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2008年12月13日 (土)

第19回労働トップフォーラム

昨日から本日にかけて、関西生産性本部と連合近畿地方ブロック連絡会の共催による「第19回労働トップフォーラム 持続可能な社会の実現に向けて ~労働組合の責任と行動~」に出席してきました。

http://www.kpcnet.or.jp/seminar/index.php?mode=show&seq=61

全体の構成は

12月12日(金)
13:00〈開会挨拶〉
    財団法人関西生産性本部 会長 大 坪   清
    連合近畿地方ブロック連絡会 代表幹事 川 口 清 一

13:20〈来賓挨拶〉

13:30〈特別講演〉「夢を追い続けること」
    北京オリンピック 銅メダリスト 朝 原 宣 治 氏

14:30 休憩

14:45〈問題提起〉「労働組合の責任と行動」
~持続可能な社会の実現に向けて~
    東京大学 社会科学研究所 教授 佐 藤 博 樹 氏

16:10〈分科会〉
   【第1分科会】(組合・組合員の視点)
   「より明るく楽しい、やり甲斐のある職場づくり」
    (ゲスト)
    労働政策研究・研修機構統括研究員 伊藤 実 氏

   【第2分科会】(社会全体の視点)
   「持続可能な社会保障のあり方」
    (ゲスト)
    大阪大学大学院 人間科学研究科 准教授 斉藤 弥生 氏

   【第3分科会】(雇用と労働の視点)
   「持続可能な働き方とは」
~熟壮青、男女、国籍を問わず、働く者が活き活きと
働き続ける社会に向けて~
    (ゲスト)
    労働政策研究・研修機構 統括研究員 濱口 桂一郎 氏

   【第4分科会】(地球環境の視点)
   「地球環境問題に対する労働組合の役割」
    (ゲスト)
    NPO法人奈良ストップ温暖化の会 理事
    奈良県地球温暖化防止活動推進センタースタッフ 井上 雅由 氏

19:00~〈懇親会〉※分科会ごとに行います

12月13日(土)
9:00 1日目に引き続き、分科会による議論を実施

11:30 各分科会により、10分程度の報告と質疑応答
    (進行)
    東京大学 社会科学研究所教授 佐藤 博樹 氏

12:10〈まとめ〉
    「労働組合の責任と行動」~2日間の議論を踏まえて~
    東京大学 社会科学研究所教授 佐藤 博樹 氏

12:50(閉会挨拶)
    財団法人関西生産性本部 労働政策委員会 委員長 本 田 敏 一

私は、上の通り、第3分科会のゲストということでした。

議論は主として、正規と非正規の問題、ワークライフバランスの問題に集まりました。

最初の来賓挨拶で、山田京都府知事が昨今の雇用危機に触れたあたりの語り方は、さすがと思いましたね。

あと、特別講演された朝原宣治さんからいただいた名刺が、

>大阪ガス株式会社

人事部人事サービスチーム

副課長

朝原宣治

(以下会社の住所電話FaxEmail)

となっていて、左上に「大阪ガス」のロゴ、右下に「ウィズガス」のロゴ、といういかにもサラリーマン的名刺でありました。

分科会の議論のまとめとして報告したのは、おおむね次のような話です。

働き方の持続可能性ということで論じられたのは、正規・非正規の間の壁の問題と、正規の中のワークとライフの壁です。

しかしこの二つの問題はつながっています。女性にしろ、若者にしろ、あまりにもディマンディングな正規の働き方に耐えきれずに非正規を選ぶという話がありますが、それだけでなく、50代の男性正社員が早期退職して、同じ職場にアルバイトとして戻ってきたという話がありました。責任が少なくなって楽になったと喜んでいると。

また、かつては近所で葬式があるから休みますというのが結構あった、という話もありました。そういう地域社会の「ライフ」は尊重されていて、会社が「ワーク」を求めると、そんな会社にはいかないと。昔はそういうムラ的なワークライフバランスってのがあったんですね。それが、都市化が進み、個別化が進んで、ライフも会社の中になった。そういう会社的ワークライフバランスが崩れてライフが薄れてきたと。そこで、新たなワークライフバランスが求められているということでしょうか。

アメリカのビッグ3の救済案が、賃金引き下げに組合が反対してつぶれたという報道がありましたが、詳細はわかりませんが、日本なら、会社がつぶれるというときになんだという話です。アメリカの敵対的労使関係文化の問題点でしょうが、しかし、アメリカとは違う意味で日本の組合も問われていることがあります。非正規がどんどん切られているときに正社員の賃金を削って非正規に回そうという話にならないのか。

日本の企業別組合にはいろいろとメリットがありました。会社コミュニティの中でスキルが上がっていくし、精神的安定感が得られる。これが崩れてくると、精神的不安定になってメンタルヘルスにつながるという面があります。一方、会社コミュニティの中で責任感が高い人ほど働き過ぎになる。それが行き過ぎてメンタルヘルスになるという面もある。それが相乗作用となって、会社の中の精神状態がかなり危うくなってきているような気がします。

両者に矛盾があることをふまえてバランス論が必要でしょう。

少し刺激的なことをいうと、解雇にどう対応するかという議論もする必要がある。今まさに、内定取り消しや非正規労働者の打ち切り雇い止めが行われているわけですが、例えば、今大学4年や高校3年の人は内定取り消しに遭っている、今年入社した人は久しぶりの売り手市場でかなり楽に就職している、その一回り上の人たちは就職氷河期で未だに非正規でやっている、というような情況で、たまたま今年入った正社員の雇用(だけ)を守ることが、どこまで「正義」なのかという問題です。

世の中には、およそ解雇規制はことごとく撤廃せよ、というような暴論をはく人たちがいて、そういうばかげた暴論に反論している分には、こちら側の矛盾は露呈しないのですが、しかし誰かに犠牲になってもらわなければならないというときに、むかしの主婦パートやアルバイト学生が非正規の中心であったときと変わらずに、単純に非正規を犠牲にして正規だけの雇用を守れといえるのか、これは再考するべきところでしょう。

持続可能性ということで考えるべきは、労働組合、労働運動の持続可能性でしょう。その際、ポリシーを論じ決める局面と、それを現実に落とし込んでいく局面の違いを念頭に置いた上で、現実に足をつけた、しかし現実に足を取られない的確なポリシーを打ち出していく必要があると思います。ややもすると、現実に足がついていない空論をナショナルセンターで出すけれども、現実にどっぷりつかった単組では全然読まれないという事態に陥りがちで、そこで産別や地域組織の意義があると思うのです。

佐藤博樹先生、この問題に関連して、正社員も非正社員も一律に、勤続期間の短い人から解雇するということにした企業(つまり上の今年入った正社員の方が、永年勤めた非正社員より先に首になる)の例を挙げて、それでその正社員が裁判所に訴えたら、整理解雇法理に従い、「フリーターの首も切らずに正社員を解雇するとはけしからん」ということになってしまうけど、それでいいの?」と問いかけていました。

どこまで話が伝わったかは別として。

(追記)

これって、最近はやりのトリアージの応用問題でもあるんですね。災害医療で資源の制約がある時に、誰の命を優先的に救うべきかが問題となるように、会社が危機的状況でどうしても誰かにやめてもらわざるを得ない時に、誰のクビを優先的に救うべきか。

かつては、男性正社員は女房子どもの生活に責任を負っている一方、パートは亭主に扶養されているから、アルバイトは親に扶養されているから、先に辞めてもらうことが社会的に正当性があると見なされていたわけです(もちろん、シングルマザーのように、そうでない人々はいたわけですが)。それはそれで一定の状況に対応したトリアージの回答であったのでしょう。しかし、正社員の中にも自分の小遣い稼ぎでしかない人もいる一方、非正規で生計を立てている人が多くなってきた情況で、その回答がいつまでも社会的正当性を維持しているのかは、そろそろ見直しの必要があるでしょうということなのです。

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そういうことなのですが、悩みながら経営者が決める他ない問題だと思うんですよね。で、制度で正規と非正規って切り方をして、前者だけ整理解雇4要件で強く縛るのは如何なものかと。ではどういったルールをつくるべきか。経営者の判断を尊重すべし=およそ解雇規制はことご... [続きを読む]

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