従業員の生活保障は企業の務め
本日、労働政策研究・研修機構から「「企業における人事機能の現状と課題に関する調査」(第2 回 企業戦略と人材マネジメントに関する総合調査)」が発表されました。
http://www.jil.go.jp/press/documents/20080901.pdf
タイトルは、
>人手不足を背景に強まる企業の長期安定雇用志向
大多数の人事担当者が「従業員の生活保障は企業の務め」と回答
です。おもしろそうでしょう。担当は、立道主任研究員です。
調査結果のポイントは以下の通り。
>(1)強まる長期安定雇用志向―「できるだけ多くの正社員を対象に長期安定雇用を維持していきたい」と考える企業が全体の8割に達している(4頁図1)。この傾向を4年前と比較すると長期安定雇用志向の企業が増加していることがわかった(5頁図2、6頁図3)。
(2)人手不足を背景に進む新卒採用と高齢者活用―新卒採用や高齢者の活用など人手不足を解消するための人事施策の重要度が高まっている(7頁図4)。
(3)成果主義導入企業の4割で格差が拡大―2008年時点で成果主義を導入している企業では、2000年以降の同一部門の課長レベルの正社員の年収格差は、40.5%が「広がった」、42.7%が「変わらない」、10.0%が「縮まった」と回答している(8頁図5)。
(4)人事担当者の意識―8割以上が「従業員の生活保障は企業の務めである」と考える他(9頁図7)、多くの人事担当者が株主と従業員による経営監視に肯定的である(9頁図8)。
(5)人事担当部門を経由する多様な労使コミュニケーション―人事担当部門へは、上司、社内の自己申告・苦情処理制度、組合、社内外の相談窓口など多様な経路を通じて苦情が寄せられており、人事担当部門が多様な労使コミュニケーション機能を担っているのが現状である(11頁図10)。
(6)他社の人事担当者との多様な情報交換―他社の人事担当者との情報交換が半数以上の企業において行われており、賃金・人事制度や労働市場における賃金の相場の情報などを交換していることから、人事担当者のネットワークを通じた他社の情報が、労働条件決定に影響を及ぼしている可能性が示唆される(12頁図12)。
(7)団交代替型の労使協議が7割―7割の企業で労使協議が行われており、その機能に着目すると、67%の企業で団体交渉に代替する機能を労使協議が果たしているなど、労使協議が労使交渉、労使コミュニケーションの要になっている(13頁図13)。
いろいろな意味で示唆的です。これはあくまでも人事部長さんの考え方であって、財務部長さんや営業部長さんの考え方ではないということを念頭に置くと、ジャコビー先生の『日本の人事部・アメリカの人事部』で示されたような、企業内部における部門間の力関係がどうなっているかという補助線が一つ必要かもしれません。(マクロ的には、旧日経連の人がどういう考え方を持っているかということと、それが日本経団連の意志決定にどれだけの影響力を持ち得ているかという話にもつながります)
労務屋さんのご意見を是非伺いたいところではあります。
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