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2008年9月 8日 (月)

『世界』10月号

783 岩波の『世界』誌が、「若者が生きられる社会宣言-労働、社会保障政策の転換を」という特集を組んでいます。

http://www.iwanami.co.jp/sekai/2008/10/directory.html

中心は、遠藤公嗣 (明治大学)、河添 誠 (首都圏青年ユニオン)、木下武男 (昭和女子大学)、後藤道夫 (都留文科大学)、小谷野毅 (ガテン系連帯)、田端博邦 (東京大学名誉教授)、布川日佐史 (静岡大学)、本田由紀 (東京大学) の諸氏の共同提言である「若者が生きられる社会のために」という論文です。

http://www.iwanami.co.jp/sekai/2008/10/149.html

これ自体が一冊の本になるような内容をわずか20ページ足らずに圧縮したエグゼキュティブ・サマリーのような文章なので、ここでさらに要約することはしません。是非書店でごらんになってください。

一点だけ感想めいたことをいうと、ある種の人々からは意外に思われるかもしれませんが、この共同提言と一番近い立場にあるのは、実は八代尚宏氏と労働市場改革専門調査会の方々ではないかという印象を改めて強く持ちました。

私の言い方でいうと、メンバーシップを強調する日本型雇用システムの矛盾こそが今日の問題の根源であり、これを適切なジョブ型社会にもっていかなければ道は開けない、という強い指向です。

それは確かに原理的にはその通りという面があるのは確かなのですが、実はそこが現実主義者である私がそう簡単にその通りといえないところでもあるわけです。正社員のメンバーシップを水で薄めながらもその保護機能を維持しつつその水で割ったメンバーシップを非正社員にも広げていく中で、徐々に社会的な保護メカニズムを確立していくしかないだろうと、悔い改めない実務派は思うわけですね。

この点は、以前この研究会に呼ばれて喋ったときに、研究会の方々もおっしゃっていた点です。

そのほかの論文や対談は、

【対  談】
相互扶助が自己責任論を打ち砕く!――老人と若者の連帯で日本を変える
  なだいなだ (精神科医)、雨宮処凛 (作家)

【法政策】
正社員と非正社員の格差解消に何が必要か
  島田陽一 (早稲田大学)

【調  査】
働く若者たちの現実――違法状態への諦念・使い捨てからの偽りの出口・実質なきやりがい
  今野晴貴 (NPO法人POSSE)、本田由紀 (東京大学)

【セーフティネットの綻び】
貧困ビジネスとは何か
  湯浅 誠 (NPO法人もやい)

【ル  ポ】
誰のための「再チャレンジ」だったのか――若者就労支援政策で儲けた人々
  小林美希 (ジャーナリスト)

【座談会】
労働組合の出番が来た――労組は若者たちの〈居場所〉たりえるか
井筒百子 (全労連)、笹山尚人 (弁護士)、竹信三恵子 (朝日新聞)、龍井葉二 (連合)

竹信さん、全開。

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» 労務バイアスと出口のみえない若年雇用対策 [雑種路線でいこう]
「世界」10月号はまだ読んでいないが、ロスジェネ問題は世代間闘争にしたら負けかなと思っている。結局のところ企業労務って既に抱えている正社員の居場所を確保する仕事だし、労働法制もまた労務屋が働きやすい制度を用意して失業者を増やさないことが本分で、最初から居場... [続きを読む]

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