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2008年9月16日 (火)

ボランティアといえば労働じゃなくなる?

塩見孝也元赤軍派議長がシルバー人材センターで初めて労働を体験したという記事に、黒川滋さんの「きょうも歩く」がコメントされています。

http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2008/09/91567-d979.html

話はそこから「ワーカーズコレクティブとか、労働者協同組合などで働く人が労働者であるかどうかという問題」に飛び、

>出資者と労働者が同一ということで、そうしたところには労働という概念はない、ということに社会通念はなっている。しかし、仕事の内容を見てみたり、仕事の配分の決定者と仕事をしにいく人の間に労働をする、させる関係はどうしてもぬぐえなし、実際に法律では労働と扱われる。そのことをきちんと正面が受け止めて、いくらきれい事言ってもそこには労働問題があるんだ、ということを前提にすればとっても良い世界になるけれども、労働じゃないんです、といって、使う、使われる関係を全面否定した上で、奉仕的労働を強要すれば、それはイデオロギーによる隷属でしかない。お金ジャブジャブあるところはいいが、そういうところは最初から株式会社にしているはずで、そういうきれいな話もない。少ないお金で、労働者と経営者の同一性という理念を立てながら、労働者性もあるんだ、という整理をしないと、何だかおかしくなる。
人をどんなに民主的なかたちであれ、労働者として使っておきながら、自らを使用者としての自覚のない怠慢な考え方をしていると、結局、労働者にとっても正々堂々と経営者と闘える資本主義の基本形がいいんだ、という話に戻ってしまうことの自覚が、ワーカーズコレクティブや、労働者協同組合の運動をやっている人たちにないということが問題じゃないかと思う。

と、たいへんまっとうな議論を展開されています。

ところが、その労働者協同組合の考え方の側には、

http://www.roukyou.gr.jp/

笹森前連合会長、大内力先生、堀内光子氏、広井良典さんのようなそうそうたる方々がいらっしゃるので、「協同労働」と言ったって労働者じゃないか、というのはなかなか言いにくいんでしょうね。

同じ問題がボランティアにもあって、これは『季刊労働法』222号の鎌田先生、島田先生、池添さん、水口さんの座談会で紹介されていたものですけど、例の堀田力さんのさわやか福祉財団が、4年前に、こういう法案みたいなのを作っていたんですね。

http://www.sawayakazaidan.or.jp/news/2004/20041013.html

>第一条  労働関係を規制する法令における労働その他の用語、職業を規制する法令における事業その他の用語、及び税について規定する法令における収益事業その他の用語であって、有償性もしくは無償性、報酬性(対価性、対償性その他、提供される財の市場価値を、これとの交換において支払う性質を表すすべての用語を含む)、または、収益性の有無を要素とするものの解釈は、この法律による。

>第二条  ボランティアとは、雇用契約によらず、他者のために、自発的に、無償でサービスを提供する者をいい、ボランティア活動とは、ボランティアによるサービスの提供をいう。
2  ボランティア活動は、労働と区別される。
3  サービスの受益者またはボランティア活動を組織しもしくは支援する者が、サービスに対して金品を提供した場合において、サービスに対する報酬としてではなく、その実費の負担またはこれに対する謝礼として提供したときは、そのサービスは無償で提供されたものとみなす。
4  サービスに対して提供された金品の価格が当該サービスの市場価格の五分の四以下であるときは、当該金品は謝礼として提供されたものと推定する。その価格が最低賃金額以下であるときは、謝礼として提供されたものとみなす。ただし、サービスを提供する者が、ボランティア活動としてではなく、労働としてこれを提供したときは、この限りではない。

もちろん、ボランティア活動はたいへん崇高なものではありますが、とはいえ親分が「おめえらはボランテアなんだぞ、わかってんだろうな」とじろりと一睨みして、子分がすくみ上がって「も、もちろんあっしは労働者なんぞじゃありやせん」と言えば、最低賃金も何も適用がなくなるという法制度はいかがなものか、と。

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コメント

そもそも「ボランティア」ってのは、志願兵・具体的には十字軍や宗教系の騎士団から来ているんですよね。ある意味近代社会以前の遺物だったりする訳で、今日の様な市民社会では非営利とかでも何らかの市民社会の頚木をつけて置かないと市民社会の埒外に置かれてしまう危うさみたいなのを感じます。

そうですね、わたしはボランティア精神そのものまで「近代社会以前の遺物」と切って捨てるつもりはないのですが、少なくとも労務と報酬が対価関係で交換されている(あるいはされるべき)土俵に不用意に持ち込むと、いろいろと矛盾が発生する危険性には自覚的であるべきだと思っています。

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