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2008年10月26日 (日)

陰謀説と「理性の狡智」

田中宇という人がいて、相当にトンデモな陰謀説をいろいろかましているんですが、例えば最近で言うと、

http://tanakanews.com/081021bank.htm(金融と革命の迷宮)

>ネオコンが米国を革命に導いた?

>米本土に米軍を駐留させて、テロリストの疑いがある国民(貧乏人)を取り締まれ、と最初に言い出したのは、911からイラク泥沼化まで、ブッシュ政権内で力を持っていた「ネオコン」であるが、その元祖的存在であるアービン・クリストルらは、かつてニューヨークでトロツキストとして活動していた。トロツキスト(トロツキー派)は、ロシア革命に参加した勢力の中で、革命をロシア一国だけでなく、世界に拡大すべきだと主張していた革命家たちで、ユダヤ人が多かったが、ロシア第一主義のスターリンは、トロツキストの国際主義に疑いを持ち、政権から追放した。

(トロツキーは革命に参加する前、ニューヨークに滞在しており、革命に参加するとすぐに指導者となり、ソ連の初代の外務大臣になって国際共産主義運動を指揮し、中国などへの革命の拡大を図った。トロツキーらは、ニューヨークの資本家から支援され、国家資本主義の効率をさらに上げるための世界革命を起こそうとした疑いがある)

トロツキストがネオコン(新保守主義)になり、表向きは「保守」を掲げて米単独覇権主義を標榜しつつ、実際には重過失的にイラク戦争とテロ戦争の大失敗を引き起こし、結果的に、左翼革命家が果たせなかった米資本主義の崩壊を、内側から実現した。「資本家」と「左翼」は敵どうしのはずだという常識を外して考えると、そのような推測が成り立つ。

これが超一級のトンデモである説明は不要でしょうが、これをただトンデモと却下するだけでは、社会分析のおもしろい側面を見ないですませることになってしまいます。

田中氏の議論がトンデモであるのは、アクターの行為やその結果をすべて明確に意識された意図的なものであり、あらかじめ仕組まれた意図が必ず顕現するという本質顕現思考に縛られているからですが、それを取り除いて事態を眺めれば、たしかに(もともとマルクス主義から派生した)トロツキスト的急進主義が急進的市場原理主義に転じて(過去の大恐慌の失敗に懲りていた)穏健保守的な資本主義の縛めを取り外してしまい、結果的に再び資本主義の失敗をもたらして、マルクス主義の復活に資する結果となっている、ことは確かなわけです。

それを、本心を隠したトロツキストが・・・という三流スパイ小説風の陰謀説で説明しようとするからトンデモになるわけですが、世の中には「理性の狡智」というより的確な言葉があります。

本ブログで繰り返し語っている「リベサヨが云々」という話も、いうまでもなく自分では大まじめに左翼も左翼、最左翼のつもりだった人々の行動がネオリベラリズムの興隆に貢献したという「理性の狡智」話なのであって、じつは彼らは最初からそのつもりのスパイだったなんて田中宇氏みたいな話ではありませんので念のため。

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承前:2008-10-25■[無題]独り言id:HALTAN:20081025:p1 2008年10月25日 id:RPM 興味深い 左翼に「ありがとう」と声をかけると美しい泡になってバブルが弾けなくなります。 http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20081023/p2 2008年10月26日 id:hagakur... [続きを読む]

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