なことをずばっと指摘されています。

それがまた、白書でも指摘されている教育の職業的レリバンスの欠如という話につながるのでしょう。

>内閣府「世界青年意識調査」をみると、学校に通う意義として、「職業的技能を身につける」ためと思う者の割合は、日本は先進国で最低の水準にある。(第2 -(1)- 24図)。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/08/dl/02_0001.pdf(労働経済白書第2章第1節)

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