松井彰彦氏の「経済論壇から」について
去る日曜日の日経読書欄に松井彰彦氏による「経済論壇から」が掲載され、その中で私と福井秀夫氏の、例の「東洋経済」誌での”間接キッス”コラムが取り上げられています。取り上げられるのは有り難いのですが、いささか見当外れの取り上げられ方をしていて、正直、をいをい、という感じです。
>こうした実情を踏まえ、日本では雇用保護法制上の格差をなくすことが喫緊の課題になっている。しかし、そのために正社員の解雇要件を軽減すべきなのか(解雇しやすくすべきなのか)、それとも非正社員の解雇要件を厳しくすべきなのか(解雇しにくくすべきなのか)という点では、関係者の意見が大きく分かれている。
と、状況説明をした上で、
>政策研究大学院大学教授の福井秀夫氏(・・・)は、「・・・」と指摘、正社員の解雇をしやすくすることで対応すべきだと主張している。
>それに対し、同じ政策研究大学院大学教授の濱口桂一郎氏(・・・)は、「・・・」として、非正社員を解雇しにくくする(正社員に近づける)ことで対応した方が望ましいと訴えている。
と述べています。
東洋経済2月16日号を読まれた方は、この要約が的外れであることがすぐお判りになると思います。福井秀夫氏は、「解雇をしやすくする」などという生ぬるいことではなく、およそ労働者の保護はことごとく廃絶せよと主張しているのですし、わたくしはそもそもこのインタビューの最初のパラグラフで語っているように、「正社員の解雇規制を緩和し、非正規との調和を図っていくことは必要だろう」と言っているのです。それにしても、正規であれ、非正規であれ、労使の力関係が不均衡である以上、ボイスの機能を果たすためにも一定の解雇規制が必要だと述べているのであって、松井氏による要約はそれがまったく無視されてしまっています。
もちろん、世の中には正規の解雇規制はまったくそのままで維持し、非正規をそこまで引き上げるべし、と主張される方もおられますし、労働法学者には結構多いことは確かですが、私はそういうことを述べてはいませんし、そのような誤解をされる理由は(このコラムを一読しただけでも)ないはずです。
松井氏が意識的にそういう誤読をしたふりをしてこういう図式に当てはめたのか、私の喋った言葉を読み落としただけなのかは、これだけではよく判りませんが、少なくとも、自分の考え方とは違う意見の持ち主として分類されてしまうのは、あまり愉快なことではありませんね。
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