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2008年9月23日 (火)

子どもの最貧国・日本

4334034705 ようやく日本でも「子どもの貧困」が社会問題として取り上げられるようになってきました。

最近社会派雑誌として大いに活躍中の『東洋経済』も、5月に「子ども格差」という大特集をしていましたし、

http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/2008/0517/index.html

今回はまさにこの問題に焦点を当てた本です。

あとがきによると、著者の山野良一氏を光文社新書編集部に紹介したのは、「女子リベ」ブログの安原宏美さんだったそうです。安原さんご自身による紹介:

http://ameblo.jp/hiromiyasuhara/entry-10140331603.html

>山野さんは、北海道大学経済学部卒業後、現在、神奈川県内の児童相談所勤務。2005年から2007年にかけて、米国ワシントン大学ソーシャルワーク学部修士課程に在籍し、児童保護局などでインターンとして働いた経験をおもちです(ソーシャルワーク修士)。

 理論的なバックボーンをお持ちであることもさることながら、最先端の知見を参照し、さらに日米両方での現場の経験などをふまえて、わかりやすく一般の人にも語れる解説力は今の世の中に出さなくてはいけない著者であると確信したからです。こういう研究こそが日本の言論には足りないので、「犯罪不安社会」を出していただいた光文社の編集者にご紹介しました。

ちなみに、本書のはじめの方で紹介しているUNICEFの「A Child Poverty in Rich Countries 2005」は、これです。

http://unicef-icdc.org/publications/pdf/repcard6e.pdf

子どもの貧困率のグラフは4ページに載っています。

デンマークの2.4%、フィンランドの2.8%から、アメリカの21.9%、メキシコの27,7%まで、きれいに並んでいます。日本は14,3%。

(追記)

はてぶで指摘されているように、日本は「子どもの最貧国」というわけではありませんね。OECD加盟国ではメキシコ、まともな先進国の中ではアメリカが「子どもの最貧国」です。

ただ、まともなヨーロッパの国は軒並み日本よりは上位ではあります。また、サッチャー・メージャー時代にぐっと格差が拡大したイギリスは、なおこの時点(調査対象は2000年前後)で日本よりも子どもの貧しい国ではありますが、ブレア政権になってから着実に子どもの貧困率は下がってきています。それも本書に載っています。

その意味で、「子どもの最貧国・日本」という題名は、厳密にはいささか誇大表示気味ではありますが、まあ2000年代になってからもひたすらその道を突っ走った国の形容詞として、当たらずといえども遠からずといえるのではないでしょうか。

Unicef

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コメント

正直に言えば,ユニセフのこの指標には国際比較の手段としてはかなり問題があると思います.

ここで使用されているデータは相対的貧困率です(世帯所得の中間値の50%以下).この指標に影響を与えるのはひとつはもちろん世帯所得の不平等ですが,もうひとつは子供をもつ世代と他の世代の所得格差があります.本当は分布の尖度とかも関係しそうですが,ここでは論じません.

子供の定義を明示的に示している箇所が見つかりませんでしたが,とりあえず乳児から小学生くらいまでと考えます.その場合親はおそらく20-30代でしょうか?とすると20-30代と40-50代の賃金格差が大きい日本のような国では,子供の相対的な貧困率を高く見積もってしまうことになります.また日本の場合は子育て期の女性の労働参加率は低いので,世代間の世帯レベルでの所得格差はさらに広がることになります.

また経年比較にしても,小さな子供のいる&世帯所得の低い20-30代世帯と比較して,すでに子供が成長した)&世帯所得の高い50代世帯が相対的に増加するだけで,この指標で図られた子供の貧困率は増加することになります.

非専門家にも理解可能な代替的な指標としては,たとえば子供のいる世代内部での相対的な貧困のもとで暮らす子供の割合,であればこのような世代間の所得分布の違いにもロブストな比較ができると思いますが.

個人的には日本は子育て期の支援をもっと強化すべきだと思いますが,このようなかなりいい加減な指標を根拠に議論するのはいかがなものかと思います.

先進世界で「子ども」といえば18歳未満です。OECDやEUの政策資料でもそうです。
親子の年齢差を男性について平均30歳とすると、子どもを持つ世代の年齢は30代から40代となり、日本の賃金構造からすると、賃金カーブが高まっている部分に当たります。
これは、そもそも年功制がなぜ導入されたかを考えれば当然のことで、結婚して子どもが成長し、教育費や住宅費がかかるようになる年代に対し、それを社会的にまかなう代わりに個別企業の労務コストでまかなうシステムですから。
そういう生計費に対応する年功制が一般的に広がっていれば、子どもの貧困という現象は少なくなるでしょう(ジェンダー面からの問題は別として)。
本書で指摘されているように、日本の場合過去20年間子ども貧困率が上昇の一途をたどっていて、これを年功制がますます進んだからと言うのはあまり現実的でないように思われます。

>これを年功制がますます進んだから

ということではなくて,30-40代と50代の賃金の差に過去20年間変化はなかったとしても(つまり年功制度は一定だったと仮定しても),50代の世帯数が30-40代の世帯数と比べて相対的に増加するだけで,それぞれの世代内部の格差に変化はなくとも(子供ありvs子供なし世帯の)統計上の格差が拡大したように見えてしまう場合がある,ということです.

という理由で,相対的貧困を計算するのであったら子供をもつ世代内の世帯所得中間値から計算したほうが,政策的なツールとしては有益ではないか,と思う次第です.

ここで問題になっているのは平均所得の50%以下の貧困層ですから、同じ年功制の内部における50代に比べた30~40代の割合はほとんど問題にならないと思いますが。
日本の賃金構造では賃金カーブのピークは50代初め頃ですから、30~40代が50代と比べ貧困層とはいえないでしょう。

通常どの国でも、貧困層は非労働力層とワーキングプア層からなりますが、日本の場合、後者は年功制の外部の労働力に対応します。シングルマザーや両親ともフリーターといった層が典型的でしょう。

本書でも指摘されていますし、このブログでも何回か書いてきましたが、日本のシングルマザーの特徴は、働いているシングルマザーの方が、働いていないシングルマザーよりもより貧困であるということで、OECDではトルコと日本だけです。
ことほどさように、働くことに対してきわめてディスカレッジングな社会でありながら、日本のシングルマザーの労働力率は世界的に見て極めて高いというまことにけなげな人々であります。
こういう状況を横目に見ながら、

>まあ、皆ほんとに労働しない(と思われている)人嫌いだよね

とか言われてしまうのですから、ほんとに身の置き所がないというものではあります。

計量屋さんの指摘は論点としては大切だと思いながら、この本の中で指摘されている、親2人子一人所得239万円以下、親2人子二人所得276万円以下が、15パーセント近くもいるという指摘はびっくりするものです。それ以上に日本では政府の介入がまったく貧困率の改善に寄与していないと言うのはもっとびっくりです。ただし、この本の主題はこうした統計的な議論ではなく、日本の子どもたちが発達上の傷を、貧困から負ってしまっているとの点です。社会投資の視点からはこれは日本の将来にとって政治上でも大いに議論すべき点ではないでしょうか。

あんまりそういうことを言うと信用失う。というよりも、「宮台とかと同じじゃん」って話になりますよ。別にそれが悪いと言いませんが。本のタイトルとしてキャッチーな言葉が選ばれたようです、と言った方が率直です。

「欧米と比べて日本は特に平等だという国ではなくなっている。特に将来を担う子供に関しては、どちらかと言うと格差が大きい部類に入るようだ」くらいが穏当でしょうね。

しかし、今までが比較的平等だっただけに体感貧困率はかなり大きいのではないでしょうか。

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