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2008年4月16日 (水)

バランスのとれた働き方

Balance_work 連合総研設立21周年記念出版と銘打った『バランスのとれた働き方-不均衡からの脱却』がエイデル研究所から刊行されました。御贈呈ありがとうございます。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/info/tosho/balance_work.html

>2007年12月、連合総研は設立20周年を迎えました。その記念事業の1つとして、都市勤労者の仕事と暮らしの定点観測アンケート「勤労者短観」6年分のデータ、延べ1万人のビジネス・パーソンの声を再分析する研究プロジェクトを発足させました。

 本書はその研究成果のエッセンスとして、アンケート調査データからビジネス・パーソンの仕事や暮らしの“不均衡”の実態を明らかにし、今後バランスのとれた仕事と暮らしを実現するために何が必要かを考察しています。

内容は次の通りです。

はじめに 都会で働くビジネス・パーソンの特徴―正社員・非正社員の比較
連合総研事務局

第1章 必要な人にセーフティネットを―消えない雇用不安
千葉登志雄 連合総研主任研究員

第2章 「過労死予備軍」と「賃金不払い残業」―解消に向けて
川島千裕 連合総研主任研究員

第3章 働く女性の二極化―ビジネス・ウーマンの実像
佐藤 香 東京大学准教授

第4章 男性の家事参加を進めるために―家事が意味するもの
永井暁子 日本女子大学准教授

第5章 ビジネス・パーソンは景気に敏感―格差拡大
岡田恵子 連合総研主任研究員

第6章 権利理解と労働組合―組合効果のアピールを
佐藤博樹 東京大学教授

第7章 劇場政治と勤労者―問われるこれからの選択
前田幸男 東京大学准教授

おわりに ワーク・ライフ・インバランスの解消を
佐藤博樹 東京大学教授

このうち、第6章までは、毎度おなじみのテーマですが、第7章が政治学的分析になっていて、結構面白かったです。

>働き方との関連で見ると、大企業に勤める人や管理職では自民党支持率と民主党支持率は拮抗しているのに、事務職や労務職では自民党支持率の方が民主党支持率よりも高い。また就業形態では、パートや契約・派遣でやはり自民党が民主党に差をつけている。自民党が裾野の広い支持を持っているのに対して、民主党の支持は大企業高学歴ホワイトカラー層に集中しており、経済的に弱い立場にある人たちには魅力的に見えていないことが判る

そりゃそうでしょうね、小泉改革ではまだ足りない、もっと構造改革!、もっと規制緩和!もっと地方分権!といいつのってきた政党が、経済的に弱い立場の人に魅力的なはずはないのであって。そういう政党を組織的に支持してきた連合のシンクタンクでこういう分析がされるというところが何とも皮肉ではあるわけですが。

>今回、勤労者短観のデータを分析して痛感したのは、民主党の支持が大企業に勤める男性の大卒ホワイトカラーに偏っており、その裾野が狭いことです。女性の支持率は低く、特にパートや派遣で働く女性の間での民主党の不人気ぶりは、かなり問題に思えます。

前田氏は「女性の就業や家庭と仕事の両立を目的とするわかりやすい政策を推進することで支持を増やすことができるかも知れない」というのですが、いやもちろんそれも大事ですが、問題はそれが「大企業に務める女性大卒ホワイトカラー」のためのものとしか見られない危険性です。それでは何ら裾野が広がったことにはなりません。

中高一貫男子校から一流大学に行った男性の感覚に、中高一貫女子校から一流大学に行った女性の感覚を加えただけで、事態が解決するわけではないので。

エリート臭が強すぎ、教科書嫁的な偉ぶった態度で、生活のひだを無視した図式的な結論を振り回したがる傾向がやたらに鼻につく民主党議員たちが、もっと下々の感覚に近いどぶ板の生活臭を身につけるにはどうしたらいいのか、これは結構深刻な問題でしょう(まあ、自民党に近頃増えた何とかチルドレンも似たようなものですが)。

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コメント

「民主党」を「連合」に、「民主党議員」を「一部の連合役員」に置き換えても違和感ないところが怖いですね。

党首は小沢なんだけどね

ぶらり庵も、民主党の議員さんてうわなにをするやめqあwせdrftgyふじこlp(?!)とか、自民党の良識的な人ってけっこういいな、と思うこともありますが、でも、議員さんも、昔よりももう少し「自己責任」の時代になっているというか、個々に質問をし、自分の見解を明確にし、成果を出さなければならない中で、個人の差が見えるようになっている気がします。それに、超党派の活動って多くなりましたね。

さて、「男性・正社員」の対となって労働市場を支えているのは、「女性・非正規」なわけですが、3月28日に公表された「07年版女性労働白書」では、女性労働者が過去最多となる一方で、女性の正社員率は、1985年(均等法成立の年ですね)の約68%から、97年約58%、そして、07年では46.5%、となんと、均等法以来、12%も減ったとなっていました。この記事よりも、各紙の報道では、どこそこの企業でパートを正社員化、という記事の方が扱いが大きいんですが、斜めに見ているぶらり庵です。
で、ワーク・ライフ・バランスは企業業績にも寄与、とか言われますけれど、企業だけの問題ではないですね。均等法前から静かに始まっていた現象ですが、有能な女性の海外流出って今はけっこう大きな流れになりつつあるのでは、と思っています。数年前に、Financial Timesのけっこう大きい「少子化特集」(そんなのがあったんですよ)で、日本については、女性流出が問題、という指摘があったのを「へえー」と思って読んだのを覚えています。いつの記事だったか、あとで調べておきます。
わが国は、有能な外国人を呼び込むよりは、有能な女性を引き止める方が先だと思うし、その為に、企業に頼るだけではなくて、何か手を打たないといけないのではないかと思いますけれどね。

連合の「勤労者短観」同様、勤労者意識調査である、JILの「勤労生活に関する調査」の第5回報告は3月24日に発表されましたね。で、「終身雇用」支持が、前回の2004年調査から一気に8.1%上昇して86.1%、日本の目指すべき社会の在り方として「貧富の差が少ない平等社会」をあげた人が約13%上昇で43.2%に。これまで常に4割を超えていた「意欲や能力に応じて自由に競争できる社会」は31.1%に下落しています。
ただ、一方で、「社会的地位」や「経済的豊かさ」は「努力」や「実績」に応じて得るのが望ましい、と考える人はそれぞれ8割超、ということは、雇用の安定は希望するが、年功やコネだけで「地位」や「高給」というのはヤメロ、ということなのでは、と、ぶらり庵は解釈しています。主としてこの非難の矛先が向いていると思われる団塊の世代については、ここで大論文を披瀝したいわけではないので、週末に短く、と思っています、と、ちょっと追加。

最後に、16日の新聞記事で、ぶらり庵が一番気になったのは、朝日と毎日でトップになった、文科省の「学校裏サイト」調査でした。匿名での誹謗・中傷・いじめの話ですね。面と向っての子どもどうしの言い合い(つかみ合い、もちろん可!)ができない社会、は、面と向ってのまともな議論ができない大人の社会、の反映でしょう。
Hamachanの当ブログも、hamachan教布教のページではなくて、いろんな人がいろんな議論を出し合いながら、日本の社会政策を考えて(できれば作って)ゆくツールと考えておられると拝察しております。
ROM専の方々も、もっと積極的に「これはどうか」と書かれては、と、余計なお世話ですが。

Financial Timesの「少子化の記事」というのは、2004年3月20-21日Weekendの "From Boom to Bust:On Japan, On Italy, On Norway"という、日本とイタリアではなぜ少子化で、ノルウェーではなぜ回復なのか、という記事でした。日本についてのライターが日本からアメリカに海外流出した女性のようで、「日本では両立が不可能」という指摘は正しいけれど、「アメリカやフランスのように、育児をサポートする移民労働者をどんどん入れると良い」という提案には?でした。

で、それで関連して思い出した資料をもう一つご紹介。Hamachanの教えて下さるヨーロッパの資料は長文横文字なので、ぶらり庵もたいていそこはスルーで、hamachanの解説だけ読んでいますが、なんと、欧州連合の出した日本語資料でEUのワーク・ライフ・バランスについて確認できるのです。翻訳や紹介ではなく。

http://www.deljpn.ec.europa.eu/data/current/europe2007summer01.pdf

というわけで、駐日欧州委員会代表部から出ている日本語広報誌の最近の特集です。この4ページに書いてありますが、「ワークライフバランスを促進する政策」の第1は「手頃で質の高い保育サービスの十分な提供」なんですね。その次に、育児休業を含む労働時間制度、そして、男女平等(均等ではなく)政策、です。

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