管理監督者の範囲の適正化について
4月1日付で、労働基準局監督課長名で標記の通達が出されました。
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/siryo/pdf/20080404.pdf
「管理職」と「管理監督者」をまったくごっちゃにして何の反省もないNHK始めとするすべてのマスコミの皆さんは、この通達をよく読むこと。
>しかしながら、近年、以上のような点を十分理解しないまま、企業内におけるいわゆる「管理職」について、十分な権限、相応の待遇等を与えていないにもかかわらず、労働基準法上の管理監督者として取り扱っている例も見られ・・・
>このため、労働基準監督機関としては、・・・企業内におけるいわゆる「管理職」が直ちに労働基準法上の管理監督者に該当する者ではないことを明らかにした上で、・・・
ちなみに、3月27日に連合が行った厚生労働省に対する要請では、
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/data/20080327.pdf
>このような事例が多発している背景には、労働基準法上の管理監督者とはどのような者であるのかについて正しく理解されておらず、「管理職=管理監督者」であるとの誤解が広がっていることがあると認識しております。
と、的確に言葉を用いています。
先日のNHKの「名ばかり管理職」でも、遂に一度たりとも「管理監督者」という正確な表現はされなかったですね。こうして、マクドナルドの頑固な社長は、「店長は現に管理職じゃないか!」と、ますます自分の正当性を強く信じることと相成るわけであります。マスコミの責任恐るべし。
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» 管理監督者に関する新たな通達が出ました−厚生労働省がプレッシャーをかけてきた [企業法務マンサバイバル]
EU労働法政策雑記帳で知ったのですが、マクドナルド判決の流れを受けたかたちで、厚生労働省から管理監督者に関す通達が新たに出ています。
平成20年4月1日付基発第04001号
「管理監督者の範囲の適正化について」
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/siryo/pdf/20080404...... [続きを読む]
法律の方の「管理監督者」という呼称を変えたらいいんでない?単に管理職だったら××(新用語)な訳ないやん、みたいな反応が起こる用語…
投稿: てか | 2008年4月 5日 (土) 00時57分
wikipediaの「管理職」がヤバいです.
この混同,いったい誰のせいなのか.
マスコミとネット情報ってループしてたりして.
投稿: わらじや | 2008年5月 1日 (木) 00時37分
今月、毎日新聞(5月2日)、朝日新聞(5月21日夕刊)などで散発的に報道されたものですが、都立三鷹高校の校長が、都の教育委員会の、職員会議で教職員による挙手や採決を全面禁止した通知の撤回を求めている、というものがありました。で、この校長の主張を、保護者・教員・市民が応援、ということのようです。
この手の記事で、焦点となる具体的な問題って、君が代・日の丸を儀式でどう扱うか一色ですね。だいじかもしれないけれども、教育問題の本筋ではないのでは、とぶらり庵には思われるので、この問題はパスします。
で、ぶらり庵が関心を持ったのは、「校長って管理職ではないのか」ということです。学校教育法(かな)の中での位置づけや教育委員会との分掌がどうなっているのかは調べていませんが、一つの学校の長、ってそこの管理運営については、自らの責任で判断できる管理職だと考えるのが常識的だと思うのですが。で、ぶらり庵のそういう常識からみると、管理職が自分で決められるはずの管理運営方法について、なぜ、教育委員会から「この方式は認めない」などと言われなければいけないのか、とても変な気がします。で、ついでに、反教育委員会派の人たちから支援される、というのも、本来は変なような気がします。管理監督の権限を持っている人は、管理監督すべき事柄については、違法な方法でない限り、自分で決められるの、つまり、職員会議での多数決を採用するのも、逆に職員会議に任せずに全部自分で決めるのも自由、なのが、本来の管理職たる校長で、その結果の学校運営がうまくいっているかどうかの業績評価を行うのが教育委員会なのではないか、と思うのですけれど。
この、教育の事例でみる限り、高校という自治体での高等教育について、国が箸の上げ下ろしまで自治体機関を通じて統制し、自治体レベルでは国の言うなりなので、管理職個人が「その通知ではわたしは"名ばかり管理職"ではないか」と反論している、というようにぶらり庵には読めます。
「名ばかり管理職」って権限はないのに、残業代をもらえない、という、もっぱらお金のことが中心で問題になっていますけれど、そういう組織では、「組織のこのような管理運営のあり方はおかしい」と指摘できる、本来の管理職意識を持った管理職もおらず、給料はりっぱに管理職に値する人たちが、管理運営について管理職として機能していない、これこそ「名ばかり管理職」という組織であることが多いのでは、と思います。
漠然とした一般論になりますが、そもそも日本の組織って、内部的にも対外的にも、そのときの風潮に同調する「みんな一緒、共同責任は無責任」文化で、本来の「管理職」というか、リーダーが育ちにくいのでは、という感想を、ぶらり庵は持っています。
なお、余談ながら、この三鷹高校は、定時制のある進学校都立ながら、この春、高校サッカーで8強まで(だっけ)進み、静岡藤枝に敗退、という「快挙」の学校でしたね。
投稿: ぶらり庵 | 2008年5月29日 (木) 06時10分
やばかったwikipedia『管理職』に,「管理職と管理監督者の違い」の項が加筆されてました!しかも参考文献は毎日新聞のhamachan先生の談話.「名ばかり管理職問題」を「管理監督者偽装問題」に変える小さな一歩となりますように.
投稿: わらじや | 2008年5月31日 (土) 00時50分