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2008年9月18日 (木)

正規・非正規の「壁」の克服

昨日、経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会の第4回報告がとりまとめられました。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/24/item1.pdf

はじめのところに「要旨」が載っていますので、まずそれを引用しましょう。

>正社員と非正社員との間の「働き方の壁」を引き下げ、不安定就業者の生活安定を図るための労働市場の望ましい姿について検討する。このためには、まず、非正社員の増加と、その固定化が進んだことの背景について考える必要がある。これらの直接の要因は、90年代初めからの経済停滞の長期化であるが、同時に過去の高成長期に確立した終身雇用・年功賃金の正社員の働き方を維持するために、企業が新規採用の抑制を長期間にわたって実施したことが、とくに若年層のフリーターを増加させた大きな要因になったと考えられる。
また、わが国の場合、雇用保障が欧米のように勤続年数の長さ等で決まる相対的な基準ではなく、正社員と非正社員という採用時の雇用形態に基づくことは、雇用機会が新卒採用の時点での景気情勢等に大きく依存し再チャレンジの機会に乏しいこと、雇用形態の固定化や不安定な就業から抜け出しづらいことも意味する。こうした格差の是正を図るためには、1700万人の非正社員をできるだけ多く正社員化するだけでなく、両者の中間的な働き方を設ける等の手段で、非正社員の雇用の安定化を図る実効性ある政策が重要である。さらに多様な働き方を選択する労働者が増える中で、個々の労働者の働き方に応じた個別的な規制から、正社員と非正社員との働き方の違いにかかわらず、昀低限守るべき働き方・処遇の「共通ルール」に重点を置くことについて、長期的に合意を形成することが必要である。
非正社員は同時に不安定就業者である場合も少なくない。このため、その生活保障には、労働市場だけで対応することは難しく、社会的なセーフティーネットである生活保護制度も活用されている。また、非正社員のうち、生活保護の対象者とのボーダーライン層に対する保護移行防止対策も検討する必要がある。労働市場制度と社会福祉制度を一体的に活用し、非正社員と不安定就業者の生活の安定に取り組む新たな仕組みを構築すべきである。

10日前にこのブログで紹介した『世界』誌10月号の共同論文と、認識面および実践面の両面にわたって共通性がかなりあるということを改めて認識できるのではないかと思います。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post_7b90.html

また、この報告の二つめの柱である「労働市場制度と社会福祉制度の一体的活用」は、まさに先進国共通の今日的課題ですし、わたしも、

http://homepage3.nifty.com/hamachan/seroukakusa.html(格差社会における雇用政策と生活保障)

で自分なりに素描を試みています。

(追記)

ちなみに、この報告に向けた調査会の議論に、わたしも一回招かれて参加しております。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/21/work-s.pdf

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