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2008年10月 9日 (木)

五十嵐仁『労働再規制-反転の構図を読み解く』

9784480064509 五十嵐仁さんの『労働再規制-反転の構図を読み解く』ちくま新書を贈呈いただきました。ありがとうございます。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064509/

>緩和から再規制へ。労働を巡る政治状況は逆流をはじめた。格差と貧困の増大のため…だけでない。そこにはある勢力の逆襲があったのだ。その転機になったのは――。

序章  「官の逆襲」には二面性がある
第1章 変化の始まり
第2章 反転の背景
第3章 財界内での攻防
第4章 変化の広がり
第5章 反転を生みだした力
第6章 「官の逆襲」の開始
第7章 労働タスクフォースの暴走
第8章 規制改革会議の孤立と弁明
終章  「アメリカ型」でも「日本型」でもなく-日本の進路をめぐる対抗

ここ数年の労働規制緩和(ディレギュレーション)と再規制(リレギュレーション)の推移を政治学者らしい様々な勢力の間の権力闘争として描き出したもので、いくつか解釈に異論のあるところもありますが、たいへん見事にまとめておられると思います。

異論というのは、このブログでも何回か書きましたが、90年代以来の「改革」は80年代の臨調行革の単なる延長線上ではなく、むしろ反官僚主義、反パターナリズム、反国家主義で彩られる「市民」志向の左派イデオロギーが新自由主義改革への同意調達に貢献したのではないかという点です。

それゆえに、対立の構図は規制対規制緩和というふうにシンプルではなく、財界や与党、野党、マスコミなど、それぞれのただ中を「改革」志向とそれへの懐疑の綱引きが複雑に横切る複雑な対立図式になるわけです。ここ二年間の「再規制」の波も、ネオリベラルな改革に「まだ足りない」とハッパをかけていた市民的改革派がワーキングプアでおとなしくなったり転身したりしたことで、全体のバランスが大きく変わったということがあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_a90b.html

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_dbb1.html

いずれにせよ、経済財政諮問会議、規制改革会議、厚生労働省、自民党雇用・生活調査会等々のこの間の動きについては、私自身若干関わったところもないわけではないので、読みながら実に興味深く感じました。そろそろ3年近くなるこのブログの歴史と重なり合うんですね。

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コメント

市民志向が「改革」を後押ししたという意見に賛同します。地方議会などを見てみると、非自民系議員が、「市民派」と名乗るのが常套手段です。ですが、実際には、保育所や図書館の廃止=保育士・司書のアウトソーシング化に、もっとも貢献しているのが彼らです。私の知る選挙区では、これに旧新左翼党派が合流しています。

ただ、市民派を名乗ることが、選挙において、特に都市部の選挙区で、大きな効果があるのは事実です。

私の実感としては、いわゆる市民派とは、二系統あります。
ひとつは、左派の運動の系譜に連なるもの。
もうひとつは、右派の、松下政経塾のような、流れから生まれたものです。。
両者は、内部に質的な変化を伴いながら、融合して現在の形になったように思います。

ともかく五十嵐氏の著書をまだ読んでいないので、こようと思います。笑

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