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2008年10月 5日 (日)

立場の弱い労働者の権利を守るフォーラム報告

イギリスの事業・企業・規制改革省雇用問題局が近年手がけてきた立場の弱い労働者の権利を守るフォーラム(Vulnerable worker enforcement forum)の報告書と政府の結論が、去る8月に公表されています。

http://www.berr.gov.uk/files/file47317.pdf

このフォーラムは政公労使からなり、昨年6月に設置され、職場の労働者の権利の不当な扱いの実態を探り、これにいかに対処していくか、また使用者の法遵守をいかに図っていくかを議論してきました。

各章ごとに政府の結論が書かれていますので、それを引用していきたいと思います。

まず弱い立場の労働者の観点から、

Vulnerable workers (and those who are on the verge of entering potentially vulnerable employment) need to have an awareness of their employment rights to know when they are being abused. They need to know what to do when they suspect that these rights are being breached and they need to be encouraged to complain about their employer where they have just cause.

立場の弱い労働者(およびそういう雇用に入ろうとしている者)は、不当な扱いを受けたときに彼らの権利を知る必要がある。彼らの権利が侵害されているのではないかと思ったときに何をすべきかを知り、正当な理由があれば使用者に不服を申し立てることを奨励される必要がある。

この後に、全国的なキャンペーンをやるとか、バーミンガムの学校で10歳の子どもに職場の権利を教えるパイロット計画とか、「福祉から雇用へ」プログラムでも職場の権利を教えるとか、いろいろ書いてあります。

Government takes a direct role in the enforcement of a number of basic employment rights and related legislation, but vulnerable worker access to these enforcement options is complicated because five separate bodies are involved, each with their own helpline. Government will simplify and streamline access to these bodies by:

政府は基本的な職場の権利の実行に直接責任があるが、5つの機関にわかれてそれぞれにやっているので、アクセスを簡素化する必要がある、

といっても、ワンストップというわけにもいかないので、電話窓口を一本化しましょうというはなし。

次に使用者の観点から

A minority of businesses are fully aware that they are breaking the law. The enforcement bodies need to target and crack down on these employers. Others want to comply, but need help and guidance to meet their obligations. Action to improve advice and guidance for employers and the accessibility to this advice is a priority for government. There is also work to be done to increase the visibility and deterrent effect of the enforcement bodies so that disreputable employers take notice, and modify behaviour.

違反を重々承知で法違反している企業も少数ながらある。法施行機関はそういう使用者を叩く必要がある。しかし法を守る気はあるが、よく知らない企業には援助と指導が必要だ。法施行機関が目立って、抑止効果を示すことも必要。

第三者の観点から

The task of enforcing the law and raising levels of compliance with workplace rights cannot be the job of government alone. Unions, advice bodies, business groups, local authority inspectors and others come into contact with vulnerable workers as well as potentially non-compliant businesses on a regular basis. They have a vital part to play.

職場の法遵守の水準を上げるには、政府だけじゃなく、組合、助言機関、事業団体、地方なども立場の弱い労働者や法を守らない使用者と恒常的に接触する必要がある。

で、政府としてはこの報告書を受けて、雇用関係担当大臣を議長に公正雇用実現会議(Fair Employment Enforcement Board)を設置して、さらに検討を加えていくということです。

日本にとっても大変参考になる政策の動きです。引き続き動きを追っかけていく必要がありますね。

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