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2008年11月23日 (日)

不労不育世代間資産還流の社会的帰結

昨日の朝日新聞日曜版「be on Saturday」に、大変興味深い記事が載っていました。「60歳超で循環するマネー 都市部の団塊世代に相続が集中」というタイトルで、要するに高齢化のために親が死んで相続する年齢が30年前より15歳以上も上昇し、60代後半で相続するに至っているというのです。

この記事自体はマネー記事なので、資産運用的観点からしか書いていませんが、実はこれはマクロ社会的に見ると、労働もしなければ育児もしない消費性向の低い引退世代の間でのみ、膨大な資産がやりとりされてしまい、実際に労働し、子どもを育てている世代はそのマネーの流れに入れなくなっているという深刻な事態を意味します。言うまでもなく高齢層ほど格差は大きくなりますから、そういうマネーの還流をしている階層と、そんなものに縁のない階層との格差は大きいわけです。

そうすると、運良くじいさんの資産を親父が受け継いだ分をトリクルダウンでもらえる若年層と、そういうのに預かることのできない若年層の格差も自ずから拡大するということになり、後者はオレオレ詐欺でもやって、カネの余っている高齢層からカネをふんだくろうということになったりするのかもしれません。

なんにせよ、カネが不労不育世代間でのみ行ったり来たりしているというのは、マクロ経済的に見てもいかにも不均衡な事態でしょう。お金のかかる世代はお金がない、お金のかからない世代にお金がある。これを血のつながりを超えたマクロなメカニズムで還流しないと、お金をかけなければならない世代はお金がないからお金を使わない。お金が余っている世代はお金を使う必要がないからお金を使わない。という悲しい事態に陥ってしまうわけです。

年金制度のあり方を考えるにあたっては、こういうファクターも考慮に入れないと、トータルな社会システムとして問題が出てくるんでしょうね。

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相続財産までも都市集中ですね。

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