榊原英資氏の「正論」
産経の正論欄で、榊原英資氏がこういうことを言われています。
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/080527/wlf0805270242000-n1.htm
>結論から述べてみよう。国が民間型の保険をやること自体が誤りなのである。1960年代、国民皆年金、国民皆保険ということで、福祉制度の充実のスローガンのもとに現在の制度がつくられたのだが、福祉制度の充実と保険制度の導入とが同じものと考えてしまったことに問題があったのだ。
福祉制度の充実は必要だし、国がそのために大きな役割を果たすことは必要である。しかし、国ができることは、税金を取って福祉にあてること、つまり、福祉サービスのメニューを充実して、そのための税金を取ることなのである。これは、広義の所得再分配であると考えられる。また、税金といっても、所得税や消費税のような一般財源ではなく、例えば、社会福祉税という名の特定財源でもいいわけである。
しかし国には民間のように保険料をとって、これを金融市場で運用する能力はない。つまり、個人から保険料という形で資金を預かって、これを運用して、保険金として返すことはできないのである。
>では、どうすればよいのか。答えは簡単である。厚労省が保険業務から全面的に撤退すればいいのだ。年金は、基礎年金のみとし、全額税金で負担する。基礎年金の額が現在のものでは低すぎるというのなら、例えば、消費税を増税して年金額を上げればいい。また、医療や介護についても、全額、税金(例えば医療サービス税などという特定財源か消費税)でまかなうこととすればよい。現在の保険料が税金に変わるだけなので増税(正確には国民負担の増加)にはならないはずだ。
このように考えていくと、厚労省・社会保険庁の業務は大幅に合理化できる。税の側は国税庁へ、支払いの側は地方自治体に任せれば、省そのものがいらないということにもなるのだろう。そろそろ厚労省・社会保険庁解体を真剣に考えるべき時だろう。
ここまで仰る以上、榊原氏が責任を持って、あらゆる社会保障需要をことごとく賄うだけの税金をどこからか取り立ててきてくれるんでしょうね。
それがどれだけの税率になろうが、責任を持ってそれだけの税金を持ってこれると。
市民の皆様は、やがて自分たちに返ってくる保険料だという名目もなく、喜んで山のような税金を払ってくださると。
榊原氏が近年熱を入れて支持しておられるらしい民主党も、「俺の払った保険料はどこにいった。サッサと返せ」などという民間保険原理に毒された馬鹿げたフレームアップはなさらないと。
ましてや、役所のムダをなくせば、税金などびた一文上げなくても急増する社会保障ニーズは全部賄えるとかいう訳の分からないご主張もなされないと。
まあ、社会保険と民間保険の違いも知らずに「正論」おひねりになるんですか、などとはいいませんが。
(参考)
実は、某所で榊原氏の本を推薦したりしてるんですけど。
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