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2008年11月 1日 (土)

ソーシャルな産経新聞

10月30日の産経新聞の「主張」(他紙の「社説」に相当)

>医師不足 協力体制強めて解決せよ

http://sankei.jp.msn.com/life/body/081030/bdy0810300304000-n1.htm

>脳内出血の妊婦が受け入れを拒否されて都立墨東病院で死亡した問題を受け、厚生労働省が全国の「総合周産期母子医療センター」に対する緊急調査を実施したところ、多くの医療センターで常勤の産科医が足らず、当直も回らない実態が判明した。

 妊婦や新生児の緊急治療に対応できる病院でさえ、このありさまだ。明らかに産婦人科の勤務医が不足している。

 今年6月にまとまった医師不足を解消するための厚労省の「安心と希望の医療確保ビジョン」では、これまでの医師養成の抑制方針を百八十度転換し、医師の増員を打ち出した。

 しかし、単純に医師を増やしても問題は解決しない。増やした医師がビル診(オフィス街の診療所)などの開業医に流れるようでは意味がない。不足している病院の勤務医を計画的に増やして配置していかなければならない。

 そのためには第一に勤務医の待遇改善が求められる。開業医の年収は勤務医の1・8倍にも上る。診療報酬を勤務医に手厚く配分し、勤務医の収入を引き上げ、その分開業医の診療報酬を引き下げる。これには医師会の協力が欠かせない。勤務医を支援するためには医療クラーク(事務員)を増やし、看護師や助産師らの能力を向上させることも必要である。

 勤務医のなかで産婦人科医と同様に小児科医や救急医、外科医も不足している。勤務がきついからだ。この診療科ごとの偏在をなくすためにも労働環境の改善が求められる。医師が診療科を自由に名乗れる自由標榜(ひょうぼう)制にある程度制限を加え、一部の診療科への集中を防ぐことも検討したい。

 地方の医師が不足する地域的偏在も問題だ。開業する条件に地方の病院での一定年数の勤務を求めることも必要かもしれない。

 今回の問題では地元医師会が今年2月の時点で東京都に墨東病院の産科医の人数を増やすよう要望していた。しかし、要望するだけではなく、医師会に所属する産科の知識を持った開業医が交代で墨東病院の勤務に就くことも可能だ。そうした協力こそ人の命を救う医師の使命である。

 責任の所在をめぐって厚労相と都知事が対立する場面もあった。国、自治体、医師会、病院が力を合わせ、医師不足を解消し、安心して治療の受けられる社会を作っていかねばならない。

その言うところはほぼ賛成ですが、読売といい産経といい、あまり世間的にソーシャル派だと思われていないマスコミの方が、しっかり医療ソーシャリズムになっているところが面白いと言えば面白いところです。たぶん、リベサヨな感覚が少ない分だけ、「医師の自由万歳」にとらわれずに素直に事態を見ることができるということでしょうか。

finalventさんが、

http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20081030/1225322736

>社会主義にするとよさげ。

とコメントされているのは、おそらく皮肉なのでしょうが、医療保険がかなり厳格な社会主義システムである以上、医療提供体制そのものも「社会主義にするとよさげ」なのはある意味で必然でしょう。

もちろん、それとは逆の方向で、医療保険の方を自由市場経済に委ねてしまうというシッコ型選択肢もあるわけで、要は制度的補完性のある医療関係の制度をどのように制度設計するかという問題でしょう。

患者の人権ゆえに医療保険は社会主義にして、医者の自由のために医療提供体制は市場原理にするというリベサヨ的選択肢が現状を招いたのであれば、リベでいくのかサヨでいくのかどちらかにしないといけません。

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コメント

>勤務医の収入を引き上げ、その分開業医の診療報酬を引き下げる。

誰かの報酬を下げて違う方へ配分する、というのはほぼ限界でしょう。それをやっちゃうと医療全体が崩壊するでしょう。

充実した公的サービスを受けるのであればそれなりの負担が必要だよ、という至極当たり前のことを世間に分かって貰わないといけませんね。
hamachan先生は構造改革万歳の言論機関が医療に関してソーシャリズムへ転換したことを言及するためにこの記事をピックアップされておられるのだと思いますが(そうじゃなければすんません。)

それと、技術を求めるならそれなりの報酬を約束しないといけないよ、ということも大事だと思います。

なぜかガンバリズムを強要するんですよね、、、

この問題について小倉秀夫弁護士がここ数日ブログでいろいろ議論していますね。計画配置と憲法の関係にも及んでいます。

タケノコ、ヤブ、名医と技術に応じた報酬の体系にすると、またまたリベになってしまいます。


ttp://homepage2.nifty.com/gynealp2/page012.html

[ちょっと考えてみれば分かるが、この手の突然の重症患者さんに対して、送り出す産科医が3人で、受け入れる産科医が若手一人のみなんて、その構造自体がおかしくないか。
 突然の重症患者さんを受け入れる以上、受け入れる側はそのマンパワーが送り出す方の数倍いてしかるべきなのに、実際はその逆なのである。
 (略)普段の仕事は、墨東病院の産科医の方が間違いなく大変だ。しかも収入はずっと少ない(略)妊婦受け入れ側の大病院産科医は、全く割に合わない激務の仕事を普段からしているのだ。当然どんどん開業医院の方に医師は逃げる。寝ずに身を削る仕事が低収入では長続きする訳が無い。]

ttp://tod.cocolog-nifty.com/diary/2008/10/post-c769.html
[こういう状況も、セーフティーネットのない新自由主義政策という、政策的失敗の一つの帰結だろう。
国民一人ひとりは、国家の設計した制度の下で、経済合理性のある選択をしているだけで、その結果が勤務医の絶対的な不足である。一義的な原因は、やはり国家による制度設計のまずさだ。]

そうですね。仕事激務度対収入比の不均等は是正されるべきでしょう。

しかし、産科医の総数は一定ですから

[周産期センターのマンパワーを無理に充実させたら、今度は末端の病院やクリニックの産科医が今度は不足する事となる。そうなると一般妊婦さんの分娩可能施設はますます減り、世間の分娩難民はますます増える。
 つまり、脳出血合併妊婦さんの様な十万に一の例を救命できる様にしたら、今度はその分一般の妊婦さんの分娩先が逼迫して来るのだ。大変な後遺症を持つにいたるであろう母親一人を救うために、何千の分娩先が無くなる事になる。]

開業医を攻撃し(主に経済的インセンティブにより)て廃業に追いやることは勤務医の激務度を悪化させることに直結します(これは産科以外も同じ)

そして

ケンジョウ先生は本田宏医師、民医連などの「無駄をなくせば医療費にあてられるよ」派を激しく攻撃しておられます。
総額一定であるならば、そうやって稼ぎ出したマージンはすでに崩壊しつつある教育予算などともとりあいになろう、と。
防衛費総額(GNP1%)を一気にゼロにしてすべてを医療費にあててもOECD平均には遠く及ばない。もちろんそんなことはありえないわけですが。

最後に人権関係の皮肉
ttp://d.hatena.ne.jp/DrPooh/20081031/1225435777
[規制を緩めれば金も人も地方から都市へ偏在していく流れは止められないわけで,(略)地方での医師不足に関して「地方へ医師が行かないのであれば規制緩和を進めるべきだ」という意見が少しは出てもよさそうなものですが,なぜかこの問題に限っては僻地義務化とか計画配置みたいな話ばかり出るのはちょっと不思議ですね。]

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