小さな政府のなれの果て
OECDが15日に公表したデータによると、
http://www.oecd.org/document/9/0,3343,en_2649_201185_41498313_1_1_1_1,00.html
http://www.oecd.org/dataoecd/48/27/41498733.pdf
日本は先進国倶楽部のOECDの中で、租税収入の対GDP比がしたから数えて4番目なんですね(日本は2008年データがないのですべて2007年で見ると)。で、下にはどんな国があるかというと、1位メキシコ、20.6%。2位トルコ24.5%。3位韓国26.8%。で、日本が4位で27.9%というわけです。5位のアメリカの28.0%を抜いてしまいました。まことに小さな政府を実践するすばらしき国でありますな。このまま上位を目指して、まともな先進国を引き離そうというわけでしょうか。
一方、大きな政府で国民が重税にあえいでいるはずなのはデンマークとスウェーデンの49.1%ですが、市場主義を宣揚するOECDがどんなに口を極めて非難しているかというと、
>Tax-to-GDP ratios are a reflection of government choices in fiscal policy, which can play a redistributive role that evens out inequalities. Despite Denmark’s high tax-to-GDP burden, surveys regularly report a high level of contentment among Danish citizens with the nation’s egalitarian society. By contrast, Mexico’s low tax-to-GDP ratio reflects a lack of redistributive policies and hinders the government’s ability to invest in the physical and social infrastructure that is required for a sustainable growth path.
租税の対GDP比率は不平等に対する再分配という役割を果たす財政政策における政府の選択を反映している。デンマークの高い対GDP租税負担にもかかわらず、デンマーク国民はその平等主義的な社会にとても満足しているようだ。対照的に、メキシコの低い対GDP租税率は再分配政策の欠如を反映しており、政府の持続可能な成長経路に必要な物質的社会的なインフラに投資する能力を妨げている。
まことに「カイカク」とは、日本をメキシコみたいなすばらしい国にしようという一大プロジェクトであったわけでありますな。
ようやく、昨日の経済財政諮問会議で、
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/1017/interview.html
>今後、中福祉・中負担の持続可能な社会保障制度への道筋や安定財源のあり方など、具体的な議論を進める
ということになったようで、リバタリアンな方々は逆上しておいでではないかと陰ながら心配しております。
(追記)
多くの読者にとっては何を今更な話ですが、はてぶを見るとわかってないヒトも世の中にはいるようなので、念のため。
ここでいう租税には、いうまでもなく社会保険料も含まれます。これ常識。
« 読売提言の医師計画配置、厚労省課長が前向き発言 | トップページ | EU経団連はESOPがおすすめ »
「歳出をどんどん切り詰めていけば『やめてほしい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれ、という状況になるまで、歳出を徹底的にカットしないといけない」
2006年6月22日の経済財政諮問会議にて小泉首相(当時)の発言
辞任を決めた後の発言なので、おそらく本音なのだろうと思いますが、小泉さん本人は実は全く「市場原理主義者」などではなく、バリバリの財政再建至上主義者であり、あくまで手段として市場原理主義者を装っていた可能性が高いです。
小泉さんに関しては、色々な評価があるとは思いますが、良くも悪くも政局屋としての能力は、ずば抜けている気がします。
投稿: 田中大介 | 2008年10月19日 (日) 01時29分