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2008年3月11日 (火)

組合費は使用者に払わせる

デンマークで、たいへん興味深い協定が結ばれたようです。労働組合の組合費をフリンジベネフィットとして使用者に払わせるというもののようです。

http://www.eurofound.europa.eu/eiro/2007/12/articles/dk0712039i.htm

ご承知のように、典型的な北欧モデルのデンマークでは、労働組合の圧倒的な組織率でものごとを決めるので、労働法なんていらない、というお国柄なんですが、かつてはそれを支える仕組みとしてクローズドショップ、つまり組合員でなければ雇用してはいけないという仕組みが有効でした。ところが、それが労働者の働く権利を侵害するとして、欧州人権条約違反と判断され、クローズドショップはとれなくなりました。そうすると、LO以外のいわゆる黄色組合がLO所属組合の5分の1という安い組合費でダンピング攻勢をかけ、LOの組織率が下がってきてしまったのです。ところが、LOが獲得した高い労働条件も、一般的拘束力で黄色組合の組合員にも適用されてしまうので、この状況を何とかしなければならないというのが、LOの課題になっていたのですね。

そこで、発想の転換で、俺たちの組合費をフリンジベネフィットとして使用者に払わせることにしよう、そうすれば黄色組合の比較優位はなくなり、安い組合費に惹かれていた連中もLOに戻ってくるだろう、というわけです。

この協定は企業レベルのものですが、LOとしては今後これを拡大するつもりのようです。

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コメント

これは使用者による組合介入にならないのですか。

「労使の自主的な協定で労働条件が決まるので、労働法による厳格な規制は必要ない」って、これ、日経団連の方とかが理想とする状況じゃないですか

ぶらり庵さんへ:労働者側の組織率が9割近いので、政府が余計な介入をしなくても、労使協定でそれ以上の労働条件が実現してしまう、というのが北欧モデルなんです。それを日本経団連が理想と考えるかどうかはまた別問題です。

でもさんへ:使用者が組合にお金を出すのを支配介入だと称して禁止してるのはアメリカとその影響を受けた日本の法制で、ヨーロッパでは逆に使用者に金を出させるのが組合の実力です。私も最初はびっくりしたんですが、渡欧直後にベルギーの組合に話を聞きに行ったとき、組合の運営費用の5分の4は使用者に出させていると、自慢げに言われました。

>使用者が組合にお金を出すのを支配介入だと称して禁止してるのはアメリカとその影響を受けた日本の法制で・・・

知りませんでした。驚きました。「使用者がお金をだすことは支配介入につながる」というのは、論理必然と理解してましたんで。
目を開かされたと同時に、企業の人事担当者として、なんとなく気持ちが楽になる面もありますね。労使関係の新たな側面を知ったわけですから。

もう、日曜の夜ですので、明日からまたお仕事。で、「仕事モード」にもーどって(もどってないか・・・)、労使関係・組合費ネタを。このブログ開設前でしょうかね、組合費のチェックオフが一時問題になったことがありましたね。組合費の天引きをやめさせる、いわば、組合つぶしの動きだったように記憶していますが。で、あれは、論争だけで終わったのか、実際に何らかの影響があったのか、と、この項目を見ながら気になったぶらり庵でした。組合関係の方で、そこら辺について、何かありましたら・・・。

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