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2008年5月27日 (火)

浜矩子『資本主義と自由』書評

「エコノミスト」誌に、浜矩子氏によるミルトン・フリードマン『資本主義と自由』の書評が載っています。

これがなかなかいい。ただただ思考停止してフリードマンまんせーしている書評もネット上に散見される中、こういう一ひねりした上質の書評はいいものです。

>読み進むうちに、面白いことに気がついた。それは、本書の価値がその時代遅れぶりにあるということだ。

>当時のアメリカでは、資本主義の計画経済化をめざす傾向が強まっていた。大きな政府を志向する発想が主流化している面があった。・・・そのような世相に対して、著者は人間たちの自由な選択の集合場所である市場の優位性を断固主張する。

>その姿勢と論理の一貫性には、実に迫力がある。読んでいて気持ちがいい。だが、どうしても一定の時代錯誤感を免れない。それは、今日のわれわれが、いわばフリードマンの薬が効きすぎた世の中に住んでいるからだ。

>『過去と比較しても資本主義社会では経済の進歩により不平等が大幅に減ってきたことが判る」。フリードマンはそういう。確かにその通りだ。だが、これからはどうか。平等社会の典型だったはずの日本において、格差がこれだけ人々を心配させる現実を、われわれはどう受け止めたらいいのか。ネットカフェ難民たちは本当に資本主義の犠牲者ではないのか。

>こういう疑問を持たせてくれるところに、本書の貴重さ、今、読むことの意義深さがあると思う。

実は、私も大学に入った70年代後半に読んで、大変同感した覚えがあります。ただ時流に乗って空疎なことを書き散らす連中と対比すると、時代精神に真っ向から対決するこういう作品は自ずから感動を呼び起こすものでしょう。それは自由競争万能主義がはびこる19世紀のまっただ中でマルクスの資本論を読むのと同じようなものかも知れません。今の時代にフリードマンを読むのは、ソ連の収容所でマルクスを読むのと似たほろ苦さがあるのかもしれませんね。

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コメント

書いてから1年以上経って、突然池田信夫ブログから山のようなお客さんがいらしていますな。

せっかくですから、本ブログで池田信夫氏という人物がどういう「高潔」な人格であるか、以下のエントリでもご覧になりながら、じっくりご堪能されることをお勧めします。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3_a7ad.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3_a7ad.html(池田信夫氏の3法則)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_a9de.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_a9de.html(池田信夫症候群-事実への軽侮)

最近の例では、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-8afc.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-8afc.html(またしても池田信夫氏の捏造)

ついでに、捏造を批判されて逆上した池田氏が急遽書き上げたらしい拙著への「書評」も、池田氏の人格を窺わせるに足る絶好の素材になっています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-5545.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-5545.html(池田信夫氏の「書評」)

なにしろ、多くの人々が賛同するにせよ批判するにせよ、拙著の政策提言を取り上げて論じているのに対して、池田氏の「書評」は、出版元と私の出身官庁と私の勤務先に対する罵倒がほとんどで、あとは半世紀前から多くの人が語っている日本型雇用システムの特徴について、「ボクも10年前に博士論文で書いたんだぞ、それをちゃんと取り上げてくれないのはけしからん」とくだを巻いているだけという素晴らしいものでした。

これ以上に素晴らしい「書評」があるかどうか、下のリンク先に集めたここ1ヶ月あまりの間の70件近くのさまざまな拙著への書評を読み比べてみるのも一興かと思います。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/bookreviewlist.html">http://homepage3.nifty.com/hamachan/bookreviewlist.html(濱口桂一郎『新しい労働社会-雇用システムの再構築へ』(岩波新書)書評)

池田先生はこのごろでは詩もお書きになるようで、一瞬の静寂の後「ついにポエムきたか」とねらーの驚嘆のため息まで漏れておりました。

ということで、昨日は休日にもかかわらずアクセス数5,968と平日並みの来客で、その多くが1年以上昔のこのエントリをご覧になった後、右の人気記事ランキングにあるように、池田信夫氏の「3法則」、「捏造」、「症候群」、「書評」といった各エントリをじっくりとご鑑賞になっていかれたようであります

ご自分の良い評判を世間に広めたいという池田信夫氏の執念には頭が下がります。

中核と革マル、射精道の時代を思い出します。
議論が噛み合うのではなく非難合戦です。
浜氏への理解についてを見れば、こちらのほうがスケイル(尺度)が大きいように思います。
ノギスで液体を測ることはできません。

まあ、革マル派の巣窟の社会科学研究会の元部長で、仲間が4人も内ゲバで殺されたと語っている池田信夫氏が一方の首領ですからね。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/87b82fb7d88e3e98eaf045b8401db2c7">http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/87b82fb7d88e3e98eaf045b8401db2c7

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