東洋経済の大特集「家族崩壊」
東洋経済の10月25日号が、「家族崩壊-考え直しませんか?ニッポンの働き方」という大特集を組んでいます。
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/2008/1025/index.html
最近、時々ものすごい勢いでソーシャルな記事を産出している東洋経済誌ですが、今回はタイトルは「家族崩壊」ですが、ほとんど労働社会問題の集大成という感じです。
就職氷河期世代の「中流壊滅」
「目まぐるしく変わる世の中、確かなものが何もない」
この国の貧困と子どもの未来
史上最悪「過労死」の最前線
「『選択の自由』という考え方がいかに人を不幸にしているか」
最初に出てくるのが、本ブログでも取り上げた経済産業省から現在経済産業研究所に出向している山田正人さん。その後、介護施設で働くワーキングプアな人々、などの姿が描かれ、「氷河期世代はやがて大規模な貧困集団に」「将来は日本から中間層が喪失する」・・・
この辺、中川グループや日本経団連の1800万人移民構想と読み合わせるとなかなかシュールな未来が思い描けます。
貧困ビジネスのゼロゼロ物件の話から始まる日本の住宅政策の貧困の問題は、労働問題で大いにミソをつけた福井秀夫氏の(建設省時代からの)もともとの専門領域ですが、これも情報の非対称性だけが問題なのでしょうかねえ。
デンマークとオランダのフレクシキュリティのところには、権丈英子さんが登場しています。
子供の貧困問題では山野良一さんが「日本の学力低下の背景には貧困の拡大がある」と一刀両断
貧困対策では阿部彩さんが登場して、子育て世帯を対象にした給付付き児童税額控除を主張しています。
さらに過労死問題、シングルマザー、などなどときて、そろそろ理論編をと思った頃に、安富歩さんの「選択の自由という考え方がいかに人を不幸にしているか」がたいへん興味深い洞察を示してくれます。
これだけ詰め込んで690円はお値打ちでしょう。
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ワーキングウーマン/マザーといったタームはAERAなどで仕事=自己実現といった文脈で目にすることが多かったので、微妙な居心地の悪さを感じています(笑)
投稿: ふるかわ | 2008年10月21日 (火) 19時05分