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2008年10月17日 (金)

読売新聞の医療・介護改革案

昨日の読売新聞は、10頁近くを使って同社の医療・介護改革案を提言しています。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20081016-OYT8T00224.htm

何よりも重要なのは、日本最大の部数を誇る新聞が、明確に社会保障について構造改革路線を否定しきった点でしょう。今日の同社社説でも

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081016-OYT1T00743.htm

>社会保障財源 「削減路線」とは決別する時だ

>財政再建を最優先する政府は、社会保障費の伸びを、自然増のうちから毎年2200億円ずつ機械的に削減する予算編成を続けてきた。

 その結果、診療報酬や介護報酬も抑え込まれ、医療や福祉の現場に大きな歪みが生じている。

 医師や介護職員の不足、高齢者医療の混乱、健保組合財政の苦境など、今日の状況を招いた原因を煎じ詰めれば、小泉政権以来の構造改革が、社会保障にまで一律に「小さな政府」路線を当てはめたことに尽きよう。

 日本はイギリスの失敗に学ぶ必要がある。

英国では1980年代、サッチャー政権の財政改革路線によって医療費も厳しく抑制された。GDP(国内総生産)に占める国民医療費の割合は主要7か国中で最低の状況が続き、何か月も待たなくては手術が受けられないほど、深刻な医療の劣化を招いた。

 2000年代に入ってブレア政権が医療関連予算を倍増させ、ようやく事態を改善した。英国は国民医療費水準の最下位を返上し、代わってその座についたのが日本である。このままでは同じ轍を踏むことになるだろう。

 行政の無駄をなくし、財政再建に取り組むことは当然だ。だが、必要な社会保障に財源投入をためらってはならない。

と、明確に社会保障に関しては大きな政府をめざすべきという立場を明らかにしています。

昨日の提言は、単に社会保障費を惜しむなというだけではなく、社会保障分野については自由市場原理に委ねるのではなく、国家が適切に関与せよという意味で、ある種の社会民主主義的志向を明確にしています。

>まず緊急に取り組むべきなのが、医師不足対策だ。

 医師不足が問題化したのは、2004年度に始まった医師の新たな臨床研修制度(義務研修)がきっかけだ。研修先として、出身大学ではなく、都市部の有力病院を選ぶ新人医師が増え、地方の大学病院などの人手不足が深刻になった。医師が、勤務する診療科や地域を自由に選べるため、偏在につながっている。

 そこで、医師の研修先を自由選択に任せるのではなく、地域・診療科ごとに定員を定め、計画的に配置するよう制度を改める。対象は、義務研修を終えた後、専門医を目指して3~5年間の後期研修を受ける若手医師とする。そのため、地域の病院に医師を派遣してきた大学医局に代わり、医師配置を行う公的機関を創設する。

医師配置を公的機関が行うということは、いわば一種の医療社会主義であり、規制緩和万歳を唱えてきた人々から見れば悪夢のようなものかもしれませんが、レッセフェールの帰結が現状であってみれば、それも一つの必然といえるのかもしれません。

>産科、小児科など医師不足が深刻な分野では、病院の医師は当直明けで日勤をこなすなど厳しい勤務を強いられている。医師を増やすなどで過重勤務を緩和することが必要だが、開業医に比べて勤務医の給与が低いことも問題だ。激務に見合った報酬を得られるよう、緊急に診療報酬を改定して待遇を改善すべきだ。

この点に関しては、紙の方には非常勤の医師が日給制で年収が300万円程度にとどまりローンも組めないという話も書かれ、病院の正規職員として雇用を進めるべきと述べています。

>妊婦ら救急患者が何か所もの病院で受け入れを断られる「たらい回し」の背景には、救急病院の人員が不十分なことがある。地域の開業医が交代で病院に詰めて救急医療に参加する体制を、早急に整えるべきだ。中長期的には、救急病院「ER」を全国400か所程度に整備する。

我が身を投げ捨てて「1年365日24時間診療」に邁進する女医を褒め称えるテレビドラマよりも、ずっと適切な視点でしょう。

>高齢化で、認知症や寝たきりの患者が急増し、重い介護負担に苦しむ家族は多い。だが、介護サービスに対する報酬が抑えられた結果、介護職員の給与は低く、離職者が相次ぎ、人材不足が深刻だ。介護施設の経営も悪化している。

 介護報酬を緊急に引き上げて職員の待遇と施設経営を改善し、介護を受けられない「介護難民」が出るのを防ぐべきだ。簡単な介護サービスを行う高齢者向けのケア付き住宅を今後10年で倍増させる必要もある。

介護という「中度人材」にうかつに外国人労働者を導入するということは、この切迫した必要性を将来の社会的統合対策という見えない予算に押しつけて知らん顔をするということを意味するわけです。

そして結論、

>医療、介護の現場が危機に直面しているのは、社会保障費について、政府が予算編成で、高齢化による自然増分(年約8000億円)を毎年2200億円抑制してきたことが一因だ。不必要な歳出を削ると同時に、超少子高齢社会に必要な施策には財源を投入すべきであり、やみくもな抑制路線は改めなくてはならない。

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