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2008年5月 8日 (木)

介護福祉士養成大8割定員割れ

読売の記事ですが、

http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08050707.cfm

>介護福祉士を養成する全国の4年制・短期大学で、養成課程入学者の定員割れが相次いでいることが、読売新聞の全国調査でわかった。回答のあった大学の8割で今春入学者が定員割れとなり、ほぼ半数で定員充足率が50%を下回っていた。各大学は、介護職が「低賃金・重労働」といわれることや、コムスン問題の影響を指摘。養成課程から撤退する学校もあり、介護保険を支える人材の不足が深刻化しそうだ。

 介護福祉士は、高齢者や障害者の介護を行う国家資格で、全国で約64万人いる。介護保険の導入に伴って各大学が介護福祉士の養成課程を開設し、国の指定養成施設の大学は全国で約150校にのぼる。調査は4年制・短期大学計80校を対象とし、うち51校が回答。51校の同課程入学者は2005年春の3273人をピークに3年連続で減少し、今春は05年より30%少ない2266人。42校で定員割れが生じ、25校で定員充足率が50%以下となった。

 九州のある大学では定員40人に対し入学者はわずか4人で、近畿の短大も定員50人に入学者は7人。今春の定員充足率が7割の北海道の大学は、来年度の募集中止を検討している。

 各大学は定員割れの理由について、「社会的地位が低い」「コムスン問題で業界イメージが悪化した」とし、奨学金を受けた学生が「介護職の賃金では返還できない」という理由で一般企業に就職した大学もあった。日本福祉大(愛知県)の担当者は「高校の進路指導の選択肢から介護福祉士が除かれつつある」と嘆く。

 危機感を抱く4年制大学は年内にも、「介護福祉士養成大学連絡協議会(仮称)」を発足させるが、厚生労働省は「養成施設対策は手つかずで、今後取り組むべき問題」としている。

いろいろな読み方ができるでしょう。介護労働問題の視点からは、だからいわんこっちゃない、いまのような低賃金のままではどんどん人が逃げ出すぞ、早く待遇改善しなくては・・・ということになるでしょう。それは極めて重要な視点です。

しかし、もう一つ、教育問題というか、高等教育の職業的レリバンス問題の観点から見ると、実に大変皮肉な側面を覗かせてもいます。

介護保険ができたころから日本中で一斉に雨後の筍の如く作り上げられた福祉系の大学課程は、それがその卒業生にふさわしい就職の場を提供しうるものであるならば、まさに高等教育レベルにおける職業的レリバンスの素晴らしきモデルというべきだったのでしょうが、上述のような実情を見ると、むしろ職業的レリバンスのいう名の振り込め詐欺をやってたんじゃないか、といわれても仕方がないようにも思えます。

大学卒はほとんどいない(最近でこそ看護系大学もちらほら出てきていますが)看護師の方が、医療介護の現場では遥かに社会的地位が高く、賃金水準も高いという逆転現象を前にして、わざわざ福祉系大学に進学しようという若者が減少していくのは当然の現象といえるでしょう。

も少し突っ込むと、そもそも福祉系大学で教えていることって、ホントのところどの程度職業的レリバンスがあるの?という聴いてはいけないタブー的質問にも、そろそろ踏み込んでみる必要があるような気がします。

大学4年間もかけて教えられているそれらのことどもは、やがて卒業して介護の現場で活躍していくであろう学生たちのためにではなくて、そこでものを教えるという安定した地位を福祉系の研究者たちに与えるために設定されているのではないの?という禁断の質問を。

いや、ブンガクやらテツガクやらは、まさにそういう学問を教えるセンセの生計のために、多くの学生(ないしその親)から搾取する家元的メカニズムとして確立しており、みんなそれで納得しているからあまり問題は起こらなかったわけですが、福祉の世界でそれをやられたんでは、搾取された側は堪らないのではないでしょうか。

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コメント

>>むしろ職業的レリバンスのいう名の振り込め詐欺
ろーすくーる・・・

問題は、その仕事に対する「職業的レリバンス」が(本田先生がブンガクやテツガクにも見出しているような水準のものでなく)あるのかどうか、レリバンスが存在しない仕事はないにしてもそれが大学or専門学校で教えうるものなのかという問い直しも必要なのではないかと。
今の介護(場合によっては看護・医療も)労働者に最も必要とされているのは、技術ではなく顧客(被介護者およびその親族)の理不尽な要求に耐える精神力になってしまっているような気もするのですが。

職業教育も「教育」ですので、当然に「教員」が必要ですけれど、本来、まともな教員を育てるのには、ン十年かかるはずなんですよね。
日本では、教育産業(というより、ハウツー産業、とでも言いたいようでうが)ってかなり儲かる業種ですが、まともな教員のいる分野ってあるんでしょうか。個々人としては、それなりの人はどこにでもいると思いますけれど、最も儲かる大手塾でも、看板講師はそれなりでも、底辺には、T大の学生とかをじゃんじゃんバイトで入れており、かつまた、そういう学生が、「濡れ手に粟」のバイトであるとして登録するわけですよね。そういうのが、まともな医者になるのか、と、とっても疑問ですが。「資格がとれる」というのが売りの専門学校の教員調達も(特に専門学校は、公立ではないですし)どうなっているのか、文部科学省が調べたりはしていないんだろうなと思います。
で、介護では暮らせないが、看護ならそこそこ行ける、となると、今度はおそらく、現状でも人手の足りない看護現場から、教員調達で、更に人を抜いていくことになるでしょうね。

教育政策は、「職業レリバンス」の抽象的な話よりも、実際には「教員養成政策」ではないかと、ぶらり庵は思います。フィンランドの教育でも、根幹は、義務教育レベルでの質の良い教員の育成、が中心のようですね(最新刊の「世界」に記事あり)。
日本では、中等教育以降の教育が無償でなく、小学校より上と、職業関連の教育について、当初から相当程度「民営化」してしまっているわけですが、ここらへん、またまた、岡本先生のご意見など聞きたいものです。

ついでに、ブンガク、テツガク、シガク(史学、です)など、文系の教員についていえば、これはおっしゃるとおりの家元制度、徒弟制の世界ですね。ワーキングプアどころか、フリーターならばそこそこでも稼いでいるはずの年代に、まだまだ、授業料をお払いしていて、かつ、将来、食えるかどうかは不明である、のですから。
hamachanのように、修士だの博士だのの学位なしに教授になられた方はなさっていない経験ですが、徒弟達だって、何も、納得なんかしてないですよ。でも、「納得できない」なんて反乱したが最後、飢え死にするのです、労働者じゃないから、雇用保険もないし。

フランスに住む友人たちからは、今月、あちらでは、「5月革命40周年」ということで、けっこうあれこれのメディアでの特集があるとか。68年以降、フランスのその世代は、自分たちの親世代の価値観まで変えた(介護や家族法など)、日本では?と聞かれますが、聞かれてもなあ、という感じですね。
ま、Take it easy!、その世代が定年で退場してゆけば少しづつは変わるのか、変わらないのか・・・。

※ Take it easy ・・・ 現在、ワールドツアー中の「イーグルス」の名曲ですが、この団塊バンドは、90年代の再結成のころ、若い頃よりもずっとうまくて素敵だったな。休日ネタでお許しを。

介護系の学校で勤務した経験を持つ者です。
介護技術(実技系)の教員の多くは看護師出身。それも看護教育に携わっていた人間ではなく看護師としての現場経験をベースにした方がほとんど。「先生」になりたかったんだなーって感じです。但し、「先生」といっても肩書きだけで給料は激安。実習シーズンになれば現場実習の見回りとして僻地にある介護施設を
足が棒になるまで訪問しなければなりません。大学゛てあれば他学科の教員がのんびりバカンスとっているというのに夏休みなんて夢のまた夢です。

教員の質ですか?玉石混合です。が、本当に良い教師は福祉の現場にいます。現場から切り離された「専従教員」は介護に関してはあまり良い教えを受けられるとも思われません。
大学だってこの状況なのですから、専門学校においてをや。

厚生労働省の基準が「教員の頭数」に置いてのみ異様に厳しいため、時には「人件費」>「学費収入」になりかねません。ましてや定員割れなどしようモノなら経営は大赤字です。これにはいくつか対抗策があります。1つは、教員に事務・雑務を配分することによって、事務方の人数を減らすこと。もう一つはヘルパー講習や介護福祉士実技試験講習等の有料講座を開催し赤字を補うこと。

こうなると専門学校における介護系教員の資質とは、
「事務や雑用もそつなくこなせる能力」「社会人相手の講座を複数こなせる能力」「実習施設と友好的な関係を構築できる営業的な能力」「それらを全てこなすための体力」であり、「介護教育に関する研究」等々は現実に必要な資質からすればぐっと低位に位置します。更に大学の教員といっても一部の大御所を除いては上記の資質については大差はあまりないでしょう。

若い人たちが介護職により希望が持てるとしたら、一口に介護の仕事といっても、身の回りのお世話や掃除等が重視されがちですが、レクリエーションや利用者さんたちの自立への援助を科学的にサポートする一面だってあることをもっと知って貰うことと、やはり待遇面でもっと優遇してあげなければねー。

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