リベサヨ的感覚の経済的帰結
大竹文雄先生のブログで興味深いやりとりがありました。
http://ohtake.cocolog-nifty.com/ohtake/2008/11/post-d27c.html
まず大竹先生が、
>定額給付金をめぐる議論にメリットがあったとすれば、低所得者に所得の再分配をしたくても、日本では再分配することが非常に難しいということを明確にしてくれたことだ。負の所得税や勤労所得税額控除といった再分配制度が望ましいということを多くの経済学者は同意していると思う。しかし、それが有効に機能するためには、所得の捕捉が正確にされることが必要だ。そうでないと低所得だと偽って給付金を受給する人が増えてしまう。納税者番号がすべての国民に割り当てられていて、即座に所得が把握できるシステムになっていたなら、今回の定額給付金の支給ももっとスムースだったはずだ。それに、消えた年金問題も発生することはなかっただろう。
と言われたのに対して、コメント欄で、
>納税者番号は遅くとも1980年代に議論されていたはずです。番号制があれば、高所得者が対象になるであろうキャピタルゲイン課税もすんなりといくはずです。財務省/国税庁はどうして何年も導入をしないのでしょうか。それは住基ネットで反対意見が散々出たように、いわゆる反体制派の人々が世論を誘導したからだと思っています。どうでしょうか。
いや、もちろん反対したのは「反体制派の人々」だけじゃなく、時の政権与党の実力者であったりしたわけですから、その責任を全て「反体制派の人々」に押しつけるのはいささか筋違いの面もありますが、にもかかわらず、もし日本にソーシャル派なるものが一大勢力としてちゃんとあって、納税者番号で所得をことごとく把握して福祉国家を作ろうとかきちんと主張していれば、少しは事態は違っていたはずで、ここのところにも、反国家主義、反官僚主義のみをレーゾンデートルと心得るリベサヨ的感覚が濃厚だった「反体制派の人々」の問題が露呈しているように思われます。
国家は個人に介入するな!!!国家権力ハンターーイ!!!ですべてが解決するならば、もちろん再分配など考える必要はないわけですから。・・・ていうか、そういうリベサヨな人は金持ちにも金を一律にばらまけというベーシンクインカムとかいうんでしょうな。そこもまたネオリベとの至福の野合の地であるわけですが。
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リベサヨは百害あって一利なしですね先生
というのは大分言いすぎですね、大反省です。
>もちろん反対したのは「反体制派の人々」だけじゃなく、時の政権与党の実力者であったりしたわけですから、その責任を全て「反体制派の人々」に押しつけるのはいささか筋違いの面もありますが
重々お気づきかもしれませんが、もっとも導入されると困る人は自民党の有力支持者である自営業者や農家なんですよね。
サラリーマンのリベサヨが反対してるのをほくそ笑みながら見ていたのではないでしょうか。
投稿: solidar | 2008年12月 7日 (日) 16時01分