« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »

欧州派遣労使の共同声明

5月28日付で、ヨーロッパ労働者派遣業協会(Eurociett)とUNIヨーロッパ労組がEU労働者派遣指令案に関して共同声明を出しています。EurociettのHPの記事から、

http://www.euro-ciett.org/index.php?id=113&tx_ttnews[tt_news]=47&tx_ttnews[backPid]=15&cHash=010602668d

>Both Eurociett and UNI-Europa hope that the EU Council, Commission and European Parliament will take this joint declaration into account in their forthcoming discussions on the Directive. 

The joint declaration, which reconciles the interests of the social partners of the sector, should be seen as a balanced and integral deal. 

The key points of the joint declaration are as follows:

-  The agreement recognises the positive role that temporary agency work can play in the labour market today, contributing to the implementation of active labour market policies, and meeting the requirements of the Lisbon strategy.

-  The agreement also recognises the principle of equal treatment from day 1 for temporary agency workers, with possible derogations (such as a qualifying period) to be agreed upon by national social partners, highlighting the need to find an application that is adapted to the national context.

-  The deal equally underlines the necessity to review on a regular basis restrictions imposed on temporary agency work, and the subsequent lifting of those deemed outdated or unjustified.

-  The Temporary Agency Work Directive must be linked to other existing directives dealing with the industry, such as the Posting of Workers Directive, which must be subject to a better and more effective enforcement and implementation.

まず、労働者派遣が労働市場に貢献していますと。

同時に、初日から均等待遇原則が必要ですと。

時代遅れな派遣事業規制はやめましょうと。

他の指令とのリンクもねと。

共同声明そのものはこちら、

http://www.euro-ciett.org/fileadmin/templates/eurociett/docs/position_papers/2008_AWD/Eurociett-UNI_Europa_joint_declaration_on_AWD_-_May_08.pdf

こっちはもっと詳しく、22項目にわたって書いてあります。

>1. UNI-Europa and Eurociett are of the opinion that an E.U. regulatory framework on temporary agency work (TAW) should be in the interest of both business and workers.

EUの派遣指令は労使双方の利益ですと。

>4. UNI-Europa and Eurociett consider that the proposed legislation should a) combine an adequate protection of agency workers and the role temporary work agencies can play in a well functioning labour market, b) provide a legal framework for temporary work agencies to operate that would help to prevent unfair competition by fraudulent agencies and/or user companies, counter abuses and illegal practices.

立法は派遣労働者の十分な保護と派遣事業の役割を結びつけ、不正な業者やユーザーを防ぐべきだと。

>5. To this aim, the legislation must secure the equal treatment principle for temporary agency with regard to their basic working and employment conditions and allow for better conditions development of a well functioning European market for temporary agency work services.

そのために均等待遇原則と派遣サービスが機能する条件が必要と。

>7. UNI-Europa and Eurociett stress on the one hand the necessity to identify and review obstacles of a legal or administrative nature, which may limit the opportunities for temporary agency work to operate, and, where appropriate, eliminate them. On the other hand, they recognise the necessity of certain restrictions to prevent potential abuses, such as potential undermining of employment conditions of workers.

派遣事業規制を見直し、できれば撤廃せよと。ただし労働条件を掘り崩すような濫用を防ぐ一定の制限は必要と。

>16. The non discrimination principle will apply from day 1 of an assignment unless a qualifying period is agreed on at national level by social partners and/or tripartite bodies.

非差別原則は派遣1日目から適用するが、各国で労使合意か三者構成で猶予期間をおけますと。これが、例のイギリスの三者合意では12週間となっていたところですね。

いずれにしても、こうしてEU派遣指令案は成立に向けていろいろと歯車が動き始めたようです。早ければ6月にも閣僚理事会で合意が成り立ってもう一度欧州議会に送られるという日程も考えられます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

EUにおける均衡処遇等

経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会で、標記のような報告をしてきました。年齢の話に続き2回目になります。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/21/agenda.html

レジュメはこれです。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/21/item1.pdf

議事録はそのうちにアップされると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

蟹工船がすごいことになっている件について

Bk20080502162111862l1 初めてそれを聴いたのは、確か先月18日の岩波書店で開かれた若者政策研究会のあとの懇談の席で、どなただったか最近若者の間で蟹工船がすごい売れているんですよと仰ったときだったと記憶しています。

その後、5月2日の読売に

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20080502bk02.htm

>プロレタリア文学を代表する小林多喜二(1903~1933)の「蟹工船(かにこうせん)・党生活者」(新潮文庫)が、今年に入って“古典”としては異例の2万7000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れている。過酷な労働の現場を描く昭和初期の名作が、「ワーキングプア」が社会問題となる平成の若者を中心に読まれている。

という記事が載り、

5月13日の朝日に

http://book.asahi.com/clip/TKY200805120295.html

>作家小林多喜二の代表作「蟹工船」の売れ行きが好調だ。若い世代を中心に人気を呼び、コーナーを特設する書店も相次ぐ。凍える洋上で過酷なカニ漁や加工作業を強いられる男たちが、暴力的な監督に団結して立ち向かう昭和初期のプロレタリア文学。いまなぜ読まれるのか。

ついには5月25日の産経のコラム「断!」でも、

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080525/trd0805250332002-n1.htm

> 小林多喜二『蟹工船』が売れているという。意外に感じるが、じっさい大手書店には平積みのコーナーまでできている。

 新しい読者は若いフリーター層、ワーキング・プア層が中心らしい。とすればこれまで、プロレタリアという言葉も知らなかったひとたちなのではないか。彼らが『蟹工船』の労働者たちに共感し、自分たちの境遇が「自己責任」などのせいではないと知るのは喜ばしいことだ。

 わたしが『蟹工船』を読んだのは、40年近くも昔、20歳前後のことだったろう。短期の肉体労働を繰り返していたころだ。それでもそのころすでに『蟹工船』は遠い時代の物語だった。労働3法は、たとえばわたしの体験した自動車工場の内部でも、とりあえず機能していた。日産京都工場の大争議など、『蟹工船』を連想させる事例は散発していたにせよだ。

 しかし、いまの派遣社員やワーキング・プア層の労働環境を見ると、事態は40年前よりもずっと小林多喜二の時代に近くなっているようだ。わたしの身近にいる若いひとたちの例を聞いても、その悲惨さは理解できる。現在は管理のシステムが洗練されただけだ。

そして昨日、下高井戸駅を降りた私は改札を出てすぐの啓文堂にふらりと入って目を疑いました。その「蟹工船」が、入ってすぐの平積み台に、8冊分の面積をとって堂々と並べられていたのです。確かその前の日は平積みとはいえ1冊分だったような気が・・・。もはや大手書店どころか駅前小書店まで巻き込んだ騒ぎになっているようで、なんだか幾何級数的事態のようですね。

Kani_3

| | コメント (1) | トラックバック (0)

日雇い派遣 禁止は有効?

昨日予告したとおり、本日の朝日新聞に、派遣ユニオンの関根秀一郎氏と私の対論が掲載されています。顔写真付きです。HP上には載っていません。

中身は新聞紙上でお読みいただくとして、それぞれにつけられた形容語が面白い。

>派遣労働者を支援している関根秀一郎・派遣ユニオン書記長と

>労働法のブログを主催する濱口桂一郎・政策研究大学院大学教授に議論してもらった

| | コメント (2) | トラックバック (0)

日雇い派遣を自粛

朝日の記事で、

http://www.asahi.com/life/update/0528/TKY200805280305.html

>日本人材派遣協会は28日、製造業などでの日雇い派遣の原則禁止を柱とする「自主ルール」を発表した。大手のグッドウィルなどで違法行為が相次ぐなか、ワーキングプア(働く貧困層)の温床と批判されている日雇い派遣を自粛することで、業界全体への不信感を取り除くのが狙いだ。

>自主ルールはこの日の定時総会で議決された。製造・運送業などでの軽作業に関し、「意図的な1日単位の細切れ契約は行わず、労働者の希望に応じて可能な限り長期の契約を確保する」と明記。通訳など専門業務や、臨時的で日雇いの必然性がある業務は対象外となる。

いや、もちろん、ある期間継続する仕事なのに意図的に短くしたり日雇いにしたりというようなことが望ましくないのは、派遣であれ直用の有期雇用であれ同じです。昨年末成立した労働契約法でも、

>使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。(17条2項)

と定めていますし、これをもとに指針では、3回更新したら終了1ヶ月前に予告しろと定めています。臨時的で日雇いの必然性のある場合はいいのは当然です。派遣だからどうこうと考えること自体がおかしいのです。

>派遣労働者を支援する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「対策が遅すぎ、派遣会社のピンハネや多発する労災への対策もなく不十分。日雇い自粛だけでなく、5年、10年先を見据えて将来設計ができる働き方にしていくべきだ」と話す。

実は、明日の朝日新聞で、この関根さんと私が日雇い派遣禁止の是非について対論しております。お読みいただければ幸いです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

公務員改革修正合意

今国会では成立しないと思われていた公務員制度改革基本法案が、急転直下修正して成立することになったようです。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080527-OYT1T00628.htm

>焦点だった「団体協約締結権」を付与する公務員の対象拡大や政官接触制限の見直しなどで、与党が民主党の主張を大幅に受け入れ、26日の修正協議の不調から一転、今国会で成立する見通しとなった。修正案の表現の詳細を詰め、28日の衆院内閣委員会に共同提出し、29日の本会議で可決、参院に送る方針だ。

>給与水準などの労働条件を労使で決める団体協約締結権を付与する公務員の対象拡大に関しては、政府案では「検討する」としていたが、「(国民の)理解をもとに、関係制度を措置する」と修正する方向だ。

「措置する」と云うことは、そういう方向性は明確にするということなんでしょうね。ここのところは、民主党が連合から突き上げられて、せっかくのタネを潰すなということになったのでしょう。まあ、どこまでどうするかはまだまだこれからの話ですが。

あと、

>定年の65歳への段階的引き上げを「検討」と明記し

というのが、大変重要な意味を持つと思われます。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

労働市場改革専門調査会議事録 on 生活保護

5月8日に開かれた経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会については、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_fbbc.html

で紹介したとおり、地方財政審議会の木村陽子さんの報告がされたのですが、その議事録がアップされました。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/20/work-s.pdf

木村さんの報告は、全国知事会・全国市長会がまとめた生活保護制度の見直し案がベースですが、あとの議論で佐藤先生との間で、

>(佐藤委員)生活保護基準額と昀賃なり非正規雇用者の収入との均衡について、例えば生活保護を受給している2人世帯の場合、母子家庭の生活保護受給額が 231万円で、昀低賃金で児童扶養手当をもらっている場合は 203万円で、これだと、なかなか生活保護から非正規雇用に移らないだろうということがポイントだと思う。

この場合、考え方として2つあって、1つは生活保護基準額を下げろという議論と、もう1つは非正規雇用者の年収を上げろということだと思うが、先生の主張は非正規雇用者の年収を上げろということなのか。

(木村先生) 私達の主張は均衡を図る必要があるということ。

(佐藤委員)非正規雇用者の方は、御存じのように、数字的に圧倒的に多いのは 114万円台の既婚女子。これが非正規雇用既婚女子の配偶者の年収である 526万円とセットになっている。既婚女子の多くはでこの水準でよいと思っていて、他方で、このことが母子家庭の 203万円を制約している状況がある。

ここはもう前々から議論しているところで、この 114万円のところの人たちが更に上の水準でなければ困るというふうにしない限りは、こちら側は変わらない。これは今日、大沢委員が別の会議で言われていたが、103万円なり 130万円のところの話で、これが変わらない限り、非正規雇用者の年収はなかなか上げられない。114万円の人は労働市場から出ていってもらうか、あるいは 103万円や 130万円を超えて働くというインセンティブをつくらないと、こちら側の賃金が上がらない。

(木村先生) 私達は均衡だから、どちらが高い、どちらが低いということではない。

というやりとりが面白かったです。そりゃ、どっちが高いとか低いとか言えば、それ自体が大騒ぎのもとですからね。

あと、小林さんが就労支援の主体について、こういう興味深いことを言っています。

>政府等がやっている制度は、フリーターの人たちにとっては何となく敷居が高いというか、NPO関係の共同住宅も何となく違和感があって入りづらいとかいうような問題があって、なかなか普及しない。これをどうやって、どういう形ですんなりと入れるようなものにしていくかということだがどのように考えたらいいのか。

>何でこんなことを言うかというと、例のネットカフェも、だんだんビジネスが行き詰まってきて、日々でなくて 30日の長期間で4~5万円の使用料というコースも出てきた。そこで何をやっているかというと、住民票が取れるとか、郵便を受け付けるということをやった上に、就職支援もやるという。どこかを紹介して紹介料を取ろうという話かもしれないが。また、レンタルオフィス・ビルビジネスも、レンタルのネットルームとかいって1か月間小さな部屋を貸して、併せて就業支援を行うというビジネスを始めているという話も聞く。これらの決め手は就業支援、就職支援活動で、ネットカフェなどの方が職業訓練施設に行くよりも、彼らにとっては敷居が低くて入りやすいのではないかと思う。私はそこに一番のメリットがあるだろうと思う。職安にも来たがらない層がいるし、仕事は山谷や釜ヶ崎に行けばあるけれども、何となくあそこは近寄りがたいというところがあって、ネットカフェが一番いいということだろう。ネットカフェ等で就業支援等を担える層が出てくると、そこに支援のお金が出れば、もうちょっとスムーズに就業支援等が行われるのではないかという感じがしているが、そんな考え方は突拍子過ぎるか。

ジョブカフェよりもネットカフェというわけですか。貧困ビジネスと貧困対策は紙一重というところもあるのかもしれませんが。

おそらくもっとも本質に関わる論点は、八代先生とのこの対話でしょう。

>(八代会長)先ほど木村先生より、ワーキングプアと言われる人たちが必要昀低生活費と賃金の差額を福祉給付でもらうというのは避けなければいけないと現場の人が言っているということだが、ある意味、そうすることは逆に非効率ではないか。つまり、色々な賃金の人がいるわけなので、就労と福祉の組み合わせが必要ではないか。

>(木村先生)現場の感覚としては、一旦生活保護を受給し始めると、本当に自立が難しいという感覚を持っている。だから、本当に所得の低い人たちに基本手当との組み合わせではなくて、何かできないかということを思っている。そのことを申し上げた。

>(八代会長)生活保護と同じ考え方だけれども、いわゆる生活保護とは違う第2のシステムをつくる必要があるということだろうか。

>(木村先生)国によって生活保護はテンポラリーなもので、ほかの制度、例えば障害年金で生活保護の代わりをするとか、いろいろある。生活保護にも頼らない制度をつくるとか。それと似ているのかもしれないが、とにかく一旦生活保護を受給し始めたら、卒業しにくいというのが現場の感覚である。

生活保護じゃない形の生活保障システムを考える必要があるのではないかという議論まで、あと少しの所まで来ています。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

浜矩子『資本主義と自由』書評

「エコノミスト」誌に、浜矩子氏によるミルトン・フリードマン『資本主義と自由』の書評が載っています。

これがなかなかいい。ただただ思考停止してフリードマンまんせーしている書評もネット上に散見される中、こういう一ひねりした上質の書評はいいものです。

>読み進むうちに、面白いことに気がついた。それは、本書の価値がその時代遅れぶりにあるということだ。

>当時のアメリカでは、資本主義の計画経済化をめざす傾向が強まっていた。大きな政府を志向する発想が主流化している面があった。・・・そのような世相に対して、著者は人間たちの自由な選択の集合場所である市場の優位性を断固主張する。

>その姿勢と論理の一貫性には、実に迫力がある。読んでいて気持ちがいい。だが、どうしても一定の時代錯誤感を免れない。それは、今日のわれわれが、いわばフリードマンの薬が効きすぎた世の中に住んでいるからだ。

>『過去と比較しても資本主義社会では経済の進歩により不平等が大幅に減ってきたことが判る」。フリードマンはそういう。確かにその通りだ。だが、これからはどうか。平等社会の典型だったはずの日本において、格差がこれだけ人々を心配させる現実を、われわれはどう受け止めたらいいのか。ネットカフェ難民たちは本当に資本主義の犠牲者ではないのか。

>こういう疑問を持たせてくれるところに、本書の貴重さ、今、読むことの意義深さがあると思う。

実は、私も大学に入った70年代後半に読んで、大変同感した覚えがあります。ただ時流に乗って空疎なことを書き散らす連中と対比すると、時代精神に真っ向から対決するこういう作品は自ずから感動を呼び起こすものでしょう。それは自由競争万能主義がはびこる19世紀のまっただ中でマルクスの資本論を読むのと同じようなものかも知れません。今の時代にフリードマンを読むのは、ソ連の収容所でマルクスを読むのと似たほろ苦さがあるのかもしれませんね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

経済同友会の消費活性化提言

経済同友会が「消費活性化が経済成長を促す」という提言を発表しています。

http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2008/pdf/080522a.pdf

興味深いのは、国民の不安を払拭することが消費活性化につながるとし、その2つの柱の一つとして「働く個人の不安払拭に向けて企業がすべきこと」を挙げていることです。

消費が低迷する原因は政府の無策にあるだけではなく、企業の労働に関する行動にもあったということを率直に反省しているといっていいのでしょうか。

中身を見ていきましょう。

>本提言では、働く個人の中でもとりわけ若年層の雇用環境、所得環境に着眼し、企業がすべきことを提示する。これには、本来、若年層は家族形成等により活発な消費を行う年齢層と考えられるが、その一方で、現在の若年層は、雇用環境の変化に加え、少子高齢化による税・社会保険料の増加の影響も相俟って、終身雇用制度、年功序列の賃金体系の下で所得を得ていた世代に比べ賃金が安定的に拡大しにくい状況にあることを踏まえたという背景がある。
今後、人口減少により労働市場が逼迫する中で、企業が行うべき若年層に対する処遇のあり方を通し、若年層が所得について長期的な見通しを立てられるような労働市場の形成を促すこと、加えて、少子化対策として、企業による仕事と育児の両立支援について提示する。

では具体的に何をどうするというのか。

>企業がすべきことの第一は、人口減少社会において、競争力を向上させていくために人材にも経営資源を適切に充当することである。今後は優秀な人材に対し、能力、さらには成果に応じた報酬を払えなければ、企業は競争力を失うことになる。

まあ要するに、労働者にも適切に配分していかなくちゃというマクロ経済的にごく当然の話。

>第二は、若年層が長期的な所得の見通しを立てられる労働市場の形成を企業が促すことである。

おっと、経済同友会がそれを言いましたか!という感じです。まさにそれが重要なんですよ。ただ、この「長期的」という形容詞がそのすぐ後に必ずしもつながっていかないような気がします。

>そのためには、先ずは、企業が求める人材像と報酬を労働市場に明確に示すことが必要であるが、人材要件の提示にあたっては、所謂「ジョブ・ディスクリプション」で示すような職務に求められる専門知識、能力やスキル、成果のみならず、企業が掲げる理念への共感、職務を通して社会に貢献しようとする姿勢含まれるだろう。
これにより、労働力の供給側である個人は、自身が労働市場を通じ雇用を確保し続けるために、どのような能力やスキルを磨き、成果を出さなければならないかがわかる。こうした労働市場の形成は、個人が所得獲得能力を培い、長期的な所得の見通しが立てられるようになること、労働市場の流動性を高めることに繋がる。

文脈が入り組んでいるんですが、「ジョブ・ディスクリプション」のような、その時その時の職務内容でもってものごとを決めていくのではなくて、もっと長期的な視野(ここでは出てきませんが「キャリア」とでも言うべきでしょうか)でのスキル形成を考えろと言っているわけで、筋は通っているんですが、「のみならず」「も」という助詞の使い方になにがしかジョブ志向の形跡が見受けられたりして、しかも最後のところで「労働市場の流動性」が出てきたり、なかなか労務管理思想上興味深いところです。

>第三は、雇用形態に関わらない処遇を行うことである。能力、さらには成果により価格(報酬)を決める労働市場の形成を促すには、正規、非正規といった雇用形態の違いによる処遇の差を縮小していくことが必要である。

いや、だから同一労働同一賃金原則ということを言うつもりであるならば、「能力、さらには成果」などといった主観的要素ではなく、客観的な職務内容自体に値札が付く労働市場を形成するんだと主張すべきなんですが、そうでもないわけで、その辺、非正規も職能的処遇でやっていくんだそれが日本的均等待遇なんだ!という割り切りをしているわけでもないところが、この一見すっぱりとものを言ってるようで実はその筋の人が見るとうーむという提言なんですね。

>第四は、仕事と育児の両立支援である。子育て期間中の社員の支援策には、時差出勤制度や事業所内への保育施設の設置等があるが、こうした支援も正規、非正規といった雇用形態の区別を設けず実施していくべきである。少子化は、消費を下押しする要因であり、少子化対策の観点からも個人のワーク・ライフ・バランスの推進が求められる。

これはわりとすっきりいえますね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

榊原英資氏の「正論」

産経の正論欄で、榊原英資氏がこういうことを言われています。

http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/080527/wlf0805270242000-n1.htm

>結論から述べてみよう。国が民間型の保険をやること自体が誤りなのである。1960年代、国民皆年金、国民皆保険ということで、福祉制度の充実のスローガンのもとに現在の制度がつくられたのだが、福祉制度の充実と保険制度の導入とが同じものと考えてしまったことに問題があったのだ。

 福祉制度の充実は必要だし、国がそのために大きな役割を果たすことは必要である。しかし、国ができることは、税金を取って福祉にあてること、つまり、福祉サービスのメニューを充実して、そのための税金を取ることなのである。これは、広義の所得再分配であると考えられる。また、税金といっても、所得税や消費税のような一般財源ではなく、例えば、社会福祉税という名の特定財源でもいいわけである。

 しかし国には民間のように保険料をとって、これを金融市場で運用する能力はない。つまり、個人から保険料という形で資金を預かって、これを運用して、保険金として返すことはできないのである。

>では、どうすればよいのか。答えは簡単である。厚労省が保険業務から全面的に撤退すればいいのだ。年金は、基礎年金のみとし、全額税金で負担する。基礎年金の額が現在のものでは低すぎるというのなら、例えば、消費税を増税して年金額を上げればいい。また、医療や介護についても、全額、税金(例えば医療サービス税などという特定財源か消費税)でまかなうこととすればよい。現在の保険料が税金に変わるだけなので増税(正確には国民負担の増加)にはならないはずだ。

 このように考えていくと、厚労省・社会保険庁の業務は大幅に合理化できる。税の側は国税庁へ、支払いの側は地方自治体に任せれば、省そのものがいらないということにもなるのだろう。そろそろ厚労省・社会保険庁解体を真剣に考えるべき時だろう。

ここまで仰る以上、榊原氏が責任を持って、あらゆる社会保障需要をことごとく賄うだけの税金をどこからか取り立ててきてくれるんでしょうね。

それがどれだけの税率になろうが、責任を持ってそれだけの税金を持ってこれると。

市民の皆様は、やがて自分たちに返ってくる保険料だという名目もなく、喜んで山のような税金を払ってくださると。

榊原氏が近年熱を入れて支持しておられるらしい民主党も、「俺の払った保険料はどこにいった。サッサと返せ」などという民間保険原理に毒された馬鹿げたフレームアップはなさらないと。

ましてや、役所のムダをなくせば、税金などびた一文上げなくても急増する社会保障ニーズは全部賄えるとかいう訳の分からないご主張もなされないと。

まあ、社会保険と民間保険の違いも知らずに「正論」おひねりになるんですか、などとはいいませんが。

(参考)

実は、某所で榊原氏の本を推薦したりしてるんですけど。

http://www2.gakkou.net/daigaku/gkmnavi/books_detail_49.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

讃井暢子さん

20080520dd0phj000005000p_size5 毎日新聞に讃井暢子さんの記事が出ていました。

http://mainichi.jp/life/job/news/20080519ddm013100028000c.html

>経済界の重鎮が歴代会長を務め、「男社会」のイメージが強い日本経団連。その事務局で今月28日、常務理事に昇格する。終戦直後から約60年に及ぶ歴史で、初の「女性役員」誕生だ。

>各国経済界との橋渡し役を担うきっかけは大学院時代の修士論文だ。政府と労使代表が参画する「国際労働機関」(ILO)を研究した。「実態を知りたい」と80年、労使関係を扱う旧日経連に就職し、国際畑を中心にキャリアを積み重ねた。「仕事で女性を意識しない」と語るが、娘の幼少時代、午後5時過ぎに帰りの電車に駆け込み、保育園へ迎えに行く忙しい日々を過ごした。家族との時間を大切にし、今でも8時ごろ帰宅し、料理をして夕食を共にする日も多い。「違う世界を持つことがストレス解消法」と、自然体で仕事と家庭を両立させている。

ワーク・ライフ・バランスという言葉を、その「ワーク」と「ライフ」のそれぞれの重さをよく判った上で語れる方というべきでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

心の病労災

読売が、心の病労災について突っ込んだ記事を書いています。

http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08052603.cfm

>心の病気の労災認定者数が過去最悪となった理由として、厚労省、労組関係者、心療内科医などが共通して指摘するのは「職場環境の悪化」だ。職場に成果主義による人事制度が導入された結果、競争が激化し、人間関係がぎくしゃくするケースが増えた。「弱み」を見せまいと、心身の不調を一人で抱え込み、限界まで我慢する。外見だけでは異変が分からず、周囲が気付いた時には手遅れという場合もある。

http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08052602.cfm

>連日接待…得意先奪われ 不眠

同僚に相談できず 成果主義「ライバルだから」

>NPO法人「働く者のメンタルヘルス相談室」(大阪市)の伊福達彦理事長は、「うつ病は、特別な病気ではなく誰にでも起こりえるが、身近にいても気づかないことも多い」としたうえで、「会社には、従業員の心の健康状態を専門家が定期チェックする労務管理が必要。国も、過労死ラインとされる残業時間に近い勤務実態があれば、強制的に休ませるなど労働時間を規制すべきだ」と語る。

http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08052601.cfm

>病院内で「模擬出勤」

心の病気で休職…職場復帰へプログラム

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「産経新聞の残業代と週刊新潮さんの記事」というブログ記事

産経HPの記者ブログで、池田証志記者が週刊新潮の悪意ある記事に反論しています。それも、22日、24日、25日と、既に3回にわたって。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/media/080522/med0805222256001-n1.htm

ま、週刊誌は何かというと残業代、残業代とゼニカネのことしか脳みそにないような記事ばっかり書くことは、既に例のホワエグの時以来周知のことですから、今さら驚きませんが、

>週刊新潮さんにはいつもお世話になっていますが、今週号(20008年5月29日号)で取り上げていただいた「『産経新聞』だけじゃない 『経費削減』でサラリーマンはつらいよ」の見出し記事には、驚かされました。弊社は今年4月から、コンプライアンスと社員の健康管理・ワークライフバランス、賃金の公正な配分の観点から、時間管理と関連手当に関する新制度を施行しましたが、同記事には誤報、アンフェア、非常識な記述が少なからずありましたので、指摘させていただきます。

>同記事には、「会社側は残業代削減30%の目標を掲げているだけに、社員は戸惑いを隠せない」と書かれていますが、そんな目標はありません。

 「残業時間を30%削減する」という目標はあります。ただし、もしこの目標が達成できたとしてもいわゆる給料が減るわけではありません。新制度は基本的に、残業や深夜労働、休日出勤など、勤務時間に関する手当を合計すると、残業時間を30%削減したときに旧制度と同額が支払われるように設定されています。当然、残業時間を削減できなければ、これらの手当は旧制度時を上回ります。

 ですから、新潮さんが「産経新聞社は新制度を使って残業代をカットしようとしている」と主張されたいなら、間違いです。

いやあ、でも産経新聞さん(だけではありませんけど)だって、残業代残業代と、ゼニカネのことしか頭にないような報道をされていたような気が・・・。

あと、いろいろと書いていることも、それ自体が新聞社の労働時間管理というものを大変良く浮き彫りにしておりまして、実に興味深い記述がたくさんありました。

> 「私用時間には給与を払わない、そのことによって経費削減を確実にするという狙いのようだ」

 ・・・。当たり前じゃないですか! どこの会社が「私用時間」に給与を払うんですか? しかも、逆風の新聞業界ですよ。「私用時間手当」でも作らない限り無理です。

 時間管理を事実上まったくせず、比較的高い給与水準を維持し、事実上の第4の権力となっているマスコミ業界の給与体系と人事管理、リスク管理は、一般企業からみれば噴飯モノです。マスコミ業界の常識は世間の非常識だったりするものです。

 弊社は、そういったマスコミの悪弊から早く、少しでも抜けだしたいのです。さらに、弊社はご存じの通り、マスコミ内では給与が低いので、限られたパイを公正に分け合うことで納得性を確保したいので、新制度を導入した次第です。

まあ、でも新聞記者のような本来的意味における裁量労働制がふさわしい職種の場合、そもそも何が「私用時間」で何がそうでないかがそんなに明確に区別できるのかという根本的な問題がそういう「悪弊」の元にあるような気もします。

でも、池田記者のように、

>何が勤務時間で何が勤務時間でないのか、弊社の多くの社員(私も含め)はそれすら認識していない状況でした。旧制度の打ち切りの残業代では、社員を働かせ過ぎたり、社員が残業代をもらい過ぎたりしますので、改革の必要性がありました。

というふうに感じている記者も多かったから、こういう制度になったのでしょう。労働時間問題の難しさを、新聞記者ご自身の労働時間の在り方を素材にあれこれ考えてみるというのも、今後の報道を充実させていく上でお役に立つのではないでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

職場いじめと過労自殺

既に新聞等で報じられていますが、厚労省が個別労使紛争と労災の発表をしています。

まず、平成19年度個別労働紛争解決制度施行状況ですが、

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0523-3.html

>総合労働相談の件数は約100万件、民事上の個別労働紛争に係る相談件数も約20万件となり、制度発足以降依然として増加を続けている。

また、助言・指導申出受付件数は6千6百件を超え、あっせん申請受理件数は 約8千件と昨年度実績を上回っており、引き続き、制度の利用が進んでいることが窺える。

例年もそうですが、解雇紛争が一番多く、次いで労働条件の引き下げ、いじめ・嫌がらせが主たるものです。

例として、こんなのが:

> 申請人は、顧客からクレームがあった際、上司から人格的価値、社会的評価・名誉を害する発言を受け、会社に職場環境の改善を求めたが聞き入れてもらえず、逆に会社からも言葉の暴力等により精神的に追いつめられ、退職を余儀なくされたとして、精神的苦痛及び経済的損害に対する補償を求めて、あっせん申請を行ったもの。

>あっせん委員が双方の主張を確かめ、当事者間の調整を行った結果、解決金○○万円を支払うことで双方の合意が成立した。

こういうふうに個別労使紛争として浮かび上がってくればまだ良いのですが、労働者の心の中で葛藤が進むと、こちらの発表のほうの数字になってきたりもします。平成19年度の「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(「過労死」等事案)の労災補償状況」及び「精神障害等の労災補償状況」です。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0523-2.html

これについては、朝日の記事を、

http://www.asahi.com/job/news/TKY200805230291.html

>仕事のストレスが原因でうつ病などの精神障害になり、07年度に労災が認められた人は前年度の1.3倍の268人で、過去最多を更新したことが23日、厚生労働省のまとめでわかった。そのうち、過労自殺も15人多い81人(未遂3人含む)で過去最多。長時間労働や成果主義が広がる中、心の病に悩む人が増えていることを示した。

最近、この関係でいくつも注目すべき判決が出ています。どれも新聞記事なので詳しいことは分かりませんが、

http://www.asahi.com/national/update/0522/TKY200805220289.html

>「海外出張重なり過労死」 残業短くても労災認める判決

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805190056.html

>過労の背景に家事労働の負担も認定 大阪地裁判決

などです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

移民は「福祉の居候」

昨日のエントリーの関連で、興味深いブログ記事を見つけましたので紹介します。

http://ameblo.jp/komanatsu86/entry-10061131532.html(デンマークの移民問題)

デンマークはオランダと並んで、心が広くて寛大で可哀想な外国人をどんどん受け入れてきた国ですが、その社会的帰結がどういうことになっているかはあまり日本で報道されることはありません。以前、例のムハンマドの風刺マンガについてデンマークの移民状況に触れたことがありますが、デンマークに留学している日本人女子学生のこの記事は、その実態をよく伝えてくれています。

>なんで「愛の橋」と呼ばれているかと言うと、実はこれはデンマークの厳しい移民政策と関係あるんです。デンマークには「24歳ルール」と言うのがあり、デンマーク人は24歳以上にならないと非EU&北欧出身の人と結婚する事が禁じられていて、又相手(つまりデンマーク人じゃない方)はデンマークに住むことが出来ないのです。そのため、デンマーク人とデンマークで一緒に住みたいけど住めない非EU&北欧の人は、スウェーデンで住民券を取得し、デンマークに一番近い都市・マルメに住み、デンマークにいる相手と毎日橋を渡って会いに行くのです。なので、この橋は「愛の橋」と呼ばれています。

ちなみに、上記の「24歳ルール」は、デンマークの国籍を取得するために、主にアラブ系の女性がその家族により無理矢理デンマーク人と結婚させられるのを防ぐため、または偽造結婚を防ぐために作られた法律でしたが、このルールにより国際結婚をしたい多くのカップルが弊害を受けているのです。

2005年に北欧での「風刺画問題」は皆さんの記憶に新しいと思いますが、実はこの問題となった風刺画を一番最初に載せたのはデンマークの最大有力新聞・Jyllands-Posten(ユランズ・ポステン)でした。

>この風刺画問題がデンマークでの対ムスリム、islamophobiaが以前にも増したのは当然ですが、この事件以前からデンマークでは対移民感情が政治・社会の場でありました。

1999年に行われたThe European Values Study によると、ヨーロッパ31カ国のうち、デンマークは「4番目に外国人嫌い(xenophobia)である」という結果が出ました。特に、ユダヤ人やムスリムに対してxenophobiaがあるのだそうです。

又、デンマークで今年2007年11月に行われた選挙でも「移民問題」が焦点となりました。特に移民問題は、1995年に結成し移民政策強化を訴えているDanishPeople’sParty(デンマーク国民党) が、1998年以降からの選挙で「移民問題」に焦点を当てる事に成功した事により、各政党もこぞって移民政策に対する姿勢を打ち出す様になりました。この成功には、メディアによるデンマーク国民党へのバックアップも関係しています。

>以上、主に対イスラムに関するデンマークでの移民問題について記しましたが、この他にも今後大きな問題になるであろう、移民の失業率の高さ教育水準の低さ、そして移民と福祉の問題、などが挙げられます。一般的に、先進国が移民を受け入れるメリットは労働者不足を補う事が出来る点にありますが、デンマークは移民を上手く労働市場と結べ付けずにいるのです。

デンマークでは、16-64歳の職を持っている純粋なデンマーク人は77%であるのに対して、職を持っている非・西側諸国出身の移民は47%と言われています。又、ソマリア、レバノン、アフガニスタン、イラクから来た移民は、より貧しい労働をしているんだそうです。

移民が安定した職を持てるかどうかは、移民の教育水準に比例すると言われています。移民の教育水準は純粋なデンマーク人と比べると低く、高等教育の資格を持っている純粋なデンマーク人は66%であるのに対して、移民の子供世代では39%だそうです。デンマークでは学校は大学まで全て無料で通う事が出来ますが、言語の問題などもあり、移民やその子供の中には途中でドロップアウトをしてしまうケースが多いため、移民の教育水準が低くなってしまってると言われています。

教育水準の低さ、又失業率の高さからか、地方では移民による犯罪率が高いという統計もあります。

又、福祉国家デンマークでは、全ての失業者には「失業者保険」がおります。つまり、移民であってもこの保険をもらう事が出来るのですが、デンマークでは移民の失業率の高さから、働いてないのに保険を貰っていると思われ、移民は「福祉の居候」、「好都合難民」という固定観念が出来てしまいました。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

移民と生活保護

本ブログで何回か田村哲樹さんの議論を取り上げて疑義を呈したことがありますが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_48ae.html(労働中心ではない連帯?)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_0a8b.html(ナショナリティにも労働にも立脚しない普遍的な福祉なんてあるのか)

純粋哲学的な議論は別にして、実は一番気になっているのは、最近与党筋の方からやたらにかまびすしい移民受入れ論との関係なんです。

ヨーロッパはかつて外国人労働力を導入したつもりが、家族もろとも移民の大集団が居着いてしまって、実は今何が一番の問題かというと、俺たちが乏しい収入から払った税金があいつら移民野郎どもの福祉給付に無尽蔵に垂れ流されてしまっている、ふざけるな、という憤懣なんですね。

福祉の哲学的根拠を「シチズンシップ」に置く限り、あいつら移民どもに俺たちのシチズンシップを認めてやった覚えはねえぞ、という血の論理が湧いてくるのを止めることは原理的に不可能です。ヨーロッパ人だって決して高級じゃない。「仲間」と認める範囲は限られているのです。

「高度人材」という名目で実は低賃金労働をやってくれる外国人を移民として導入したら、ヨーロッパの経験に鑑みる限り、間違いなく彼らや彼らの家族が莫大な福祉給付の対象になっていかざるをえませんが、それを心広く受け入れるだけの心の準備が日本人にあるのか、というのが最大の問題です。

先日のぶらり庵さんのコメントに対して述べたこととも関連しますが、戦前戦中に大日本帝国臣民として全く合法的に居住就労していた人々に対してすら、戦後長らく福祉の手を差し延べることを拒否してきたわけですからね。

人種・民族差別を禁止しようとする人権擁護法案は、提出されてから早くも6年になりますが、抵抗が強すぎて、全然成立の見通しはないようですし。

私は、外国人をもっと大幅に受け入れていくこと自体には決して反対ではありません。ただ、その前提条件はかなりハードルが高いように思います。

この問題を論ずる人々は、まずはこういう問いを自らに発してみてもいいのではないでしょうか。

>働いてもらうつもりで連れてきた外国人が働きもせずに貧しいから生活保護をくれとわめいている。さあ、どうしますか?

| | コメント (8) | トラックバック (0)

イギリスで派遣労働均等待遇に政労使合意

今日は午前中、都内某所で派遣労働について有識者の意見を聴く会合に出ていましたが、戻ってみると、イギリスからびっくりするようなニュースが届いていました。

http://www.euractiv.com/en/socialeurope/london-clears-way-temporary-workers-rights/article-172536

イギリス政府と労組会議(TUC)、経団連(CBI)の三者間で、派遣労働者の均等待遇に関する合意ができたというニュースです。

>Social partners and the UK Government have reached an agreement to grant equal treatment to workers employed via temporary work agencies, clearing the way for an EU directive on the issue, which could be launched as early as next June.

The agreement reached among British employers' confederation CBI and the country's Trade Union Confederation (TUC) concerns the following points:

  • After 12 weeks in any given job, agency workers will be entitled to treatment equal to permanent workers'. 
  • Concretely this means that at least the basic working and employment conditions should be the same as if the workers had been recruited directly by the company they are working for to occupy the same job. 
  • Equal treatment does not cover occupational social security schemes. 

Both sides agree that the deal achieves fairer treatment for agency workers while not removing the flexibility that agency work can offer both employers and workers.

The UK governement will start a consultation with social partners on implementing measures, such as dispute resolution mechanisms, sectoral agreements and anti-avoidance measures.

これで、長らくイギリスの反対で成立に至らなかったEUの派遣労働指令案が採択に向けて大きく動くと思われます。

フィナンシャルタイムズ紙の記事は、「disastrous」という経営側の声を見出しにしています。

http://www.ft.com/cms/s/0/703f1ae2-26d0-11dd-9c95-000077b07658.html?nclick_check=1

>Business leaders have described as "disastrous" and "a bad deal for for the country" a government brokered agreement giving up to 1.4m temporary and agency workers equal rights with permanent staff.

The CBI employers' organisation, however, defended the deal as "the least worst outcome available".

the least worst」っていう、最上級を二つ重ねた言い方がすごいですね。

なんでCBIはこんな合意をしたんだという批判に対して、

>He said there had been "a major risk of damaging legislation coming from Brussels". The CBI had "judged that the government's proposals represent the least worst outcome available".

もっと破壊的な法制よりはましだから・・・。

それは何かというと、

>Ministers hope the deal will ease the pressure from Brussels to concede even more ground on temporary workers' rights in return for Britain being granted a permanent opt out of the working time directive, which would allow employees to work more than 48 hours per week.

"We're now very hopeful of securing the [permanent] working time opt out," said the Department for Business Enterprise and Regulatory Reform.

労働時間指令でイギリスに認められているオプトアウトの権利を守るのと引き替えに、派遣の方は泣く泣く妥協したんだということのようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

70歳定年など月内に素案

読売から、

http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08052110.cfm

>政府・与党は、雇用や税制の優遇措置などを含む総合的な高齢者施策の取りまとめに着手した。後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に対する国民の批判が強まる一方の中で、福田政権として高齢者に配慮した政策を打ち出す必要があると判断した。

 自民党は今週中に厚生労働部会などの合同部会を設置し、検討を急ぐ。与謝野馨・前官房長官が中心となり、〈1〉定年を70歳に引き上げる〈2〉高齢者マル優を復活させる〈3〉後期高齢者の扶養控除を認める――ことなどを検討対象とし、月内に結論を出す考えだ。

 高齢者施策の策定をめぐっては、与謝野氏が16日、「後期高齢者医療制度の話ばかりやらず、自民党としてもう少し大きく出た方がいい」と首相に進言したことで動き出した。

 首相は20日の閣僚懇談会で、月内に施策を取りまとめるよう自民党の谷垣政調会長に指示したことを明らかにした。

うーむ、70歳定年ですか。これは実はなかなか簡単ではありません。肝心の高齢者の側がどこまでそれを望むのか、という問題があります。

厚労省HPにアップされたばかりの労政審職業安定分科会の議事録にこんなのがありました。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/txt/s0328-1.txt

これは雇用保険法施行規則の一部改正で、70歳定年引上げ等モデル企業奨励金というのができるということで、労働側委員が、

>○長谷川委員 徳茂委員もおっしゃったのですが、この間、70歳まで働く企業の普及促進に関しては、何回か議論があったわけですが、いつどこで70歳と決めたのかというのが、私の記憶がおかしいのかわからないのですが、どこで決めたかがわからないのですね。誰がいつどこで70歳まで働き続けようと決めたのかというのがはっきりしない。

>・・・そうすると国民の中にも、労働者の中にも60以降の働き方については、いろいろ議論があるわけですから、その働き方の議論は労働者の人生設計にかかわることだから、もう少しきっちりと議論をしてほしいのです。現在70歳ですごく元気な方がいらっしゃって、そういう意味では70歳というか結構、働きたいという人はたくさんいると思うのですが、でも、働きたいということと、職場の中でどういうふうに働くかということと、処遇をどうするかということは、非常に重要な関係にあることで、こういうことをしっかりと議論しないまま、何か70まで働きましょう、働きましょうというのは、私は少し問題があるし、労働者もなかなか自分の人生設計が作れないのではないかと思うのです。
 もう1つは石井委員からもありましたが、みんなやはり68歳とか70歳の年金開始年齢を気にしているわけです。またこんなことをやれば、70歳年金開始年齢って延ばされるのではないか。これみんな思っているわけですよね。そういうことに対して、この70歳が出れば出るほど、みんなが年金を延ばされるのではないかと、この不安と疑問が現時点では払拭されていないと私は思うのです。

○長谷川委員 もう1つ、しつこいようですけど、55→60、60→65というのは、全部年金とリンクしている話なのですね。だから70と言われたときも、ほとんどの人たちは、私のところで会議を開いたときに年金開始年齢70を、厚生労働省は今回は旧労働省が雇用の機関で70という、年金開始年齢を射程距離に置いて出してきたのではないかと、この疑問に対して全然私たちには反論できないのですよ。いままでの例がやはり60、65となったときに、また5年で70といったときに、どうもこれは年金を70にやるための布石ではないかというふうに、ほとんどの構成組織から言われています。それに対して、それは違うって私たちは言ったとしても、誰も本当だと思っている人はいないということも事実なのですよ。最後まで違うと言えますか。70という年金開始年齢は絶対ないと言えますか。

実は、熊本の労働法学会の懇親会で、長谷川さんとちょっとこの話をしたんですけど、やっぱり職種によるよねえ、という結論。もういいかげん疲れたから年金もらって引退したいって人もいるし、後記高齢者になっても元気満々儂が居なくてどうするてな人もいるわけで、人によるんだけど、マクロに見るとやはり職種が効いている。

政治家なんてのは、一番そういう方向性の強い職種でしょうね。50,60は洟垂れ小僧というくらいですから。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

時短・残業免除を義務化へ 子育て支援で厚労省

さて、昨日の朝日に標記のような記事が載りました。1面左の目立つ記事ですが、リークっぽい感じです。

http://www.asahi.com/national/update/0518/TKY200805180156.html

>子育てと仕事を両立できるように、厚生労働省は企業に短時間勤務と残業を免除する制度の導入を義務づける方針を固めた。少子化対策の一環で、育児休業を取った後も、働き続けられる環境を整えるのが狙い。早ければ、来年の通常国会に育児・介護休業法の改正案を提出する。

 有識者らによる厚労省の研究会が6月にもまとめる報告にこうした方針を盛り込む。経営者側から反対も予想されるが、厚労省は少子化対策の柱として実現を目指す。

ということで、その研究会でどんなことが議論されているのか見てみましょう。厚労省HPに、今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会の資料が載っています。最近の4月25日の資料はこれです。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/s0425-9.html

ここにある「本日ご議論いただきたい事項」を見てみますと、

>1. 短時間勤務等について

(1)短時間勤務制度及び所定外労働の免除の制度の取扱いについて

○ 法第23条において事業主の選択的措置義務とされている「勤務時間短縮等の措置」の中から、短時間勤務制度と所定外労働の免除の制度の重要性が高いことが議論されている。

○ 法制的に格上げする場合、以下の2通りが考えられるが、両者の法的効果の違いは何か。

① 事業主の措置義務とする場合

② 労働者に請求権を付与する場合

○ 短時間勤務制度と所定外労働の免除の制度について

① 両者並列で格上げするか、

② どちらかを優先的に考えるべきか。

(2)短時間勤務等を請求する場合の例外規定について

○ 労働者に請求権を付与する場合、事業主の負担を考慮し、「合理的な理由」、「事業の正常な運営を妨げる場合」等がある場合には、事業主は請求を拒めることとすべきか。

○ 事業主が請求を拒めることとする場合、請求を拒めるのは、短時間勤務制度と所定外労働の免除の制度について、全く同等の取扱いとするべきか、事業主の負担の大きさを考慮して取扱いを別にするべきか。

(3)短時間勤務制度の対象となる労働者の範囲について

○ 短時間勤務制度の対象となる労働者の労働時間については、現行では1日6時間以下の労働者を制度の対象外としているが、多様な勤務形態を考慮し、週単位や月単位についても対象となる労働者の範囲を明示するべきか。

○ 短時間勤務を希望した労働者が、予期しないほど労働時間を短くされるといった事態を回避するため、例えば1日4時間を下回らないこととする等、短時間勤務中の労働時間の下限や上限についても何らか定める必要があるか。(週単位、月単位についても同様)

(4)両立支援制度の対象となる子の年齢について

○ 親の就労と子育ての両立を支える制度について、子どもの年齢に応じ、①目指すべき理想のもの、②企業に課す最低基準とすべきものとして、どのような形が考えられるか(労働者に請求権を付与すべきもの、事業主の措置義務/選択的措置義務/措置すべき努力義務とすべきもの)

2.父親も母親も育児にかかわることができる働き方の実現

(1)産後8週間の父親の育児休業取得促進

○ 産後8週間の父親の育児休業の取得促進策としては、以下の2通りが考えられる。

① 現行の育児休業とは別立ての休暇を新たに設ける、

② 産後8週間に父親が育児休業を取得した場合には、再度の育児休業取得を認める等により、現行の育児休業の枠組みの中で対応する。

○ 上記①、②のメリット・デメリットとしてはどのようなものが考えられるか。

○ 産後8週間に父親が育児休業を取得する場合に、再度の育児休業取得を認めることは、母親が産休後に育児休業がとれることとバランスがとれていると考えられるか。

(2)父母ともに育児休業を取得した場合におけるメリット

○ 育児休業を取得していた母親(又は父親)にとって配偶者のサポートが必要な職場復帰前後のケアやならし保育への対応の必要性等の観点から、父母ともに育児休業を取得する場合には、育児休業の期間を現行よりも延長できるようなメリットがあってもよいという意見がある。こうした意見に対する考え方としては、以下の3通りが考えられるのではないか。

① 職場復帰直後の精神的負担の軽減やならし保育への対応という観点から、2か月程度延長する。

② 現在、子が保育所に入所できない場合等の特例措置の上限が1歳6か月であることを踏まえ、6か月程度延長する。なお、この場合、現行の1歳6か月までの育児休業の延長は、保育所に入れない場合等特別な事情がある場合に限られた特例措置であることに留意する必要があるのではないか。

③ 現在、父母が育児休業を取得する場合の休業期間が最長1年であることを踏まえ、1 年程度延長する。

○ 上記①~③のメリット、デメリットとしてはどのようなものが考えられるか。

○ また、現状において実現可能性が高く、かつ、「男性の育児休業取得促進の起爆剤となるような仕組み」としては、どれが適当と考えられるか。

というように、かなり具体的な制度設計の議論になっています。

本日、この次の第10回研究会が開催されているはずなので、その資料も早晩アップされるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

教師の時間外労働

4月25日のエントリーで紹介した京都の教師の時間外勤務の判決が最高裁HPに掲載されたのでリンクしておきます。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_a3ad.html

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080519105248.pdf

>前提事実記載のとおり給特法(10条)は教育職員に対して労働基準法32条の適用を除外しておらず,本件条例も教育職員に対して職員の勤務時間を定める条項の適用を除外していない。
ところで,前提事実記載のとおり本件通達により定められた使用者において労働者の労働時間の適正な把握のために講ずべき基準は管理監督者及びみなし労働時間制が適用される労働者を除くすべての労働者に適用される(なお,同通達は同除外される労働者についても,健康確保を図る必要があることから,使用者において適正な時間管理を行う責務がある旨記載している〔甲6〕。)ところ,
本件通達は教育職員にも適用がある旨の文部科学省の国会答弁のとおり公立の教育職員にも適用があるものと解される。しかし,給特法及び本件条例は,教育職員が自主的,自発的に正規の勤務時間を超えて勤務した場合にはこれに対して時間外勤務手当を支給しないものとしていることは前記2で説示したとおりであるうえ,教育職員の職務遂行のうち,その職務の特質に照らしてどこからどこまでが指揮監督の下での労働と評価されるのかについても一義的に明確な基準を見いだすことが困難なことを考慮すると,教育職員について時間外・休日・深夜労働の割増賃金を支払うという点から正確な時間管理が求められているとまで解することはできない。そうすると,公立学校の設置者にタイムカード等を用いて教育職員の登校及び退校の詳細な時刻を記録することまで求められていると解することは相当でない。
しかし,上記基準の適用を除外された管理監督者やみなし労働時間制を採用された労働者と同様,
少なくとも教育職員についても生命及び健康の保持や確保(業務遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことのないように配慮すること)の観点から勤務時間管理をすべきことが求められていると解すべきであるため,原告らが勤務する公立学校の設置管理者である被告は,教育委員会や校長を通じて教育職員の健康の保持,確保の観点から労働時間を管理し,同管理の中でその勤務内容,態様が生命や健康を害するような状態であることを認識,予見した場合,またはそれを認識,予見でき得たような場合にはその事務の分配等を適正にする等して当該教育職員の勤務により健康を害しないように配慮(管理)すべき義務(以下「本件勤務管理義務」という。)を負っていると解するのが相当というべきである。そのような場合で,教育職員が従事した職務の内容,勤務の実情等に照らして,週休日の振替等の配慮がなされず,時間外勤務が常態化していたとみられる場合は,本件勤務管理義務を尽くしていないものとして,国家賠償法上の責任が生じる余地がある。

教師は残業代はエグゼンプトだから、残業代を正確に払うために労働時間を管理するという必要はないけれども、生命や健康を害しないために労働時間を管理する義務はあるということです。私が本ブログで繰り返し述べていることが、こうして少しづつ裁判官の中で常識化していっていることが判ります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

補完性の原理についてごく簡単に

一部で地方分権問題の関連でEUの補完性原理が取り沙汰されているようですが、

http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-92.html

ヨーロッパの文脈で言う限り、補完性原理をかざして地方分権を主張し、中央集権に否定的なのはキリスト教的保守勢力の側で、労働組合や社会民主党といった陣営はおおむね中央集権派です。地方なんかに任せたら地方のボスが勝手なことをするから、ちゃんと国がコントロールしなくちゃという発想。ドイツのハルツ改革で、地方自治体の公的扶助と国の失業給付を統合するという話になったときに、最大の政治的対立点は、それをどっちがやるかで、社会民主党は国がやらなくちゃ、キリスト教民主同盟は地方がやらなくちゃ、まあ結局よく判らない妥協をしたわけですが、つまりそういうものです。

同じことが国とEUの権限分配でもあって、EUで「補完性原理」が問題になるのは、むしろこちらが主です。つまり、加盟国に任せると、サッチャーみたいなとんでもないのが出てきて勝手に法律を変えて労働者の権利を踏みにじるから、EUレベルでしっかりとコントロールして国が勝手なことをできないようにしようという、社会民主主義者の中央集権的な発想に対して、いやいや国でできることは国でやればよい、という保守派の国家分権主義が持ち出したのが、「補完性原理」。

毎度毎度ではありますが、日本の政治の世界の文脈の狂いようはなかなか絶望的なところがありますね。

| |