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第1回介護労働者の確保・定着等に関する研究会

先日紹介した「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」の第1回目の資料が公開されました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_f3af.html

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/s0418-3.html

座長は労働経済学の大橋先生、委員は厚生出身の河さん、労働出身の北浦さん、駒村先生、佐藤先生、堀田先生、皆川先生という面子です。

「研究会で議論していただく論点」というのがあって、

>1 今後、介護労働が目指す姿 労働者がやりがいを持って働き続けられるような、介護労働のあるべき姿は何か

2 介護労働市場を踏まえた、人材確保・定着のための取組 少子高齢化が進展し、2014年には140万~160万人の介護労働者が必要とされるなかで、将来にわたって安定的に人材を確保していく仕組をどのように構築していくか

(1) 潜在的な有資格者の参入

(2) 多様な人材の参入・参画

(3) ハローワーク等のマッチング機能や募集・採用ルートの検証

3 介護分野にふさわしい雇用管理・処遇の在り方 雇用管理・処遇の改善を通じて、魅力ある仕事として評価され選択されるためには、どのような雇用管理・処遇が介護分野にふさわしいか

4 介護分野における生産性の向上について 労働集約型産業であり、介護報酬の枠組にある介護労働分野において、介護労働者の生産性向上について、どのように考えていくか

5 その他 ・必要に応じ、適宜論点を追加

もちろん、3の雇用管理・処遇の改善が中心なわけですが、そのためには生産性向上というのが現下の経済政策の基本線なので、4を出さざるを得ない。

ただ、これはほかのサービス業にも多かれ少なかれいえることですが、介護のような誠に感情労働的色彩の強い対人サービス業務の場合、そもそも「生産性向上ってなあに?」という疑問に答えるのが相当難しいような。

まさか、マクドナルド方式で、セルフサービス化を進めるのが生産性向上っていうわけにはいかないでしょうし。先日の経済産業研究所の森川論文に従って、要介護老人が人の少ない田舎にいたんじゃ介護の生産性が上がらないから、都会に集めてまとめて介護できるようにするのが生産性向上というのも、かなり批判を浴びそうだし。

生産性とはつまるところ付加価値生産性なんだからと考えれば、要はたくさんの金が介護事業に回るようになれば生産性が高まったことになるわけで、結局介護報酬の問題に集約されてしまうような気もしますし。

(このサービスにおける生産性の話題は、以前本ブログでちょっと展開してみたことがあります)

ああ、そういえば、上のリンク先のエントリーで話題にした「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律案」、自民党と民主党が合意した奴というのは、これです。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16901016.htm

>介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律案

 政府は、高齢者等が安心して暮らすことのできる社会を実現するために介護従事者等が重要な役割を担っていることにかんがみ、介護を担う優れた人材の確保を図るため、平成二十一年四月一日までに、介護従事者等の賃金水準その他の事情を勘案し、介護従事者等の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 高齢者等が安心して暮らすことのできる社会を実現するために介護従事者等が重要な役割を担っていることにかんがみ、介護を担う優れた人材の確保を図るため、平成二十一年四月一日までに、介護従事者等の賃金水準その他の事情を勘案し、介護従事者等の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

これだけです。1条だけだから、「第一条」という見出しもない。

とにかく、来年の4月1日までに「介護従事者等の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」というもっぱら宣言するだけの、国民の権利にも義務にも何にも関係のない、つまり法律事項の全くない法律ということですね。

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欧州労連の経済政策要求

4月28日、欧州労連は「Time to Act」(行動の時)という20頁にわたる経済政策に関する要求書を公表しました。

http://www.etuc.org/IMG/pdf_25-04-08TIME_TO_ACT__Ronarld_.pdf

欧州労連が労働者の雇用のためにマクロ経済拡大を志向していることはこのブログでも何回も取り上げてきているところですが、この文書はそれを詳細に示しています。

II. The danger of a long slump(長期不況の危険)

III. Monetary policy: The first line of defense is missing in action(金融政策:第1防衛線は動こうとしない)

IV. Fiscal policy: The second line of defense is in chaos(財政政策:第2防衛線ははちゃめちゃだ)

V. The super strong euro: Harmful neglect of the euro exchange rate(超強いユーロ:有害な為替相場の無視)

VI. Conclusions: Monetary union’s policy makers urgently need to put their house in order.(結論:通貨同盟の政策担当者は直ちに家を整えろ)

つまり、欧州中央銀行は頑固で何もせんから、各国の財務当局は一斉に財政拡大政策をとれ、と。

中の方で、こういう言い方をしています。

>Inflation is not a monetary phenomenon right now.(インフレはいまや貨幣現象ではない)

>The euro will continue to deliver further disinflation.(ユーロは更なるディスインフレを引き起こし続けるだろう)

>Wages are not inflationary but disinflationary.(賃金はインフレ的どころかディスインフレ的だ)

>Automatic wage indexation and inflationary spirals: Not the ECB’s nightmare but a fairy tale(自動的な賃金インデクセーションがインフレスパイラルを惹き起こすなんて、欧州中銀の悪夢どころか御伽噺だ)

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偽装請負と日雇い派遣の再検討

『時の法令』に4月15日号から隔旬(毎月)連載で「21世紀の労働法政策」を載せておりますが、今回から本論に入りました。「第1章 労働者派遣システムを再考する(1) -偽装請負と日雇い派遣の再検討」 です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/21seiki02haken01.html

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日本電産永守社長発言をめぐって

話がややこしくなってきました。

はじめはこの朝日の記事です。

http://www.asahi.com/business/update/0423/OSK200804230044.html

>「休みたいならやめればいい」急成長の日本電産社長

> 「休みたいならやめればいい」――。日本電産の永守重信社長は23日、記者会見で「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」と持論を展開。10年間で売上高が6倍超という成長の原動力が社員の「ハードワーク」にあることを強調した。

これが批判を浴びました。

4月26日のMayDayじゃないメーデーで、連合の高木会長は、

http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2008/20080426_1209016677.html

>3日前の4月23日、日本電産の社長が、記者会見で「休みたいならやめれば良い」という趣旨の発言をしたと伝えられています。この会社の時間外・休日労働の実態等を調べてみたいと思いますが、「社員全員が休日返上で働く会社だから成長できる」と発言するなど、まさに言語道断、労働基準法という法律が雇用主に何を求めていると思っているのか、問い糾してみなければなりません。

と発言。

これに対して日本電産のHPに、永守社長はそんなこと云っていない、という文章が載りました。

http://www.nidec.co.jp/news/indexdata/2008/0428/CMFStandard1_content_view

>4月23日の決算発表記者会見において、弊社社長永守が「休みたいならやめればいい」と発言したかのような記事が掲載されましたが、そのような事実はなく、誠に遺憾に思っております。

 永守がお伝えしたかった主旨は以下の通りでございます。
 当社は雇用の創出こそが企業の最大の社会貢献であるとの経営理念のもと、安定的な雇用の維持が、社員にとっても最重要であると考えております。
 このような考え方に基づき、これまで経営危機に瀕し、社員の雇用確保の問題に直面していた多くの企業の再建を、一切人員整理することなく成功させて参りました。

 「ワークライフバランス」につきましては、当社では、上記の安定的な雇用の維持を大前提に、「社員満足度」の改善という概念の中の重要テーマとして位置づけております。
 このような考え方に基づき、社員の満足度向上を目的として、2005年度から「社員満足度向上5ヵ年計画」をスタートさせ、2010年には業界トップクラスの社員満足度達成を目指し、推進中であります。

 現に、社員の経済的処遇面に関しては、年々業界水準を上回る率で賃金水準を改善してきており、本年度も、平均賃上げ率は業界水準を大きく上回る6%にて実施することと併せ、年間休日も前年比2日増加させております。尚、休日については、来年度以降も段階的に増加させていく予定であります。
 加えて、男女ともに働きやすい会社を目指し、昨年4月にはポジティブ・アクション活動の一環として、家庭と仕事の両立を支援する目的で新たな制度の導入もし、更なる社員満足度向上に向けて努力を続けております。
     
 以上が、永守が記者会見で申し上げた考え方の要旨でありますので、皆様のご理解を賜りたくお願い申し上げます。

まあ、要旨はそういうことなんでしょうが、いささか舌が滑ったところもあったのではないか、と。

ただ、実はこの問題は突っ込むとすごくディープな話になります。単純素朴にとんでもない発言や、では済まない。

ポイントは、永守社長はほかのいろんな会社の社長さんたちよりも、遥かに深く「安定的な雇用の維持が、社員にとっても最重要」と信じ、「企業の再建を、一切人員整理することなく成功」させてきたことを誇りに思っている方であろうということです。

他の何よりもただひたすら雇用の安定が大事であり、人員整理は一切しないという信念を追及しようとすると、労働時間短縮だのワークライフバランスだのといった寝言、おっと失礼、2番目3番目ぐらいに大事なことは、まあ2の次3の次ということになるのは、これはやむを得ないことと云うべきではないでしょうか。

実際、日本でなぜ時間外労働の法的な上限規制がされてこなかったかというと、そんなことをするといざ不況の時に残業削って雇用を維持するというのが困難になり、ひいては解雇をせざるを得なくなるから、と、これは労働基準法研究会報告が何回も云ってることです。

ですから問題は、そんな長時間労働をしてまで、ワークとライフのバランスもとらないで、ただひたすら雇用の安定のみを追及するんですか、という話なのであって、その裏腹にあるのは、人間らしい働き方をする代わりに、不況の時にはやむを得ずクビになるかも知れないね、というのをどこまで認めるかという話でもあるわけです。両者はトレードオフなんであっていいとこ取りというわけにはいかない。そこんところを抜きにして表面的なバッシングで済ませてしまうのはもったいない話なんです。

参考:

http://homepage3.nifty.com/hamachan/espworklifebalance.html(労働時間短縮とワーク・ライフ・バランス『ESP』2007年6月号)

>また、雇用維持という目的を家庭生活との両立の上位に置かないということは、整理解雇法理の一定の緩和というインプリケーションも持つ。アメリカという異常例を除き、先進国で解雇を使用者の恣意に委ねている国はないが、日本の整理解雇法理は欧州諸国の解雇規制に比べても過度に抑制的であり、そのツケが長時間労働や遠距離配転にしわ寄せされているという面もある。これらも含めてさまざまな規制間のバランスについて、社会的な検討が行われることが望ましい。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roubenflexicurity.html(解雇規制とフレクシキュリティ『季刊労働者の権利』2007年夏号)

>最後に、現行の整理解雇法理については労働法制全体の観点から抜本的な見直しが求められているように思われる。それは福井・大竹編著が言うように「経営判断、解雇の必然性、解雇者選定などは、企業固有の経営的、技術的判断事項であって、裁判所がよりよく判断できる事柄とは言えない」からではない。むしろ逆であって、この法理が形成された1970年代という時代の刻印を強く受けているために、専業主婦を有する男性正社員の働き方を過度に優遇するものになってしまっているからである。

 解雇回避努力義務の中に時間外労働の削減が含まれていることが、恒常的な時間外労働の存在を正当化している面があるし*16、配転等による雇用維持を要求することが、家庭責任を負う男女労働者特に女性労働者への差別を正当化している面がある。そして、何よりも非正規労働者の雇止めを「解雇回避努力」として評価するような法理は、それ自体が雇用形態による差別を奨励しているといってもいいくらいである。

 もちろん1970年代の感覚であれば、妻が専業主婦であることを前提にすれば長時間残業や遠距離配転は十分対応可能な事態であったし、非正社員が家計補助的なパート主婦やアルバイト学生であることを前提とすれば、そんな者は切り捨てて家計を支える正社員の雇用確保に集中することはなんら問題ではなかったのかも知れない。

 しかし、今やそのようなモデルは通用しがたい。共働き夫婦にとっては、雇用の安定の代償として長時間残業や遠距離配転を受け入れることは難しい。特に幼い子供がいれば不可能に近いであろう。そこで生活と両立するために、妻はやむを得ずパートタイムで働かざるを得なくなる。正社員の雇用保護の裏側で切り捨てられるのが、パートで働くその妻たちであったり、フリーターとして働くその子供たちであったりするような在り方が本当にいいモデルなのかという疑問である。

 近年ワーク・ライフ・バランスという言葉が流行しているが、すべての労働者に生活と両立できる仕事を保障するということは、その反面として、非正社員をバッファーとした正社員の過度の雇用保護を緩和するという決断をも同時に意味するはずである。「正当な理由がなければ解雇されない」という保障は、雇用形態を超えて平等に適用されるべき法理であるべきなのではなかろうか。この点は、労働法に関わるすべての者が改めて真剣に検討し直す必要があるように思われる。

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遺伝子差別禁止法

それに対して、こちらはベタ記事ですが、中身の重要性は大きなものがあります。標題は「保険差別」といっていますが、雇用差別も含まれ、このブログの観点からはそれが重要です。

http://www.asahi.com/science/update/0425/TKY200804250047.html

>米上院は24日、保険会社が遺伝子診断の結果によって保険加入を断ったり保険料を変更したりすることや、雇用者による就職差別などを禁止する「遺伝情報差別禁止法案」を95対0の多数で可決した。同法案は、来週にも下院でも可決され、ブッシュ大統領が署名して成立する見通し。

 米国では、将来、がんなどの重い病気になる可能性を知るため、個人のDNAを採取して塩基配列を調べる遺伝子診断が急速に普及している。同法案は、診断結果が自分に不利な形で使われることを恐れ、受診をためらう人もいることを背景に提案された。

この問題は、これまでどちらかというと個人情報保護の問題として論じられてきたわけですが、しかし隠せばいいという話でもないわけだし、正面から差別問題としてアプローチする必要があるという議論も出てきていたところです。

より一般化していうと、遺伝子情報だけの話ではなく、人がそれを知って差別扱いする可能性がある情報を、個人情報だとして保護するという方向と、むしろそれが皆に知られることを前提に差別を禁止するという方向があるのでしょう。

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松下電器子会社の偽装請負、直接雇用成立を認定

世間の関心は長野の聖火リレーに集中している今日この頃ですが(まあ、ウヨもサヨも、固有名詞を入れ替えても同じロジックを喋らなきゃいけないんじゃないかとちらりとでも思う心の余裕はないようですな、それはさておき)、今朝の朝日の1面トップは例の松下プラズマディスプレイの偽装請負の高裁判決でした。

http://www.asahi.com/national/update/0425/OSK200804250070.html

ここはやはり、一昨年来偽装請負キャンペーンを張ってきた朝日新聞としては、1面トップでしょう、というところです。

>違法な偽装請負の状態で働かされていた男性について、大阪高裁が25日、当初から両者間に雇用契約が成立しているとして、解雇時点にさかのぼって賃金を支払うよう就労先の会社に命じる判決を言い渡した。就労先で直接、指揮命令を受け、実質的にそこから賃金支払いを受けていた実態を重視。「請負契約」が違法で無効なのに働き続けていた事実を法的に根拠づけるには、黙示の労働契約が成立したと考えるほかないと述べた。事実上、期間を区切ることなく雇い続けるよう命じる判断だ。

判決はまず、請負会社の社員だった吉岡さんらの労働実態について「松下側の従業員の指揮命令を受けていた」などと認定。吉岡さんを雇っていた請負会社と松下側が結んだ業務委託契約は「脱法的な労働者供給契約」であり、職業安定法や労働基準法に違反して無効だと判断した。

 そのうえで、労働契約は当事者間の「黙示の合意」でも成立すると指摘。吉岡さんの場合、04年1月以降、「期間2カ月」「更新あり」「時給1350円」などの条件で松下側に労働力を提供し、松下側と使用従属関係にあったとして、双方の間には「黙示の労働契約の成立が認められる」と認定した。この結果、吉岡さんはこの工場で働き始めた当初から直接雇用の関係にあったと結論づけた。

 松下側が06年2月以降の契約更新を拒否したことについても「解雇権の乱用」で無効と判断した。

 さらに、吉岡さんが期間工として直接雇用された05年8月以降、配置転換で単独の作業部屋に隔離されたことについて、「松下側が内部告発などへの報復という不当な動機や目的から命じた」と認定した。

 昨年4月の大阪地裁判決は「偽装請負の疑いが極めて強い」として、就労先には労働者を直接雇用する義務が生じるとの判断を示す一方、雇用契約の成立は否定していた

うーーん、「黙示の雇用契約」論ですか。かつて派遣法が出来る以前には、請負と称する実質労働者供給事業について、そういうロジックが用いられたことはあるんですが、派遣法が出来てそれが合法化されたあとではほとんど用いられなくなった議論ですが、久しぶりに出てきました。

ただですね、かつても、黙示の契約論にはかなり批判も強くて、最高裁に上がって維持されるかどうかはかなり疑問な面もあります。

わたしは、そもそも派遣であれ、労供であれ、請負であれ、労働法制は契約で判断するのではなく、実態で判断するのが原則と思っているので、無理に契約論にはめ込む黙示の契約論にはいささか疑問があり、契約はともあれ実質に応じて使用者責任を負うというのが一番すっきりすると思っているのですが、それは法律家の発想とはずれているんでしょう。

まあ、いずれにしても注目すべき判決が出されたことには違いありません。そのうち判決文もアップされるでしょうから、その段階でまた詳しいコメントを。

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就職氷河期世代のきわどさ

総合研究開発機構から、『就職氷河期世代のきわどさ―高まる雇用リスクにどう対応すべきか』と題する報告書が昨日出されました。

http://www.nira.or.jp/outgoing/report/entry/n080424_209.html

これは何を措いても読まなければなりません。なぜなら、目次をご覧ください。

I.総論
新たな雇用制度設計を迫る非正規雇用の増加-非正規雇用増加の背景と評価-

II.各論
非正規社員の構造変化とその政策対応 阿部正浩
人事管理からみた若年非正規雇用問題 荻野勝彦
非正規雇用を考える-企業に視点を置いた雇用政策を- 佐野 哲
若年就労問題に対してより強力な取組みを 本田由紀

III.資料編
英国労働党政権における「福祉から雇用へプログラム」
  -若年失業者ニューディールを中心に(ヒアリング配布資料) 藤森克彦
スウェーデンの若年者失業問題 小川晃弘
就職氷河期世代の老後に関するシミュレーション 辻 明子

新聞報道等では、

>70 万人を上回る大規模な将来高齢生活困窮者に対する生活保護費用は累計で約20 兆円-すでにみてきたように現在問題視されている非正規雇用のなかでは、就職氷河期に大量に発生した非正規雇用者の規模の大きさが目立っている。バブルが崩壊する前の非正規雇用者比率、無業者比率とバブル崩壊後に経済状況が悪化した時期に大幅に上昇した比率との差を景気悪化による需要要因と考えて、就職氷河期を通じて需要要因により増加した分の非正規雇用者、無業者の規模を試算すると120 万人程度となる。
新卒段階で正規採用されなかった若年層の正規雇用への転換は難しく、彼らの大部分が低水準の賃金のまま年金対応もできずに高齢化に突入するという前提で生活保護に必要となる追加支出を試算すると約20 兆円程度の規模となり、社会的にも深刻な影響を与える規模となる。

という脅しのところが注目されているようですが、

>非正規雇用から正規雇用への転換のためには、研修や教育などを通じた雇用者の能力向上が必要とされることはいうまでもない。しかし、そのための対応を一方的に雇用者に追わせることは現実的な解決策とはいい難い。日本では未だに外部労働市場は十分発達しておらず、雇用者に対する企業の能力評価の仕組みも整備されていない。
効率的な外部労働市場の整備が急がれるが、そのためには個別の労働の内容とそれに対する報酬の関係を明確化し、公正に評価できるような基準作りが必要となる。さらに、法的な強制力を持つ雇用契約に関する基準設定も必要となると考えられる。現行の制度の下では、ジョブカードのような仕組みを導入しても企業の自主的な判断で非正規雇用から正規雇用への転換を受け入れる可能性は限られている。非正規雇用から正規雇用への転換を実現するためには、ジョブカードなどで一定の資格要件を満たすものについては一定比率での採用を義務づけるなどの措置を伴わない限り実効性は期待できない。

と、かなり強硬な議論も提起しています。これは本田さんの主張のようですね。

>学校教育が就職のみを目標とすることは必ずしも望ましい姿とはいえないが、経済社会環境の変化に対応しながら就職に結びつくような方向へ教育内容を変革していくことは必要である。そのためには受け入れ先である企業側の積極的な関与も必要であり、学校、企業、行政がそれぞれの役割を果たしながら制度変革を行うことが求められる。

この辺もレリバンスですなあ。ここまでは総論ですが、後ろの方の本田さんの労働法制について触れたところはちょっといささかというところがありまして、

>このような事態を改善するためは、個別の労働の中身とそれに対する報酬の対応を可能な限り正当かつ公正なものとするためのルールや基準を明確化することが必要である。具体的には、正社員・非正社員のいずれについても、採用や配属・処遇の決定に際して、個々の仕事の内容や範囲、労働者の能力・貢献に対する評価の方法や賃金の基準について文書等により明示し、労働者側からの個別的・集団的な交渉・協議のプロセスを経て合意を形成した上で実施することを雇用者側に義務付けるべきである。

これは、一歩踏み間違えると、将来起こりうるありとあらゆることをあらかじめ雇用契約に書くことができるはずだから、不完備契約なんかあり得ない、というどこかの大学院大学の方と似た議論になりかねません。実のところ、労働のルールはある程度大まかな集団的なものでしかあり得なくて、むしろ何か揉めたときの解決のルールこそが大事なんです。

労務屋さんこと荻野さんのパートでは、

>世間の一部には「解雇規制の緩和・撤廃」を若年非正規雇用対策として主張する意見があるので、これから検討してみたい。

と、その根拠の薄さを指摘しているところが熟読玩味に値しますが、わたくしには最後のこの一節がなかなか効きました。

>企業の長期存続とそのための人材育成に強い信念を持っているオーナー経営者であれば、あるいは一時的な業績悪化、ひいては赤字に陥っても、技能伝承と人材育成の観点から継続的・安定的に新規採用を行うかもしれない。オーナー経営者であればこそ、リターンを求める投資家は存在せず、業績悪化に対して外部から責任を問われることもないからだ(もっとも、メインバンクの深い理解は必要だろうが)。
しかし、現実の多くの企業にとっては、ことはそう簡単ではない。短期のリターンのみに強い関心を持つ投資家が強い発言力を持つ企業では、目先の利益のために人材育成を犠牲にせざるを得ない場面もあるかもしれない。もちろん、経営の規律を失って放漫に陥ることもあってはならないわけで、経営者としても難しい舵取りを迫られるところだろう。
逆にいえば、経営者が業績と人材育成のバランスを取りやすいような会社制度のあり方というのも、考えられてもいい課題なのかもしれない。

このブログでも何回か触れたコーポレートガバナンスと労働の関係ですね。

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ユースポリシー2008

昨日新聞記事で紹介した公明党のユースポリシー2008ですが、公明党HPのここにありました。

http://www.komei.or.jp/youth_site/temp/youthpolicy2008.pdf

ここでの話に関係ありそうな項目は、

>4.未来の人材づくり

(教育環境の充実)

・ 教育関連予算をより一層拡充します!
→大学の入学金準備をはじめ、教育費の負担が家計に重くのしかかっています。意欲と能力のある学生に家庭の経済状況による教育格差を生まないため、入学一時金等の奨学金制度などの教育関連予算を一層拡充していきます。

・ 大学院生の学費、生活費を支援充実させます!
→ロースクールや今年度からスタートした教職大学院をはじめ、大学院の重要性が高まっています。意欲や能力さえあれば、誰でも学べるように、学費や生活費支援を拡充します。

>(職業教育・プロフェッショナルの育成)
・ 学校教育における職業能力開発教育を強化します!
→学校教育が雇用保障に結びつきにくい状況を改善します。大学・専門学校等で職業能力形成に役立つ「実践型教育プログラム」を充実・普及させます。

例の「職業レリバンス」はこれですな。

ただ、これが逆にいうと大学でブンガクやテツガクやってるようなセンセにとってはますます肩身が狭くなるという副次的効果をもたらすことも念頭においておく必要があります。経済財政諮問会議の専門調査会でもちらりと申し上げたことですが、

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/15/work-s.pdf

>いずれにしても、日本のような大衆高等教育社会において、高等教育レベルの職業的な意義をいかに高めていくかということは、実はそう簡単な話ではないだろう。言うは易しだが、資料1の3頁で括弧書きにしたが、大学教員の労働市場に大きな影響を与えることになる。文部行政が今まで学術中心型の教育の拡大を行ってきて、そのための人材を多数養成し、大学院までどんどん新設してしまった。しかし、今それが大きな問題になっている中で、それすら要らない、むしろもっと実学的な、実務者を連れてきて教える仕組みにしていくべきということにはシンパシーを感じるものの、それを行うと社会的に大騒ぎになる可能性があり、そこまで議論する必要がある。50、60 年代の大学進学率がそれほど高くなかった時代の方が、むしろそういう改革をやり得たはずなのに、そのときにはうまくいかなかった。今の状況でそれをどうするのかを考えると、私は根が実務家なので、想定される多くの大学の先生方の抵抗に耐えてでも実行すべきだというだけの力はあるのかな、という感じを持つ。

まあ、逆にいうと、だからこそ公明党のような庶民感覚の政党にこそそういう蛮勇を振るうような改革ができるのかも知れませんがね。

あとは労働市場関係です。

6.未来の仕事づくり

(若年層の雇用促進)
・ 仕事に就きたい人の就労支援とセーフティネットを整備します!
→過去の職業訓練の内容がわかる「ジョブカード制度」の推進でフリーターを応援。「働くこと」への様々な悩みが相談でき、就労まで支えてくれる「地域若者サポートステーション」を拡充(100ヶ所へ)。ネットカフェ難民等の相談・支援をするセーフティネット対策を強化し
ます。

・ 派遣・パートなどの働き方を見直します!
→劣悪な条件の違法派遣を一掃。正社員と同じ仕事・責任を担うにも関わらず賃金や福利厚生が低いパート社員・派遣社員など非正規労働者の待遇を改善(交通費支給など)します。ライフスタイルに合わせて短時間就労とフルタイム就労を柔軟に移行できる短時間正社員制度など多様な働き方を応援します。

(職場復帰やチャレンジ支援)
・ 育児休業制度の使いやすさを向上させます!
→育児休業制度取得の向上を目指し、育児休業給付金の一括支給や短時間勤務による部分休業にも給付されるよう制度を改正します。

・ 職場復帰のための短時間勤務制度を普及促進します!
→育児休業からの復帰後の柔軟な働き方を可能とするため、一日あたりの労働時間や週当たりの労働日を減らす短時間勤務制度の普及・定着を促進します。

・ スキルアップの機会を拡大します!
→教育訓練給付にかかる自己負担分の後払い制度導入や、公共職業訓練の土日・夜間の開設をめざします。

・ 公務員再チャレンジ試験の対象を拡大します!
→公務員再チャレンジ試験の対象を拡大し、より多くの若者にチャレンジの機会を提供します。

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大阪の社会・労働関係専門図書館の存続を求める会

大阪府の橋本知事が発表した財政再建プロジェクト案で大阪府労働情報総合プラザを7月末で廃止することとされていることに対して、存続を求める運動が始められたようです。

http://rodoshomei.web.fc2.com/

>大阪府知事 橋下 徹様

要望書  

 先般、大阪府財政再建プロジェクト試案が発表されました。同試案によりますと、大阪府が設置し財団法人大阪社会運動協会が運営を受託している大阪府労働情報総合プラザについては廃止、同協会への補助金はゼロになるということでありますが、これは社会・労働分野を専門とする研究者である私たちにとって重大な損失と考えます。

 大阪社会運動協会は1978年の設立以来、『大阪社会労働運動史』(既刊8巻、現在9巻編纂中)の編纂とそのための資料収集に取り組み、集めた資料の専門性の高さについてはいうまでもなく、成果物としての同運動史のレベルの高さは言をまちません。大阪だけではなく、全国は言うに及ばず、遠くイギリスはケンブリッジ大学及びロンドン大学の図書館にも所蔵されている図書であります。

  同協会が2000年より大阪府労働情報総合プラザの運営を受託して以来、人件費の大幅削減を実現し、さらに8年間で利用実績を4倍に上げたという成果も聞き及んでおります(国立国会図書館「びぶろす」平成20年4月号参照)。すなわち、同協会の事業は貴職の政策課題である「財政再建、民間活力の導入」の好個の例として誇るべきものでこそあれ、その成果を全否定するような今回の試案にはまったく納得できません。これでは財政再建に向けたあらゆる努力を無に帰するに等しい暴挙と考えます。

 大阪府労働情報総合プラザと大阪社会運動資料センターは一体のものとして運用されてこそ、その資料の専門性の高さとレファレンス能力の高さを発揮することができます。図書館は文化遺産を次代に残す重要な責務を負い、かつ、専門図書館の価値は「建物と本」をモノとして見るような視点では語れない重要な財産、すなわち専門性の高い「人」を有していることにあります。専門図書館の宝である専門性の高い資料群と、それを使いこなせる人材を活かさずして大阪の再生がありえるでしょうか。しかも、先にも述べたとおり、貴職が掲げられている財政再建と民間活用という好個の例である大阪府労働情報総合プラザと大阪社会運動資料センターが、まさにその財政再建という旗印の下に運営の危機に陥るとすれば、なんとも皮肉な結果と言わざるをえません。

 大阪府労働情報総合プラザは中小企業の労務担当者及び社会保険労務士の利用が非常に多いことから鑑みても、中小企業の町大阪の福利に役立つ施設であることもまた明らかです。

 関西において社会労働関係専門図書館としての両図書館の所蔵資料の量と質は群を抜いており、大阪府労働情報総合プラザが廃止されると、研究・教育活動に大きな支障をきたします。大阪府の危機的財政状況については存じておりますが、私たち社会・労働関係の研究者にとって資料の宝庫である大阪社会運動資料センター及び大阪府労働情報総合プラザの存続を願い、しかるべき予算措置をとられることを貴職に切に要望するものであります。

これがどれくらいの意味のあるものなのか、東京にいるとよく判らないところもありますが、

>大阪社会運動協会の資料を含む大阪府労働情報総合プラザは、関西における随一の人事労務管理、労使関係の専門図書室です。関東には、労働政策研究・研修機構や法政大学大原社会問題研究所、東京都労働資料センターなどに専門図書室がありますが、関西でそれに比肩できるのは、唯一この専門図書室しかありません。(京都大学大学院経済学研究科 教授 久本憲夫)

というくらいの値打ちのある機関のようです。

日本の産業化の最前線を担って来た大阪から労働・社会問題の専門図書館をなくしてしまうのはもったいないといわざるを得ませんね。

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「労働は神聖である」岩波茂雄

Acd0804250303000p1 別に、皮肉でも何でもなく、産経新聞で岩波茂雄の書いた「労働は神聖である」という言葉を紹介しています。

http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080425/acd0804250303000-n1.htm

>長野県の農家の長男に生まれた茂雄は1913(大正2)年、東京・神保町で岩波書店を創業した。社のマークは働く姿を描いたミレーの「種をまく人」をイメージしたもの。この言葉をモットーに晴耕雨読を好んだ。昭和21年4月25日没。

まあ、しかし、正論欄を見ていても判るように、ネオリベ、リバタリアンとともに、むしろ右派コミュニタリアンも産経文化人の重要な一翼ですから、この言葉に共感を感じる土壌はあるのだと思われます。

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教員の超勤100時間超 京都市に55万円の支払い命令

産経から興味深い記事、

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080423/trl0804232310011-n1.htm

残業代は既にエグゼンプトになっている教師ですが、だからといって過度な長時間労働をさせると、こういう判決が出てくることもありますので、気をつけましょう。

>違法な残業を行わせたうえ健康保持のための安全配慮義務を怠ったとして、京都市立小、中学校の教員ら9人が市に総額約3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。中村哲裁判長(異動のため辻本利雄裁判長が代読)は、残業そのものの違法性は認めなかったものの、残業が月100時間を超えた教員について「勤務が過重にならないよう管理する安全配慮義務を怠った」として、市に55万円の支払いを命じた。

残業は違法じゃないけれども、やらせすぎると安全配慮義務が出てくるというわけです。これは民間企業の人事の人だったら常識ですが、教育界の方々にとっては(医療界の方々と同じように)あまり想像したこともなかったことかも知れませんね。

> 判決によると、原告側は授業の準備や部活動の指導などで月に約67~108時間の超勤があったと指摘。「教職員の残業を原則禁止する給特法に違反する」と主張し、慰謝料や未払いの賃金の支払いを求めた。

 判決で中村裁判長は残業について「自発的、自主的な側面がみられる」として違法性は認めなかったが、「市は教員が心身の健康を損なうことがないよう、勤務時間を管理する義務がある」と指摘。残業が月100時間超と、原告で最長だった中学校教員(47)について「校長は時間外勤務が極めて長時間に及んでいたと認識、予見できたのに改善措置を取らなかった」として安全配慮義務違反を認定した。

興味深いのは、少なくともこの記事だけからは、残業月100時間超の人も、特段倒れたりとかしていないようなのに、改善措置をとらなかったということで安全配慮義務違反を認めているらしいところです。

安全配慮義務は事実上結果責任じゃないかという批判も一部にありますが、そうじゃない傾向が現れてきたのかも知れません。ま、判決文を見ていないので、これ以上立ち入ったコメントはやめときますが。

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公明党のユースポリシー2008

一方、与党の公明党は、「ユースポリシー2008」と題して、若者政策を発表したようです。

http://www.asahi.com/politics/update/0423/TKY200804230267.html

>公明党は23日、20~30代をターゲットにした政策「ユースポリシー2008」を公表した。内閣官房に青年担当庁を新設し、青年担当相を置いて若年層が抱える問題に取り組むことが柱。次期衆院選のマニフェスト(政権公約)にも反映させ、この世代への浸透を図る。

 パート労働者の正社員なみの処遇、学校教育への職業訓練導入の普及促進なども盛り込んだ。積極的な社会参加を促すため、選挙権年齢の引き下げやインターネット選挙の解禁も掲げた。

興味深いのは「学校教育への職業訓練導入」ですね。職業レリバンス推進政策ということですか。

現時点ではまだ公明党のHPに載っていないようなので、詳細は判りませんが、興味深いところです。

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民主党の労働者派遣法改正案

昨日、民主党の「次の内閣」で、労働者派遣法の改正案とそれを含む非正規雇用対策が了承されたということです。

http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=13148

法案要綱はこれで、

http://www.dpj.or.jp/news/files/080423yoko.pdf

その骨子は、

>(1) 短期派遣→規制強化

(2) 日雇い派遣→禁止

(3) 派遣先と派遣元→共同雇用責任。派遣先の責任を強化

(4) 情報公開→契約料金、派遣労働者の賃金、マージン比率、派遣期間、教育訓練、社会・労働保険の加入状況とその保険料等

(5) 専(もっぱ)ら派遣→禁止規定の拡大

(6) 均等待遇原則の徹底

ということです。

均等待遇のところの条文は、

>労働者派遣をし、又は労働者派遣の役務の提供を受ける場合においては、労働者の就業形態にかかわらず、就業の実態に応じ、均等な待遇の確保が図られるべきものとすること。

と、なんだか変な日本語になっています。「労働者派遣をし」、「役務の提供を受ける」のはそれぞれ派遣元会社、派遣先会社のはずですから、それらが主語であれば、「均等な待遇を図る」と能動態でなくてはおかしいでしょう。「均等な待遇が図られる」と受動態で書くのであれば、その主語は派遣労働者でなければならないでしょう。まあ、労働契約法の国会修正みたいなもので、その辺が曖昧なところがいいのかも知れませんが。

日雇い派遣禁止のところは、

>派遣労働者に係る雇用契約は、期間の定めのないもの又は二月を超える期間の定めのあるものでなければならないものとすること。

やっぱり、どうして、派遣労働者に係らない雇用契約は、2ヶ月未満の期間や1日でもいいのか、どういう弊害の違いがあるのか、よく判りません。日雇いで働きたい人は山谷や釜が崎に行きなさい、そうすれば日雇い派遣みたいなひどい目に遭うことはないですよ、とでもいうんですかね。そっちの方がよっぽどアブナイように思いますが。

非正規労働対策は

http://www.dpj.or.jp/news/files/080423koyo.pdf

(参考)本ブログの過去エントリー

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_18a8.html(民主党が日雇い派遣禁止法案を提出?)

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新雇用戦略

昨日の経済財政諮問会議で、厚生労働省が提出した新雇用戦略が了承されました。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0423/interview.html

厚労省の資料はこれですが、

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0423/item4.pdf

数値目標が入って、若者は3年間で100万人の正規雇用化、女性は3年間で最大20万人の就業増、高齢者は3年間で100万人の就業増ということになっています。

有識者資料の方にはこの数値目標とともに、保育サービスの規制緩和などが要求されています。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0423/item5.pdf

大田大臣の説明:

>それから、次の「新雇用戦略」について、まず舛添大臣から、この「新雇用戦略」の御紹介がありました。舛添プランですね。フリーターを3年間で100万人正社員化すると。それから、女性の25から44歳、ちょうどM字型の底になるところですけれども、ここで20万人雇用を増やし、60代前半の高齢者で100万人雇用を増やすという発表がありました。それから、民間議員から、ぜひこれを進めるべきだという提案がありました。
 次のような発言がありました。
 この新雇用戦略の趣旨は、やはりこれから日本の潜在成長率の低下を食いとめるということが大事であって、その観点から言うと、この新雇用戦略ももちろん必要だけれども、海外からの労働力を積極的に受け入れるのかどうか、長期的な視野で考えていくタイミングに来ているのではないかという発言がありました。
 それから、別の民間議員から、この税と社会保障の議論は制度の問題をきっちりやっていきませんと、例えば103万円の壁とか130万円の壁というのがあるわけですね。ここを100万円前後を超えないようにという、結構大変な動きをしているわけで、有能な女性を社会として使いこなすことができないと。日本だけがM字カーブになっているわけで、この税の問題は早急に取り組んでいく必要があると。
 それから、上川大臣から、子供の視点という意味で、働くお母さんを持つ子供という視点があるし、もう一つ、社会人になるまでの子供の育つ過程ということを重視しなきゃいけないと。これが労働の質にもつながってくるわけで、福祉、教育、労働の縦割りの中で漏れていくところがないように、横断的、包括的に子供の成長を見ていくということが、人間力の形成に大事であると。
 それから、舛添大臣から、ヨーロッパでドイツ、フランス、イタリア、そういうところで外国人労働者の問題も研究してこられたようで、労働力の核という視点だけでとらえてはいけないと。やはりヨーロッパでは外国人労働者の子供たちが苦しんでいると。このソーシャルコストというものを考えなくてはいけない。専門的、技術的な人はいいけれども、単純労働力というのは問題だと。そういう意味で、介護労働者の問題も、このソーシャルコストをどうするかということを考えていかなくてはいけないと。
 それから、額賀大臣からは、アンケート調査の御紹介がありました。今、研修生のような形で雇われていても、技能研修とか、そういう形で雇われていても、雇っている側は必ずしもそういう形ではない、趣旨と違う雇い方をしている場合もあって、そういうことも含めて、きちんとルール、制度を整備していかなくてはいけないと。
 それから、民間議員から、この外国人労働力の問題ですが、訓練や教育をしっかりして、どういう政策をとっていくかを考えるべきだと。
 別の民間議員から、高度な技能者というのも、やはり人材が不足していると。それから、留学生が国内に来て、そこで長く日本で勤められるようにしていくということを考えなくてはいけないという御発言がありました。
 それから、これは甘利大臣ですが、日本は賃金を上げながら、国際競争力をつけていくということが大事で、高付加価値化に資する人材かどうかというのを重視しながら考えるべきだという発言がありました。
 以上のような議論の後で、総理から次のような御発言がありました。
 「新雇用戦略」では、今日示された案に沿って、この3年間に若者、女性、高齢者、障害者などすべての人が働きやすい、全員参加の経済を実現すべく、政府を挙げて取り組んでいくと。その際、今日示された2010年の目標が確実に達成できるように、政府を挙げて取り組むとともに、地方、経済界、労働界など関係するすべての方々に、この戦略の実現に向けて参画していただくことが必要だと。今後、舛添大臣、上川大臣には、今日の議論を踏まえて、実現への具体的取り組みを詰めてほしいと。

なぜか外国人の話が話題になっているようですが、これは財務省の資料で「外国人の活用」という項目が入っていたからでしょう。厚労省の資料では若者、女性、高齢者の次の4つめは「障害者等ー福祉から雇用へ」なので、関心のありかの違いがよく判ります。

外国人問題については舛添大臣の「労働力の核という視点だけでとらえてはいけないと。やはりヨーロッパでは外国人労働者の子供たちが苦しんでいると。このソーシャルコストというものを考えなくてはいけない。専門的、技術的な人はいいけれども、単純労働力というのは問題」というのが、きちんと問題を踏まえた発言ですね。

この点については、私は見ていないのですが、最近のサンデープロジェクトで、中川秀直氏と坂中英徳氏が1000万人の外国人移民を導入せよとぶち挙げたとかいう話も之有り、をいをい、その1000万人をちゃんと日本人とまったく差別なく扱うだけの用意は万端調えるお積もりなんでせうね、と思わずいいたくなります。

http://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/

>大胆提言!移民受け入れが少子化日本を救う!
1000万人移民で「上げ潮」ニッポン


日本は人口減少社会に突入した。

日本の人口は2004年の1億2800万人をピークに減少が始まり、
このままだと100年後には現在の3分の1にまで減ると予想されている。
この問題が深刻なのは、出生率の低下はすでに30年以上前から始まっており、
もし少子化対策が進んで今後出生率が劇的に回復したとしても、
しばらくは働き盛りの世代の人口が減り続けるということだ。
つまり、日本社会にとって、労働力人口の減少は、待ったなしの問題なのである。
では、どうするのか?

今回のサンプロでは、
人口が減り続ける今後の日本は、国をオープンにして、
外国から移民を多数受け入れて、多民族国家として経済成長を目指すべきだと大胆な提言をしている中川秀直氏と、
人口危機を乗り越えるためには今後50年間で1000万人の移民を
受け入れるべきだと主張する坂中英徳氏を招いて、日本の将来像を探る。

人口の1割を外国人が占める「多民族国家」ニッポンが果たして実現するのか?
大胆提言だ!



≪出演≫
中川 秀直(自民党元幹事長) 
坂中 英徳(外国人政策研究所)

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荻野進介氏の城繁幸著書評

日経ビジネスオンラインで、リクルートワークスの荻野進介氏が、城繁幸氏の『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』を書評しています。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080422/153926/

荻野氏は、「Works」誌での私のインタビュー記事を書かれた方なので、興味深く読みました。はじめの方は、定例通り、内容の紹介なのですが、最後の一節がいささか辛口です。

>こうしたルポの合間で、著者は、昭和的価値観の源泉、日本企業に色濃く残る年功序列制度を激しく批判する。仕事内容によって賃金が決まり、実力によって昇進が決まるべきなのに、年齢や勤続年数が基準になるから、若者が雑巾がけをさせられる期間が長くなる。キャリア意識に目覚めた優秀な若者ほど見切りをつけてしまう、というわけである。

 年功序列を止めるために、職務給の導入を著者は主張するのだが、あまり現実的とは思えない。職務給とは仕事の中身によって決まる賃金である。例えばファーストフードやコンビニの店員といった非正規社員がそうだ。接客という仕事に時給単位で値段がついている。マニュアルがあるような、こういう定型的な仕事には職務給がうまく機能する。

 ところがこれを一般のホワイトカラーにあてはめて考えると、ことはそう簡単に行かない。部長や課長といっても、こなしている仕事は千差万別である。仕事の中身を細かく見て行き、それに応じた値段をつけるには膨大な作業が必要だ。異動の多い企業では、頻繁に改定しなければならず、そのための手間も計り知れない。

 また歴史的に見ても、1950年代に、当時の先進的な大手企業数社が競って職務給の導入を試みたが、どれも失敗している。著者は「官僚にこそ導入すべき」と説くが、実は戦争直後、アメリカの影響下で、実質上の職務給に近い職階制度を入れている。が、運用は形骸化。まず仕事ありきで、そこに人がつく欧米と違って、人がいて、その人次第で、仕事の中身が柔軟に変わるのが日本なのだ。

 働く人といえば男性の正社員を指し、新卒で入った会社に定年まで勤め上げることが正しい生き方だ、という価値観を捨て去り、雇用形態や性別・年齢を問わず、多様な働き方の実現を、という著者の主張には賛成する。しかし、それを目指すための職務給化は劇薬過ぎるのではないだろうか。

このあたりは、私が力説したこととほぼ同じです。

> 著者がいうほど昭和的価値観と平成的価値観は截然と分けられるものでもなく、いいところ、まだら模様。その結果、本書で取り上げられたようなアウトサイダーたちは、いつまでもアウトサイダーのままかもしれない。そんな気もしている。

ちなみに、「Works」誌の私のインタビュー記事はこれです。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/recruitworksjingi.html

http://www.works-i.com/flow/works/contents87.html

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EUの新差別禁止指令は障害者だけに?

>Commission to scale down anti-discrimination proposal

EurActiv.comによると、雇用以外の差別禁止指令案を提出しようと考えていた欧州委員会は、保守派の国の圧力により、対象者を障害者だけにする方向のようです。

http://www.euractiv.com/en/socialeurope/commission-scale-anti-discrimination-proposal/article-171843

>Due to resistance from conservative member states, the Commission is likely to backtrack on its plans for an anti-discrimination directive, proposing only to offer protection against discrimination on disability grounds.

Other forms of discrimination on the grounds of sexual orientation, age, religion or belief will be covered only by recommendations to member states.

Those familiar with the process say that the Commission's retreat is due to pressure from Conservative member states - and namely Poland - which seem to have difficulty accepting legislation against discrimination on the grounds of homosexuality or non-Christian religious beliefs.

In order to become law throughout the EU, a directive on anti-discrimination would require unanimity in the Council.

人種・民族については既に2000年の指令で、雇用以外の分野についても差別が禁止されていますが、それを性的志向、年齢、、障害、宗教及び信条にも拡大しようというのが欧州委員会の意図でした。

私の観点からすると、雇用以外の年齢差別って何を禁止するの?何歳から何歳までは義務教育というのも年齢差別じゃないの?何歳から年金貰えるってのも年齢差別じゃないの?あんまり形式的に進めない方がいいんじゃない?と思ってましたが、問題が起こったのはそっち方面じゃなかったようです。

記事で具体的に名前が挙がっているのはポーランドですが、ホモセクシュアルや非キリスト教徒を差別してどこが悪い!ということのようですな。これは、結構機微に触れる話なので、通すのは無理と判断したわけです。

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介護職員賃金アップ法案 自民・民主が修正協議

1月に民主党が介護労働者人材確保法案を国会に提出したということはこのブログでもお伝えしましたが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_bdea.html

産経によると、自民党がこの法案の修正協議に応じていたようです。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080419/stt0804191801002-n1.htm

>介護職員の賃金を引き上げるため、民主党が議員立法で提出した「介護労働者人材確保特別措置法案」をめぐり、これに反対していた自民党が修正協議に応じていたことが分かった。

 法案は地域、サービス内容別に平均的な賃金水準を定め、基準を上回る「認定事業所」の介護報酬を3%加算し、事業主には介護職員の労働条件を改善する努力規定を課す内容。認定された事業所は、職員賃金を月額2万円程度引き上げる。財源は事業所の自己負担や保険料の引き上げとならないよう税金でまかなう考えで、実施には約900億円を要するという。

 修正案は賃上げ案について具体的に明記しないこととし、職員の待遇改善措置を来年4月までにとることを政府に義務付ける方向だが、自民、民主両党とも異論が残っており、なお調整が必要とされる。

 今月9日から衆院厚生労働委員会で始まった法案審議で、与党側は「財源の裏付けがない」「他の低賃金労働者との間で不平等になる」などと民主党提案を批判し、正面から議論する考えはなかった。

 しかし、舛添要一厚生労働相が「来年度は介護報酬を上げたい」と明言するなど政府・与党内に介護職員の賃上げに賛同する声が広がったほか、後期高齢者医療制度の導入に対し高齢者を中心に政府への批判が集まった。こうした情勢から、介護職員の待遇改善に前向きに取り組む必要があると判断し、自民党も修正協議に応じることにした。

ということは、正面から介護報酬の引き上げで対処するという決意を固めたということなんでしょうか。「職員の待遇改善措置を来年4月までにとることを政府に義務付ける」というのが具体的にどういうことを意図しているのかよく判らないところもありますが、。

いずれにしても、介護労働者の待遇改善というのは大きな政策テーマになってきたようで、

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/s0418-2.html

職業安定局でも、「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」というのを設置して議論を始めたようです。既に18日に1回目が開かれ、今週金曜日の2回目には業界団体ヒアリング等が予定されているようです。

これによると担当は雇用政策課で、これまで担当していた需給調整事業課から替わったようです。もともと、介護労働問題を需給調整事業課で担当していたのは、昔の看護婦家政婦紹介所の関係で一種の業界担当みたいな感じだったからですが(1992年の介護雇用管理改善法の時には、介護業務を派遣のポジティブリストに入れようという思惑もあり、当時の厚生省との間でドンパチやったという経緯もあったりするんですが)、やはりこういう問題になってくると業界レベルの話というわけにはいかないのでしょう。ミクロな労働条件改善とマクロな労働力確保を政策的に進めるという話になると、雇用政策課の出番ということになるんですかね。

そういえば、派遣のマージン率みたいに、介護サービス業界でも介護報酬のうちどれだけを介護労働者の賃金に回しているのかを明らかにさせろ、みたいな話もあるようですね。引き続き要注目です。

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3回目の石水白書

石水喜夫氏が労働経済調査官に就任してから3回目の労働経済白書は、「労働者の「やりがい」低下を問題視」だそうです。

http://www.asahi.com/life/update/0423/TKY200804220351.html

>もっと働きがいのある社会を――。厚生労働省の08年版「労働経済の分析」(労働経済白書)が、非正規雇用の増加や賃金の低迷により労働者の「やりがい」が低下している問題を指摘していることが22日、わかった。雇用の安定化が働きがいを高め、生産性も伸ばすと提言している。

 この日、自民党の雇用・生活調査会と厚生労働部会の合同会議で骨子案が示された。

 骨子案は、内閣府の調査で「仕事のやりがい」に満足している人の割合が81年の31.9%から05年は16.6%に低下したと指摘。「失業の不安なく働ける」と感じる人も34.4%から14.8%へ低下したとして、背景には、派遣やパートなどの非正規労働者が同じ期間に約3倍に増えたことがあると分析する。

 非正規労働者の増加は「企業にとってコスト削減が主目的で、労働者の希望に応じた柔軟な就業形態を用意するという認識は低い」と批判し、新卒者の計画的採用と育成を怠った面もあると指摘。安定的な雇用を増やすことの重要性を強調している。

ただ仕事があればいいというわけではない、「いい仕事」でなければならない、というわけです。

ただし、1981年頃の「いい仕事」がいま現在の男女労働者たちにとってそのままいい仕事であるというわけでもない、というところも重要でしょう。

このあたり、どういう風に記述されているか注目していきたいと思います。

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ご自分の診療報酬は大事だが・・・

「医師に労基法はそぐわない」と断言された久坂部羊氏、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_6cc3.html

> 医師に労基法を適用して、臨床研修制度が大きな矛盾を抱えたことは記憶に新しい。研修医に30万円程度の給料を保障したため、指導医のほうが安月給になったり、週末や当直明けを休みにしたため、研修医の一部が、医師のありようを学ぶ前に、休暇の権利を覚えたりするようになった。

 医師の勤務が労基法に違反している云々(うんぬん)などは、現場の医師にとっては寝言に等しい。医師の激務や待遇の改善は必要だが、今さら労基法を当てにする者など、まずいないだろう。万一、医師が労基法の適用を求めだしたら、現場はたいへんな混乱になる。

今度はご自分の勤める在宅医療専門のクリニックの関連の診療報酬が引き下げられたと大変お怒りのご様子です。産経のコラム「断」

http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080420/acd0804200244001-n1.htm

>平成20年度の診療報酬改定が発表された。私は在宅医療専門のクリニックに勤めているので、その関連の項目に着目したが、改定の内容を見て驚いた。

 在宅医療には、24時間対応を含む総合的な診療の費用として、「総合管理料」という項目がある。いわば1カ月分の基本料である。それが有料老人ホームなどの施設に入っている高齢者の場合、これまでの4200点(4万2000円)から3000点(3万円)に下がっているのだ。

 同様に、特定施設に入所している患者への訪問診療も、1回830点(8300円)から一挙に200点(2000円)に下がっている。こんなバカな値下げ幅があるだろうか。これまでと同じように往診しても、4分の1以下の診療報酬になるのだ。

 政府は社会的入院による医療費削減のため、施設入所者を含む在宅医療の導入を進めてきた。そのため在宅医療が優遇されてきたのは事実だ。しかし、今回のような極端な切り下げをすれば、せっかく根づきかけた在宅医療が、立ち消えになりはしないか。

 今回の切り下げは、施設の入所者が対象で、自宅で在宅医療を受ける患者は除外される。施設の高齢者を多く診ている医師の撤退が危ぶまれる。理由の説明もなく、いきなり診療費を大幅にカットされて、それでも患者を見捨てない立派な医師は、どれだけいるだろうか。

なるほど、一睡もせず36時間連続操業で働く救急医療の現場の医師が労働基準法なぞを持ち出すのは笑止千万で、患者を見捨てるなどとんでもない、過労死するまで働くのが当然だが、在宅医療専門クリニックの医師は診療報酬をカットされたら患者を見捨てるのが自然だ、と。

いやいや、よく判りました。

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公務員の有期雇用

民間部門であれば有期雇用を何回も更新していくと「期間の定めのないのと実質的に異ならない」とか「継続が期待されていた」とかいって、一定の保護が加えられるということがあるわけですが公務員だと「これは雇用じゃなくて任用だ」とかいって、何回更新しても全然期待権を認めてくれない、というのが日本の判例状況であるというのは皆様労働法で勉強することですが、似たようなことはヨーロッパにもあって、民間部門では有期雇用の更新規制がされていても公務員は別よというのが結構あるようです。

ご承知のように、EUの有期労働指令は有期雇用契約の更新について一定の制限を課していますが、これを公務員には適用していなかったアイルランドの法制はEU法違反であると、欧州司法裁判所が判決を下しました。

http://curia.europa.eu/jurisp/cgi-bin/gettext.pl?where=&lang=en&num=79919584C19060268&doc=T&ouvert=T&seance=ARRET

加盟国レベルからすると民間部門と公務員とでは適用法が違うはずということになるのでしょうが、一格上のEUから見れば国レベルの公務員も民間労働者も似たようなものということで、公務員だから適用除外するとEU指令に書いていない以上、当然の判決ではあります。

欧州労連が歓迎のコメント

http://www.etuc.org/a/4879

最近、労使関係分野の裁判では負け気味だっただけに、

Following the very negative rulings in Laval, Viking and Rüffert, the IMPACT judgement is a bit of good news from the ECJ at last!

と、かなり嬉しそうです。

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雇用促進住宅の社会経済的文脈

産経で雇用促進住宅に未だに公務員が入居していると叩かれています。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080421/plc0804210021009-n1.htm

>>厚生労働省所管の独立行政法人「雇用・能力開発機構」が所有する雇用促進住宅に、入居資格のない国家・地方公務員が3月末現在で計124人も入居を続けていることが分かった。住宅には、昨年3月末時点で計302人