全員の雇用をうたった野村が旧リーマン社員を解雇する理由
ダイヤモンドオンラインの記事です。
http://diamond.jp/series/inside/08_11_21_001/
>経営破綻したリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門を買収した野村ホールディングスが、旧リーマン日本法人の社員の一部を解雇する方針を固めたことが、本誌の取材でわかった。
野村が解雇を決めたのは、旧日本法人の20人前後。日本法人の債券セールス部門を中心に、日本国内で債券業務に携わる社員が対象となっている。
この人たちについてはこういういきさつがありました。
>今回のリーマン買収において野村は、リーマンの不動産や有価証券といった資産や負債は引き継がず、「人材」に絞った買収であることを強調してきた。
そのため、買収を決めてすぐに日本法人の社員全員に対して雇用の維持を約束。昨年と同水準の報酬も合わせて確約していた。
ところが、
>それからわずか1ヵ月しか経っていないにもかかわらず、野村が人員整理に踏み切る意向を固めたのは、「国内であれば野村も債券業務は強く、人員は足りている」(野村関係者)と判断したため。
加えて債券市場の低迷がある。・・・・・・これ以上の社員は要らないといった事情もあった。
しかし、実は同じダイヤモンドオンラインに、つい先日こういう記事が載っていたんですね。
投資銀行マンのもらい逃げを防げるか?
リーマン社員を厚遇する野村の本当のリスク
http://diamond.jp/series/inside/08_11_07_002/
>野村は今後、「出身母体に関係なく、より成果に応じた人事・報酬制度へとシフトしていく」(関係者)という。旧リーマン社員にはそれまでの報酬を保証したため、野村社員たちとの平均年収の差は摩擦を生みかねないからだ。しかしながら米国では、その成功報酬制度についてまさに今、批判がなされている状況だ。少なくともこれまでのように単年度の利益で評価する報酬制度では、社員だけが潤い、会社に巨額の損失が発生する事態は避けられない。
こういう法形式上は立派な雇用契約ではあるけれども、実態からするとどこを保護する必要なんかあるの?といいたくなるような「労働者」の扱いも、先日来の労働者性の話とはまったく逆の方向から、やはり労働法のカバレッジを提起する問題ですね。
まあ、正直言って、今までさんざん人様のカネでうまい汁吸ってきたんだから、そろそろ世間の冷たい風に当たっても罰は当たらないんじゃないか、という感想をお持ちの方も多いことでしょう。
この辺、2000万プレーヤーのモルガン・スタンレー社員の時間外手当請求をめぐる裁判というおもしろいケースがあります。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_a51a.html(モルガン・スタンレー証券事件判決について)
« バイク便:労働者としての地位確認など求め初提訴 | トップページ | 権丈節・・・ではなく »
コメント