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2008年3月 4日 (火)

タイトルが誤解を招きやすい水町先生のインタビュー記事

ダイヤモンドオンラインの辻広さんのコラムに、水町勇一郎先生が登場しています。

http://diamond.jp/series/tsujihiro/10014/

>当コラムで2回にわたって、「正社員の整理解雇を容易にする改革」が必要であると書いた。その主張の理念的背景と方法論を提示してくれたのは、各国の最新の労働法制改革を熟知する若手の労働法、労働経済学者たちだった。その中心人物である水町・東大社科研准教授に、「新しい労働ルールのグランドデザイン」を聞いた。これは要約版であり、全文は2倍以上ある。完全版は来週以降に掲載する予定だ。

――水町さんは、連合総合生活開発研究所(連合総研)で「新しい労働ルールのグランドデザイン策定に向けて~イニシアチヴ2008研究委員会~」の主査を務めておられますね。

水町:はい。メンバーは20代から30代の労働法学者、労働経済学者が中心。外国の労働法制の基礎研究をしっかりと行い、直近の改革についても熟知している若手たちで、政府の審議会にも入っていない、自由に発言できる方がたです。トヨタ自動車の人事担当部長、経団連幹部にも加わってもらっています。

私も一応メンバーなんですが、「20代から30代の労働法学者」ではないですが。

http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no221/houkoku_3.pdf

>――では、遅れている日本の労働法制をどう変えていけばいいのですか。

水町:国は基本ルールだけを決め、具体的なルールやその運用は労使の集団対話に委ねる。そして、その運用が公正に行われたか否か裁判所が事後チェックを行う。例えば、国は、「合理的理由がない限り処遇差別をしてはならない」という基本原則だけを掲げる。労使対話には、正社員だけでなく非正社員、派遣、請負労働者まですべての労働者が参加し、平等とは何かを徹底的に議論し、ルールを作成し、運用に関与するのです。

――日本の労働法制は、正社員に対する法的保護があまりに強い。派遣や業務請負との格差を解消して、「公正」を本当に実現できますか。

水町:正社員の既得権や正社員という枠を見直す動きは、その対話、議論の中で出てくると思います。90年代以降の労働問題は、正社員が日本的雇用システムという枠のなかで守られ、それと非正社員とのバランスが悪くなってしまったことに大きな原因があります。コスト削減圧力が強まっても、正社員は簡単には雇用調整できない。だから、新卒を採らず、まずパート、次には派遣、それが法規制で使い勝手が悪いとなると、今度は業務請負の利用に走り、格差拡大の方向に一直線に向いてしまった。と同時に、枠のなかで守られていると思ってきた正社員が少数化して過剰労働に陥るという状況も生まれてきた。全体としてのバランスが悪いなかで、全体が不幸に陥るという事態になってきた。これはおかしいんじゃないかという議論が起こってくると思います。

――例えば、どのように「公正」が実現されますか。

水町:「公正」のあり方は、それぞれの集団的な対話のなかで決まってくることになります。例えば、正社員の雇用は保護し、非正社員の雇用は流動的にするという企業では、非正社員の雇用が不安定になる分それを補償する手当を出すということも考えられます。

――正社員の雇用調整が容易になり、逆に、非正社員が正社員になりやすくなる、という改革もできますか。

水町:この3月に施行される労働契約法の16条に、解雇は「客観的合理性」と「社会的相当性」がなければ無効であると定められています。このルールをめぐっては、いわゆる「整理解雇の四要件または四要素」という法理が裁判所によって確立されています。しかし、この判例法理が画一的に解釈されすぎると、時代環境や個別事情に対応できない。このルールの解釈・運用の仕方として、労使がそれぞれの企業・職場における雇用のあり方についてどのように考え、どのようなルールを作り、それを公正に運用しながら労使の納得のいく形で雇用調整が行われている場合には、その労使の取り組みを重視する、という法解釈をすることが考えられます。

詳細インタビューは次号以下で、ということなのですが、大体水町先生の意図を適確に伝えていると思われます。タイトルを除けばね。あえていえば「労働ルールは労使の集団対話に」とでもつけるべきところで、わざわざ「正社員のクビを切りやすくする、新たな労働ルールの実現性」などと(ある意味では正しくないわけではないが、それだけが主眼だと誤解されると適当ではない)いう必要はないと思うのですが・・・。

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コメント

今や「正社員のクビ切りを容易にする」というコンセプトに飛びつく人の方が多いはず(そして今後も増えるはず)と読んで、あえてこういうタイトル付けをしていると考えるのが妥当だと思います。
若年層に行けば行くほど非正規雇用が増えているわけですし、正社員の中でも、「何であんなヤツがクビにならないんだ!」と考える人間の方が多数派ですから。

こんなタイトルじゃ世論に潰される!と考えるのは、実は旧世代の考え方なのかもしれませんよ。
労働組合は硬直した既得権益集団、労働者の実際の意見など聞いてもらえないという認識が支配的な中では、「労使の集団対話」の方がうさんくさく聞こえることでしょう。

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