日本労働研究雑誌11月号
日本労働研究雑誌11月号が出ました。
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2008/11/index.htm
目玉はもちろん「ディアローグ労働判例この1年の争点」で、今年からは島田陽一先生と土田道夫先生です。
話題を呼んだ松下プラズマディスプレイ事件(高裁判決)や日本マクドナルド事件も取り上げられています。実に穏当な評釈といえましょう。
ちなみに、私の松下PDP評釈は、『NBL』に載せましたがいささか喧嘩を売ってるような書き方になっていますな。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/nblhyoushaku.html
なおついでに、こちらは派遣法改正の動向解説。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/hakendoukou.html
このあと、解散が遠のき、法案を労働政策審議会に諮問するということになりましたが。
その他の記事としては、やはり玄田有史先生の
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2008/11/rb02.htm(前職が非正社員だった離職者の正社員への移行について)
でしょう。
>本稿の最も重要な発見として、非正規雇用としての離職前2年から5年程度の同一企業における継続就業経験は、正社員への移行を有利にすることが明らかとなった。その事実は、非正規から正規への移行には、労働需給要因に加え、一定期間の継続就業の経歴が、潜在能力や定着性向に関する指標となっているというシグナリング仮説と整合的である。正規化に関するシグナリング効果は、労働市場の需給に関与する政策と並び、非正規雇用者が短期間で離職を繰り返すのを防止する労働政策の必要性を示唆している。
というのはたいへんおもしろく、かついかにもそうだろうなあ、という感想を与えます。
具体的に求められているのは、
>フリーターを含む非正規雇用者の就職後1年未満での退職を極力抑制するため、仕事内容や人間関係等、就業後の職場の悩みについて、非正規雇用への個別相談体制がより整備されるべきだろう。
>加えて、非正規雇用政策は、労働者側への働きかけのみならず、企業側にも向かわなければならない。立場の弱い非正規雇用者が短期間で離職せざるを得なくなるような、使用者側による賃金や処遇等に関する不当な取扱いを厳に慎ませるべく、就業条件の明確化のほか、労働監督行政の強化も非正規雇用の安定就業に向けた政策課題である。
なお、細川良さんのフランスのフレクシキュリテ労使協定の紹介は興味深く、是非論文にまとめてほしいものです。
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