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2008年11月 7日 (金)

職能資格制は海軍兵学校が源流?

佐藤博樹先生からご教示をいただいて、早速むかしの『能力主義管理』ハードカバー版の巻末の匿名座談会を読んでいるんですが、これが想像以上におもしろいんですね。皆さん本音をぶつけ合って、侃々諤々。

>この間年功制の欠点からの脱皮ということについて議論が出た。年功制というのは一セットになっているのじゃないか。年功制の欠点からの脱皮ということは、結局年功制を是認することにならないか。欠点だけ取ればいいのか。欠点と長所を分けられるのか。

だから年功制からの脱皮と年功制の欠点からの脱皮とは、いわんとしているものは同じようであっても違うのではないか。本質的な問題だと思う。

欠点を是正すればどうなるか。それは年功制を強化することなんですね。欠点を是正すれば全てそうなるはずです。

自動車がパンクしたから、タイヤを取り替えたら立派な自動車になったということですね。飛行機になったということじゃないと思うのですよ。我々は年功制を強化するために能力主義をやろうとしているんじゃないでしょう?

これは年功制という自動車からパラダイムシフトして飛行機に乗り移ることだというイメージですね。

しかし、

>私はそれを捨てるというのもまずいと思うんです。やはり修正というべきだと思う。

なぜかというと我々最近能力主義管理ということを盛んにいっていますが、果たして本当に能力があるかどうかの評価把握が、実際にできているのか。現在、そして将来はどうなのか。この辺がはっきりしない形で、しかも年功序列のいい面、悪い面それもはっきりした形で解決つかないままで、まるきり年功制を否定して、能力主義管理で行け、という言い方で進んでいっていいのか。非常に危険ではないかと思う。ですから年功制のまずい点は是正しなければならないけれども、さりとて抜本的にまったく変わった、新しい形の人事管理を考えるといってはならないと思う。

うーーーむ、まさに自動車のタイヤを付け替えるようなやり方で『能力主義』をやってきて、それが年功的だからだめだといって『成果主義』という飛行機に乗り換えようとして、そもそも「評価把握ができるのか?」というスフィンクスの問いが依然としてそびえていて『非常に危険ではないか』を地でいってしまったという話なのか・・・。

なんだか、この40年間というのは、この匿名座談会の掌の中でしかなかったかのような錯覚さえ覚えますね。

あと、大変興味をそそられたのは、職能資格制についてのこのやりとりです。

>我々の職能的資格制度、私は旧陸・海軍の階級制というのはまさにそれじゃなかったかと思うんです。

少尉、中尉、大尉という階位は職能的でしたよ。

>これは本当のアウトプットを中心とした、業績を中心として、それから将来を類推して昇級が決まりました。同年度に陸士や海兵を卒業しても、10年経ってもまだ中尉の人ももう少佐の人もいた。卒業年次や年齢が下で階級が上の人はいっぱいいた。

>しかも、それに加えて同じ少尉でも中隊長もいるし、大隊長もいた。完全なツー・ラダーですね。しかも少尉という資格を与えるのも、中隊長という役職を与えるのも両方とも能力主義ですね。しかも、資格と役職の結びつけ方も、我々の強調するレンジ型だ。

>我々がやろうとしているのとまったく同じじゃないか。

>どうもこの研究会には海兵出がそろっちゃったものですから。

あぁ、そうだったんだ!

というか、職能資格制が軍隊の階級制と似ているというのはわかっていたんですが、海軍兵学校出身者が集まって作ったからそうなったという歴史秘話は目から鱗ぼろぼろ・・・。

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