採用年齢制限は差別か?
日本で年齢差別問題といえば、募集採用の年齢制限が第一の問題で、昨年の雇用対策法改正では政治主導で年齢制限が原則禁止となったことは記憶に新しいところです。
一方、EUでは私がこれまでも何回か書いてきたように、2000年の一般雇用均等指令で年齢差別も禁止され、2006年から全面施行されているわけですが、欧州司法裁判所に係属された事件は、一定年齢以上の有期雇用を争ったマンゴルト事件、65歳定年の正当性を争ったデラヴィラ事件くらいで、採用年齢制限を正面から争う事件はありませんでした。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/eldereu.html(「EUにおける年齢差別禁止の動向」 『エルダー』2008年6月号)
ところが、ここにきて、ようやく待望久しかった(?)採用年齢差別事件が欧州司法裁判所にやってきました。
ドイツからやってきたColin Wolf vs Stadt Frankfurt am Main事件です。
これは、事件が欧州司法裁に付託されたよ、という公示ですから、詳しい中身は必ずしもよくわかりませんが、フランクフルト市の消防職員採用に当たって、採用後一定の勤続期間が必要だからとして、年齢制限をしたことが争われているようです。
日本では現在、公務員は改正雇用対策法の年齢制限禁止規定が適用除外とされていますが、下記論文でも書いたように、本質的にこの問題を免れているわけではありませんから、公務員制度関係でも本事件の行方を注目する値打ちはあると思いますよ。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/chikounennrei.html(「雇用対策法改正と年齢差別禁止」 『地方公務員月報』2008年3月号)
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