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2008年2月18日 (月)

労働者と使用者は決して対等ではない

先週発売された『東洋経済』2月16日号(特集「雇用漂流」)に掲載された私のインタビュー記事を、次の号が発売されたので、ここにアップしておきます。

>特定の労働者を保護することによって、当の労働者自体にマイナスの影響が出ることはあり得る。保護対象外である労働者との格差を生むというのも、ある程度は正しいだろう。解雇規制に関する判例法理が形成されたのは1970年代。当時は正社員が中心で、パートやアルバイトなどの非正規社員は補助的な労働力だった。正社員の雇用を守るために非正規社員に先にやめてもらうということも、社会的な妥当性はあった。それが90年代以降、非正規社員が著しく増加し、社会状況が変化した。それに見合う形で、正社員の解雇規制を緩和し、非正規との調和を図っていくことは必要だろう。

>それでは、労働者保護が一切不要かといえば、それは違う。労働者が使用者から一方的に「クビだ」といわれることに対して、何らかの保護はあるべきだ。

>ごく単純な労働でない限り、起こりうるすべてを契約に書き尽くすことはできない。その中身が日々決まっていくのが労働契約の特徴だ。そもそも労働者と使用者の立場は対等ではない。こうした現実においては、労使の個別契約ですべて決めるのではなく、問題解決のための集団的、社会的な枠組みが必要だ。

>規制緩和論者には、「その会社が嫌なら辞めて他に転職する」というエグジット(出口)があれば労使関係は対等だ、という考え方が強い。だが、労働力という商品は特殊であり、同じ職場で長く働くことによってその性能が高まっていく。ある会社に継続して勤め、能力が高まった労働者は、いったんエグジットしてしまうと、まったく同じ価格で売ることは非常に困難だ。最終的に転職するにせよ、現在の職場で一定のボイス(意見)を発することが認められるべきだろう。

>労働者派遣については、労働力の需給調整の機能を果たしていることは事実だが、労働者を雇用する会社と使用する会社が分離しているために弊害も多い。特に、登録型の実態は限りなく職業紹介に近いから、派遣先の使用者責任を強化すべきだ。制限期間を超える長期派遣の場合には、自動的に直接雇用とする「みなし」規定を設けることも検討課題になる。

1時間以上にわたるお喋りを編集部の方がまとめられたものなので、自分で書けばちょっと違う書き方になるというところもありますが、おおむね私のいいたいことを的確にまとめていただいています。

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