サービス業の生産性と密度の経済性
経済産業研究所の森川正之氏が、標記のようなディスカッションペーパーを著しています。「サービス業の生産性向上」が謳われながらも、一体それは何をどうすることなのか、実のところ誰にもよく判らない状況じゃないかと思われる今日この頃、これは、なるほどと思わせるものがありました。
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/08040005.html
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/08j008.pdf
>本稿は、サービス業における規模の経済性、範囲の経済性、密度の経済性といった基本的な観察事実を明らかにすることを目的として、サービス業の中でも「生産と消費の同時性」が顕著な対個人サービス業約十業種を対象に、生産関数の推計や生産性格差の要因分解を行ったものである。
分析結果によれば、(1)ほぼ全てのサービス業種において「事業所規模の経済性」、「企業規模の経済性」、「範囲の経済性」が存在する。(2)全てのサービス業種で顕著な(需要)密度の経済性が観察され、市区町村の人口密度が2倍だと生産性は10%~ 20%高い。この係数は、販売先が地理的に制約されにくい製造業と比較してずっと大きく、サービス業の生産性に対する需要密度の重要性を示している。(3)付加価値額ではなく数量ベースのアウトプットを用いて推計しても以上の結果は追認される。(4)全国サービス事業所の生産性格差のうち、都道府県間格差で説明される部分はわずかだが、市区町村間格差の寄与は比較的大きい。
これらの結果は、事業所レベルでの集約化・大規模化、企業レベルでの多店舗展開やチェーン化が、対個人サービス業の生産性向上に寄与する可能性があることを示唆している。また、仮に人口稠密な地域を形成していくことができるならば、生産性に正の効果を持つことを示唆している。ただし、この点は生産性向上と他の社会的・経済的な政策目標との間での選択にも関わる。
要するに、田舎にパラパラ人がいたんじゃ密度の経済性が低いから、サービス業の生産性が上がらない、こいつらみんな都会に連れてきて、多角経営の大規模店舗でまとめて買わせるようにすれば、生産性が上がってハッピー、というロジックのようでありますな。
>全国あるいは都道府県内の全ての地域を均等に振興しようとすることは、集計レベルでの生産性を高めることとは矛盾する可能性がある。
物事の本質が見えてきた感じであります。
もちろん森川氏は、
>しかし、サービス産業の生産性をさらに高めようとするならば、地域の均衡ある発展、企業・事業所の存続といった他の社会的・経済的価値とのトレードオフを伴う可能性があることも認識する必要がある。
と、ちゃんと付け加えています。
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