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関根・濱口対談

先週木曜日の「日雇い派遣 禁止は有効?」が大阪版には載っていなかったというコメントがありましたので、既に時間も経っていることもあり、対談の記事を掲載します。

> 電話一本で呼び出され、賃金も低くて「ワーキングプア(働く貧困層)の温床」と批判を浴びる日雇い派遣。4野党は先月、労働者派遣法を改正し「原則禁止」を盛り込む方針を固めた。禁止派の関根秀一郎・派遣ユニオン書記長と、禁止に疑問を示す濱口桂一郎・政策研究大学院大学教授に議論してもらった。(編集委員・竹信三恵子)

 ――「日雇い派遣禁止」は、なぜ必要なのですか。

 関根 派遣労働は、派遣会社が派遣料(マージン)をとるのでピンハネが横行しやすい仕組みだ。なのに、派遣法が年に改正されたとき、対象を立場の弱い肉体労働にまで広げた。このため1日単位で使い捨てる日雇い派遣が急拡大し、三つの問題が起きた。①3~5割ものピンハネによる賃金の大幅下落②生計を主に担う働き手まで派遣労働に落とし込まれる③派遣先が「ウチの社員じゃない」と、派遣社員の安全対策を怠り労働災害が多発――だ。

 濱口 問題点は同感だが、ニーズがあるのに禁止しても、企業は他の形に逃げるだけ。年に派遣法ができた当初、対象を専門的職種に限ったが、一般事務が「ファイリング」の名で派遣OKとなり、女性の非正社員化が進んだ。事業規制ばかりを考え、労働者保護をほったらかしにする日本の派遣法の枠組みこそ問うべきだ。

 ――日雇い派遣のニーズとは?

 濱口 アルバイトや、本業がほかにある人の週末の副業など、こうした働き方が必要な人もいる。企業にとっても、社員が急病の場合や仕事の繁閑が大きい職種など、1日単位の派遣が必要なケースはあるはず。日雇い派遣という業態そのものは、あってもいい。

 関根 日雇い派遣の広がりは「あってもいい」のレベルを超えている。人集めも解雇も簡単で便利なため、20~30代の「ネットカフェ難民」だけでなく、40~50代の「サウナ難民」まで出ている。

 濱口 そもそも「日雇い派遣」だから問題なのか。直接雇用の日雇いも過酷さは同じだ。

 関根 20年ほど前、直接雇用の日雇いとして物流業界でバイトしたが、日給は1万円を下らなかった。日雇い派遣の広がりでピンハネが激しくなり、今は6千~7千円。派遣はマージンを取るので、働き手の取り分を減らし、過酷さを増幅する。

 濱口 日雇い派遣なら、毎日別の職場に派遣されても、合わせて週時間働いていれば「派遣社員として正社員と同等の時間働いている」ことになり、均衡処遇を求める契機になる。

 関根 現実は違う。厚生労働省に、「実質は正社員と同じように毎日働いているのだから、仕事が途絶えたら休業手当を払うよう派遣会社を指導すべきだ」と求めたがダメだった。理由は「日雇いだから」だ。

 ――日雇い派遣を禁止しないとすると、どう解決しますか。

 濱口 関根さんの挙げた三つの問題点でいうと、賃金については、派遣会社のマージン率を公開させ、規制する。安全面では危険有害業務への派遣を制限し、労働時間について定める労使協定(36協定)や労災補償について、派遣先にも使用者責任を負わせる。安いからと非正社員を増やす反社会的な企業行動には、労組などによる監視の目をはりめぐらす方が効果的だ。

 関根 今の提案はすべて賛成だ。派遣法全体の見直しも求めていく。だが、禁止措置も意味は大きい。確かに、違法派遣をしたグッドウィルが事業停止処分を受けると、仕事がなくなり困る人も出たが、グッドウィルとの取引をやめた会社から「直接雇用に」と誘われ、日給が4割アップした人もいる。とりあえずストップをかけて企業の方向を変える必要がある。

 ――労組による監視で企業行動に歯止めをかけられますか。

 濱口 日雇い派遣という業態は認め、そのかわり派遣労働者と正社員との均等待遇や均衡処遇を徹底し、「手軽だから日雇い派遣」という動きに歯止めをかけることが必要だ。4月に施行された改正パート労働法で均衡処遇が定められたので、派遣に広げればいい。

 関根 日本の「均等待遇」は正社員並みに働くごく一部のパートにしか適用されず、その他のパートへの「均衡処遇」も極めてあいまいだ。

 ――マージン率の公開は可能でしょうか。

 濱口 ピンハネして自家用飛行機を買うような経営者は困るが、マージンは、社会保険料負担や働き手への情報提供などのために必要な経費でもある。その透明化はまともな派遣元にはプラスだ。

 関根 派遣業界との交渉で、「悪質な派遣会社と一線を画すためにもマージンの公開を」と迫ってきたが応じない。

 ――今後は何が必要ですか。

 濱口 日本の派遣法は、正社員の派遣社員への置き換えを防ぐことに主眼を置いている。そのため、派遣事業の規制ばかりに目が向き労働者保護は二の次だった。世界の流れは非正社員も含めた均衡処遇と透明化で、事業規制はこれに逆行する。

 関根 日雇い派遣を合法化したことで、派遣への置き換えが進んだ。労働者保護にはもちろん賛成だが、欧州のような均等待遇の実現は遠すぎる。緊急避難として日雇い派遣の禁止を急ぐべきだ。

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投稿: にょろ朗 | 2008年6月 2日 (月) 22時11分

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