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2008年3月10日 (月)

毎日の社説 on 日雇い派遣

毎日新聞が日雇い派遣を禁止しろという社説を書いています。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080310k0000m070124000c.html

>社説:日雇い派遣 法改正で禁止へ踏み出せ

 日雇い派遣大手のグッドウィルから派遣された男性が昨年12月、荷降ろし作業中に指を骨折した。男性が訴えても同社は労働基準監督署に報告せず、社員は「派遣先にも迷惑がかかるのではないか」と告げたという。報告したのは事故の2カ月後、けがが悪化して男性が自ら労災申請した後だった。

 派遣元の各社から全国の労基署に報告された派遣労働者の労災件数(休業4日以上)は06年に3686件と前年の1.5倍に達し、1日に10件以上も発生した計算だ。そのうえ、グッドウィルのケースのように、発覚を恐れて報告しない労災隠しが派遣業界で横行している疑いがある。

 中でも労働者が派遣会社に登録し、仕事があればその日ごとに雇用される日雇い派遣では、安全対策や安全教育がおろそかになり、労働者は危険にさらされがちだ。加えて極めて不安定な雇用で、派遣先から派遣会社にマージンが支払われる分、労働者の日給は7000円前後と低賃金にならざるを得ない。こうした働き方は仕組みそのものを全面的に見直す必要がある。

 日雇い派遣が広がったのは、労働者派遣法の99年の改正で、それまで専門業種に限定していた派遣対象を原則自由としたためだ。不況下で労働者の賃金を抑え、雇用調整もしやすくしたいという経済界の要望を受けた規制緩和だった。単純労働への派遣が解禁されたことで、派遣会社に登録する登録型派遣が爆発的に増え、登録者は06年度で延べ234万人にも上る。

 しかし、労働者の権利を守るには直接雇用が大原則で、派遣はあくまでも一時的・臨時的にとどまるという制度の趣旨を考えれば、派遣法を99年の改正前に戻し、派遣対象は専門業種に限ることが望ましい。

 あるいは登録型派遣を禁止し、派遣会社は労働者を1日ごとの雇用ではなく常用雇用とする常用型派遣だけを認める仕組みに改める方法もある。いずれにせよ法を改正して日雇い派遣の禁止に踏み切るべきだ。

 厚生労働省も法改正を検討したが、一層の規制緩和を求める経済界の抵抗で今国会での改正を見送った。代わりに日雇い派遣の監督を強化する指針などを策定したが、日雇い派遣が抱える不安定・低賃金・危険という根本問題の解決にはつながらない。学識者で派遣のあり方を議論する厚労省の研究会も発足したが、結論までには時間がかかる。

 ここにきて日雇い派遣の禁止に向け、各党の議論が活発になってきたことは歓迎したい。野党だけでなく、与党の公明党も原則禁止を検討するという。民主党は近く改正案をまとめる方針だが、2カ月以内の派遣契約を認めないとの案が浮上しているようだ。しかし、それだけでは2カ月先の不安定雇用は解消されない。抜本的な見直しを求めたい。

派遣法の在り方については、私なりの考え方もありますが、こういう表層的な議論だけがまかり通ることには、警戒心が必要でしょう。

そもそも「日雇い派遣」の何が悪いのでしょうか。フルキャストやグッドウィルが悪いというのは個別企業の問題です。「日雇い」も「派遣」もそれだけでは禁止されていません。それが組み合わさるとなぜ禁止しなければならないほどの悪さが発生するのか、説得的な論拠は示されていないのです。生活の安定という観点からすれば、直用であれ派遣であれ日雇いは究極の不安定雇用です。そして、我々は今まで、そういう不安定な日雇い就労を何ら制約することなく、存在することを認めてきたのです。

安全対策や安全教育がおろそかになるのは、派遣じゃない日雇い労働者だって同じでしょう。直用であろうが、派遣であろうが、安全衛生はもっぱら就労先、派遣先の責任なのです。派遣が悪いのではなく、派遣労働における責任は全部派遣元に押しつければいいという発想に問題があるのでしょう。

 日雇い就労には、基本的に毎日日雇いで就労して生計を立てているタイプと、別に本業ないし本来の社会的位置(学生等)を持ちながら、その空いた時間にアルバイト的に就労するタイプの2種類があります。後者は、安全衛生や労災補償等の労働者保護が欠けることにならない限り、それ自体として弊害があるとは言えないでしょう。彼らについては、日雇い就労の不安定さは、必ずしも政策的に対応しなければならない社会学的な問題ではありません。これに対して前者は、その雇用の不安定さがまさに社会学的問題であり得る人々ですが、しかしながら我々はそういう日雇い就労を禁止することはせず、特別の雇用保険制度によってその不安定さに対応しようとしてきたのです。これは、日雇い就労が身元を明かすことなく就労できるという意味で、様々な問題を抱える人々にとって、一種のアジール的な機能を果たしてきたこともあるように思われます。

 いずれにしても、日雇い派遣禁止論は単に近視眼的であるだけでなく、法制としての整合性が何ら見当たらないように思われます。

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コメント

濱口先生の愛読者です。新産別運転者労働組合東京地本の書記長をしている太田といいます。
日雇い派遣の禁止、規制強化という流れの中で、私達の組合機関紙に次のように書きました。
読んで頂ければ幸です。


暴利を貪る派遣会社の日雇い派遣を廃止し、労働組合による労供事業の拡大を!

去る一月十八日、事業停止命令を受け、日雇い派遣大手グッドウィルは、全七〇八事業所で派遣事業を停止した。当初問題になっていたのは、只でさえ高い事業経費というピンハネに加えた賃金からの二百円搾取だった。その後明らかになったのは、派遣法で禁止されている港湾、建設への派遣に加え二重派遣を続け、労働局から再三再四違法性を指摘されていたにも拘らず、企業責任の社会労働保険も負担せず、労働者を無権利、低賃金で働かせ、暴利を貪り続けたのだ。これでは、職安法が禁止する労働者供給事業の形を変えたタコ部屋、強制労働ではないか。
同社に登録している日雇い派遣スタッフは三万~五万人とも言う。既にグッドウイルユニオンは、同社に対して、職を失う恐れのある派遣労働者からは休業補償を求める闘いに取り組んでいる。
こうした中で、日雇い派遣に対する法的規制強化や派遣そのものの禁止を求める動きが連合を初めとする労働運動から各政党まで大きく広がっている。
しかし、日々雇用を原則とした労供事業に五十年近く取り組んできたわれわれとしては、派遣会社への責任追及と法改正だけに留まることは許されない。
日雇い派遣への風当たりを絶好の機会として捉え、労働組合による労供事業と供給派遣への追い風にしなければいけない。
特に東京の場合、日雇い派遣の急増が、派遣法の規制緩和と相俟って日々雇用の受け皿となってきた職安労働出張所の相次ぐ廃止による結果である以上、職安と手を携えてきたわれわれ労供組合の出番ですよという声を上げ、大いにアピールしていくべきだ。
この間、グッドウイルの派遣契約について労供労組協は、供給派遣事業体スタッフフォーラムで引き受けて日雇い派遣ではなく、常用派遣契約での就労に切り替える取り組みをしている。
われわれとしては、それに引き続いて、日雇い労働の需要に対する供給派遣事業体タブレットへの切り替えをもめざしていきたい。
更に、連合「ワークネット」など、労働組合が作った派遣事業体同士の連携活動を強化し、展開することが、多くの非正規労働者を組織する道につながるだろう。こうした確信と誇りを持って組織化と労供活動を強化していこう。


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