フォト
2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« OECDの「格差報告」 | トップページ | 働く者の尊厳を取り戻す労働組合活動 »

2008年10月22日 (水)

小児科医の過労自殺訴訟高裁判決

http://www.asahi.com/national/update/1022/TKY200810220188.html

>過労自殺、小児科医遺族の控訴棄却 損害賠償訴訟

>判決は、一審・東京地裁判決の認定を改め、中原医師がうつ病を発症して99年8月に死亡したことと、当時の業務が過重だったこととの間に因果関係があったと認めた。一方で、健康状態に対する配慮などの注意義務を怠ったとはいえないと結論づけた。

判決文を見ていないので、断言しない方がいいのかもしれませんが、要するに労災補償でいうところの業務起因性はあるとした上で、民事損害賠償における安全配慮義務違反を成り立たせる予見可能性を認めなかったということであろうと思われます。

つまり、小児科医が不足する中で過重労働による心理的負担により自殺に至ったという意味では「過労自殺」を認めているわけで、そうはいっても本人が責任感のあまり病院に相談することもなく働き続けたため、病院の責任を追及することはできないといっているわけでしょうね。これは、民事損害賠償である以上完全に結果責任主義にするわけにはいかないという面があります。

こんな長時間労働を強いられていたんだから、安全配慮義務違反を認めてしかるべきだという考え方ももっともな感じもしますが、そうすると下手をすると、全国の病院の小児科医、産婦人科医についてはみんな安全配慮義務違反の状態にあるということになってしまうかもしれません。実際そうじゃないか、という気もしますが、例えばぎりぎりでやっているところに救急車で搬送されてきて、もう無理ですと受け入れを拒否したらマスコミに「またもたらいまわし!」と叩かれるからとそこをなんとかと無理に受け入れて診療したあげくその医師が過労死したら、その病院は過労死の予見可能性があったのに無理に受け入れたのだから安全配慮義務違反をみとめるべきでしょうか、とか。なかなか難しいところです。

« OECDの「格差報告」 | トップページ | 働く者の尊厳を取り戻す労働組合活動 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小児科医の過労自殺訴訟高裁判決:

« OECDの「格差報告」 | トップページ | 働く者の尊厳を取り戻す労働組合活動 »