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2008年10月17日 (金)

労働市場改革専門調査会最後の議事録

ちょうど1ヶ月前の9月17日の標記専門調査会の議事録がアップされています。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/24/work-s.pdf

すでに、経済財政諮問会議の民間議員は全員入れ替わっており、八代会長も席を降りていますので、これは同専門調査会の最後の議事録ということになります。

「労働ビッグバンを解読する」以来述べてきているように、この専門調査会は福井秀夫氏の牛耳る規制改革会議とは異なり、労働問題について適切な認識をもった専門家たちがこれからの労働市場のあり方を議論した場として、日本の労働政策上重要な意味を持ったものであったと思います。

以下、議事録を見ていきましょう。

『現代の理論』の記事で引用した小林良暢さんの発言:

>全体として正規と非正規の処遇の均等化に向けた重要な点を指摘しているのではないかと思う。

例えば「非正社員の雇用安定化」の中で、雇止めのルールということをいっている。今まで余り議論されてこなかったことではあるが、雇止めが発生したときに、有期だから仕方がないというのではなく、一定のルールの下で雇止めが伝えられた時にそれに対して申し立てをするとき、有期契約だと言われると何も主張できないという弱点があったと思う。そこをルール化すれば、おかしな点は主張できる。

また、職業訓練について、ここの点が正規と非正規を隔てる非常に重要なところであろうかと思う。例えば高校を卒業して、どこかの大企業の正社員として就職した人の初任給と、私はバイクに乗るのが好きだからということで、バイク便ライダーになった人と、時給に換算すると大体同じぐらいである。日本でも、高卒、大卒でも初任給は社会的に決定されているので、派遣社員になっても、時給換算すると正社員と同じというところで社会化されているわけである。

ところが、そこから 10年、15年経ってくると、片や賃金が正社員の場合は上がってくるのに、もう一方は仕事が変わらないと時給は上がらない。片方が社内教育訓練の中でキャリア形成ができるのに対して、非正規労働者の場合はそこにとどまっただけで、訓練の場がない。そのような若者に対して、一定の職業訓練の場を社会的に提供していくことは重要である。

その点で、どういうキャリアを積んだかということを記録した公的なジョブ・カードの活用が非常に重要なことと思う。

私は9ページで中間的労働市場という提起をしていることが非常に重要だろうと思う。今の労働市場というのは、片方に正社員がいて、他方に非正規がいて一番典型的なところに日雇い派遣がいる。今、その一番端っこだけが問題になっている。それはおかしなわけで、やはり正社員から日雇い派遣までいる一連の労働市場の中で、どういう全体像を描いていくかということが、これから5年後、10年後のこの国の労働市場の在り方を構想していく上で重要だと思う。

この調査会では、正規と非正規の間に非常に大きな壁があることを指摘してきた。我が国の労働市場は、大きくいうと長期の雇用契約の労働市場と短期の労働市場、また月給をもらっている月給労働市場と時給労働市場、労働市場が歴然と分断されて存在していて、その間に大きな壁がある。その壁を乗り越えろと言っても、壁が高くて、いくら飛びついても飛びつけないほどの高さであるというのが現状だろうと思う。そこに飛びつけるようなはしごをかけるとか、中間的な踊り場をつけて、ステップを踏んで一歩ずつ上がれるようにすることが必要ではないかと思う。今回の報告書に中間的な労働市場が書き込まれたことは非常に重要な意味があろうかと思う。

日雇い派遣から登録型派遣へ、また常用型の派遣労働者へと順番に上がっていって、さらには直雇いの契約社員という中間的な労働市場をつくり、正社員登用のルールを明確化すれば、上のステップに上がれる可能性がでてこよう。

また同じく小林さんの賃金論:

>非正規労働市場がこれだけ比重を増してきた中で、賃金を社会化するということは職種、ジョブしかないと思う。

日本の大企業では、職務遂行能力という企業内キャリアでもって格付けしている。社内的には合理性があるわけだが、社会へ出た場合には、通用性のないもので格付けしているということになるので、そこを社会化していく努力が必要になる。

そのためには、やはり職種別の賃金相場を、どうやってつくっていくかということが重要なので、経団連は役割給ということを言っているが、役割では正社員と非正社員でははじめから違うではないかとなる。成果を反映した公正な賃金といったとき、一体何の成果だというと、正規、非正規が共通に納得性が得られるのは、やはり仕事=職種しかないと思う。今後、それをどうやってつくっていくかということだろうと思う。

日本でドイツのような賃金決定機構にしろといこうことではないが、労働組合が企業内交渉の中で職種別賃金要求をきちっと掲げて、それを 35歳のシステムエンジニアだとか、30歳の営業職だとか、そういう相場を社会的に明らかにして、それに非正規のシステムエンジニアや営業マンにも時給レベルで連動させていくということしかない。

このように、八代研の考え方は『世界』の共同提言と大変近いところにあるわけです。

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