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2008年2月21日 (木)

グッドウィルが労災隠し

朝日の記事で、

http://www.asahi.com/national/update/0220/TKY200802200433.html

>日雇い派遣大手グッドウィルが、昨年12月に宮崎県都城市で起きた労災事故を労働基準監督署に適切に報告しない「労災隠し」をしていたことがわかった。事故にあった派遣労働者の男性(29)は指の骨が折れる大けがだったが、会社側から労災を隠すよう強要されたと訴えており、都城労基署が調査を始めた。

 男性は昨年12月17日、日本通運の作業現場に派遣され、荷下ろしでコンテナの扉を閉める際に左手薬指を金具に挟み、病院で骨折と診断された。男性によると、グッドウィルの従業員に「労災は使わせない。仕事はできるだろう」といわれ、無理に働かされたという。

 2月にけがが悪化し働けなくなったため、都城労基署に申告した。労働安全衛生法では、労災事故は定期的またはすみやかに届け出る必要があり、意図的に報告しなければ50万円以下の罰金。グッドウィルは今月18日に労基署に報告したが、男性は「会社側は労災隠しの事実を認めようとしない」として労基署に刑事処罰を求めるという。

 グッドウィルでは昨年2月、東京都内での違法派遣で労災事故があり、労基署への報告も不適切だったと発覚。全事業所が2カ月間の事業停止命令を受けた。同社は「今回の労災事故対応については明らかに不適切で反省している」として、関係者を処分する方針だ。

 派遣先の日本通運も「安全管理の責任者が現場におらず、グッドウィルから報告もなかったため労災に気づかなかった」と認めている。

まあ、グッドウィルという名前のバッドウィルな会社ですし、「労災は使わせない。仕事はできるだろう」てのはいかにもひどい話ですから、GW社が批判されるのは当然なんですが、日本通運の「労災に気づかなかった」てのも、(新聞記者はあまり気がついていないみたいですけど)考えてみればとんでもない話なんです。

なぜなら、派遣法上、現場の安全衛生責任は派遣先にあるのであって、派遣元にあるのではない。本件がどんな作業なのか詳細は分かりませんが、コンテナからの荷下ろしの現場に日本通運の人がいなかったわけがない(もしいなかったのなら、それはもはや派遣ではない)。

この辺、やはり派遣先のモラルハザードをきちんと指摘しておかないと、叩かれてる「善意」な会社だから、そっちを叩いておけばいいやろ、というだけでは問題の本質から逸れてしまいます。

そして、ここらあたりにも、安全衛生責任と労災補償責任を派遣先と派遣元に分断してしまった派遣法の立法的問題が顔を覗かせているように思われます。派遣という就労形態において、使用者としての責任をきちんと果たさせるようにするためには、どういう仕組みが必要なのかという議論にこそ、この事件がつながっていくといいんですけれどもね。

世間では、野党だけでなく与党の一部からも、とにかく目につく日雇い派遣を禁止するといった、はっきり言ってポピュリズム的な議論ばかりが出てきて、そういう地道ではあっても本当に意味のある話になっていかない嫌いがあります。困ったもんです

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