今度はフィンランドで
最近、フィンランドモデルとか言って、教育関係者に異常な注目を集めているフィンランドですが、労働関係ではスウェーデンやデンマークと同様の、労働組合の圧倒的な組織率によって労働市場を支配し、公的規制が少ないという北欧モデルの一つです。
それゆえに、EU統合で貧しい中東欧諸国の労働者がやってくると、なかなか難しいことになるという点も共通です。
今度はフィンランドでラヴァル事件みたいなのが発生したようです。今回はポーランドの建設会社。
http://www.eurofound.europa.eu/eiro/2008/01/articles/fi0801039i.htm
>A Finnish construction company has called a halt to work carried out by a Polish subcontractor at the building site of the Helsinki Music Centre, after articles in the press stated that Polish construction workers had been paid less than €2 an hour at the site. The representative trade union in the construction sector had already protested against the Polish building company Ekomel operating as a subcontractor at Finnish building sites.
ラヴァル事件で欧州司法裁判所が労働側に厳しい判決を下したこともあり、EUにとって望ましいモデルであるはずの北欧モデルが、EUの人の自由移動によって崩されていくという大変皮肉な事態が進行していくわけで、悩ましい話なんですね。
こうなってくると、労使の自治に委ねて国家規制をできるだけやらないという北欧モデルから、労使に自治能力がないものだから国家権力がやたらにしゃしゃり出るというフランスモデルに近づいていくしかなくなって、EU全体としては大変困ったことになるわけなんですが・・・。
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フィンランドには公的な最低賃金制度はないということですよね。
で、フランスは、組合の組織率がけっこう低いのに、労働側に有利な法的規制の遵守率(という言葉はないかもしれないですけど)が高いのですね。でも、それは、単に「国家権力による」だけでなくて、フランスの「連帯」的精神風土がかなり寄与しているのではないかと思います。国家権力が強ければいいのだったら、日本だって、けっこう立派な法律と、戦後ほとんど一貫して政府を担ってきた政党もあるのですけども。
投稿: ぶらり庵 | 2008年2月26日 (火) 21時43分