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「NTTで偽装請負」元従業員、直接雇用求め提訴

朝日の記事で、

http://www.asahi.com/job/news/OSK200805140091.html

>NTTの研究所で違法な偽装請負の状態で働かされ、一方的に契約を打ち切られたとして、京都府に住む20代の元業務請負会社員が14日、NTTと子会社を相手取り、NTTへの直接雇用や慰謝料500万円などを求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状によると、元社員は06年10月、兵庫県西宮市の業務請負会社に就職。翌月、NTT子会社などを通してNTTと請負契約を結び、京都府精華町のNTTコミュニケーション科学基礎研究所で、NTT社員らの指示を受けて翻訳ソフト開発の仕事をしていた。NTTは今年2月、「法的にグレー」との理由で契約打ち切りを通知。元社員は直接雇用を求めたが、3月末に契約が打ち切られた。

 元社員は「NTT社員の面接で採用され、賃金も請負会社などを通じてNTTから支払われた」とし、暗黙の合意でNTTと労働契約が成立していたと主張している。

先月の松下ブラズマディスプレイ事件判決の影響でしょうか。今後続々と訴訟が提起される可能性もあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_fb6e.html(松下電器子会社の偽装請負、直接雇用成立を認定)

ここにも書いたように、現時点ではまだ判決文を読んでいませんので、判決の論理構成がどの程度どうなのかについて確定的なことはいえませんが、報じられている限りでは判決がとっているとされる「黙示の雇用契約論」については、

>かつても、黙示の契約論にはかなり批判も強くて、最高裁に上がって維持されるかどうかはかなり疑問な面もあります。

という認識を持っています。

>わたしは、そもそも派遣であれ、労供であれ、請負であれ、労働法制は契約で判断するのではなく、実態で判断するのが原則と思っているので、無理に契約論にはめ込む黙示の契約論にはいささか疑問があり、契約はともあれ実質に応じて使用者責任を負うというのが一番すっきりすると思っている

ので、当事者の意思の合致が現実に存在しないのに、むりやりに「黙示の契約」などという契約論的枠組みで問題を解決しようという発想には批判的なんですが、どうなんでしょうかね。

ただ、一方には、法的に何がどう問題になっているかすら全く弁えないまま、

http://ascii.jp/elem/000/000/129/129024/

>「ワイドショーの正義」は錯覚

>「偽装請負」を禁じたらどうなるか

などと一知半解無知蒙昧を垂れ流して恬として恥じない御仁も之有ることですから、頭が痛くなってくるわけですが。

(参考)

>このコラムでは法的な問題には立ち入らないが、

といいながら、

>特に派遣労働者の規制が強化されたあとは、一定期間雇ったら正社員に「登用」しなければならないようになったため、そうした規制のない請負契約が増えた。

とか、

>こういう判例が定着して、請負契約が違法だということになったら、「コンプライアンス」を重視する企業は請負契約を打ち切り、需要の変動には正社員を残業させて対応するだろう。

といった、法的認識としても事実認識としてもトンデモの二乗か三乗くらいの放言をしても許されるんだから、ありがたいものです。

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コメント

僕も派遣にしろ、請負にしろ、今話題になっている労働トラブルは、あくまで「実態」に即して働いている場所の使用者責任を明確にすることが大切だと思います。

投稿: 無能 | 2008年5月15日 (木) 22時25分

外部から実態で判断をされるのが困るのなら、明示的に契約をしておくべき

投稿: というか | 2008年5月15日 (木) 22時46分

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