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2008年9月 3日 (水)

生活保護が危ない

057459 扶桑社新書からでた産経新聞大阪社会部『生活保護が危ない』は力作です。こういうのを読むと、しっかりした社会的センスを持って取材する記者の力はすごいなあと思います(もちろんそちらが少数派なのですが)。

http://www.fusosha.co.jp/book/2008/05745.php

昨年4月から今年3月まで連載された記事がもとになっていますが、何よりも大事だと思うのは、とかく生活保護の問題は、「こんな人にすら生活保護を認めないなんて、なんてかわいそうな!行政はひどい!」論と、「こんな連中にすら生活保護を垂れ流すなんて、なんて甘やかしてるんだ!行政はもっとしばけ!」論という二極の間で振り回されるだけで、全体像をきちんと論じようという姿勢がともすれば見失われがちなのですが、そこのところをしっかりと見据えていて、常に両方の側面をにらみながら問題を追いかけようとしているところです。

本ブログで紹介した大山典宏氏(本書にも登場します)の『生活保護VSワーキングプア-若者に広がる貧困』PHP新書とも共通する視点で、こういう視点が広がっていくことが、社会的排除問題を正しい形で議論していく土壌を豊かにしていくことになるのだろうと思います。

ちなみに、最後のところにモリタク先生が登場して、一席述べています。

>例えば、経済学者の中には負の所得税を導入しようと主張する人もいる。所得の再分配のために、所得が一定水準を下回ったら、所得税を取るのではなく、負の所得税を政府が支払うべきだというのだ。そして、所得がゼロの時に、生活保護と同水準の負の所得税が支払われるようにすれば、貧困の問題はなくなるというのだ。・・・しかし、年収200万円未満のサラリーマンが1000万人を超えているような現在の状況のもとで、もし負の所得税など導入したら、彼らはみな仕事を辞めてしまうだろう。負の所得税を満額もらった方が年収が増えるからだ。

こんなもっとも初歩的なインセンティブの議論もわきまえないで、労働規制はことごとく撤廃せよ、そしてこぼれ落ちたのは生活保護で面倒見ればいい、というような乱暴きわまりない議論を平然と展開する人々が、現になお政府の中枢近くの会議におられるのですから、なかなか悩ましいところではあります。

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コメント

>こんなもっとも初歩的なインセンティブの議論もわきまえない

というか、所得に応じて生活保護の支給額が変動することは当然の前提で、言わずもがなの折込済みのものであるということでないのかな

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