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新雇用戦略

昨日、経済財政諮問会議に提出された民間議員の新雇用戦略です。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0215/item1.pdf

>「全員参加の経済戦略」の第一弾として、働く意欲のあるすべての人々が年齢や世帯の構成、就業の形態にかかわりなく能力を発揮することを目指し、以下の内容を骨子とする「新雇用戦略」を策定すべきである。

>Ⅰ: 対象別に講ずべき対策

1. 女性= 「新待機児童ゼロ作戦」の策定等 目標: サービスが利用できないために就業を断念することのないよう、2010年代半ばまでに、対象年齢児童の5割程度が子育てサービスを受けられるようにする。 それに向け、2009年度から2011年度までの3か年において、緊急のサービス整備を行う。

2. 若者= ジョブ・カードの全国展開 ① ジョブ・カードの全国展開 目標:2010年代半ばまでに、フリーターを現在(187万人)より50万人以上減少させることを目指し、ジョブ・カードの拡充等を図る。

3. 高齢者= 「70歳現役社会」の実現 目標:団塊世代の能力が定年後も十分活用されるよう、希望者は、 70歳まで安定的に働けるようにする。

なお、これについての太田大臣の会見の中で、次のようなやりとりが紹介されています。

>民間議員から、雇用を増やすということの数値目標を明確に立てて、成長率にしっかりつながるような戦略を立てることが必要だと。
 それから、今日、舛添大臣、渡海大臣においでいただいたのは、保育所と幼稚園の両方の性格を持つ、縦割りを越える認定子ども園というのができたわけですが、なかなか広がっていないという実態。それから、放課後の児童サービスも、それぞれ厚労省、文科省がやっているということがあるわけですけれども、民間議員から、保育・幼稚園、それぞれ厚労省と文科省が異なる施策を講じている。国の一律ではなく、これは地域の実情に応じて地方が裁量性を持ってできるようにすべきだと。
 それから、最低賃金は、遵守状況を厚労省にしっかりとチェックしてほしいという発言がありました。去年、厚労省は、この最低賃金の遵守状況をしっかりとチェックしたわけで、今年も引き続きやってほしいという発言がありました。
 これに対して舛添大臣から、最低賃金改正法で罰則が強化されたということが抑止力になると思うけれども、引き続きチェックしたいという御発言がありました。
 それから、渡海大臣から、この民間議員ペーパーの中に、厚労省、文科省縦割りになっている認定子ども園について、内閣府に一元化したらどうかという話があるわけですけれども、内閣府に移すことでうまくいくのか、実施部隊はどうするのか、今スタートしたばかりなので、やはり改良していくことが大事なのではないかと。それから、学校教育法の中で、幼稚園も教育の場であると位置づけられているわけで、これに保育をどう組み合わせていくのか、しっかりとした議論が必要だと。
 それから、舛添大臣から、この認定子ども園について、一緒にするという試みはよいけれども、福祉という見方からの子ども、それから教育という見方からの子どもというのをよくよく議論しなくてはいけないと。例えば、インフルエンザなどで学級閉鎖するときに、幼稚園までは学級閉鎖できるけれども、保育園というのは閉鎖できないというようなことがあるようで、なかなかそういう問題もあるので、よく議論していく必要があると。
 それから、増田大臣から、やはりそれぞれの地域の現場では、この認定子ども園、あるいは保育所と幼稚園が縦割りになっていることに対して、父母や関係者の不満は非常に強い。認定子ども園という形になっても、根っこが縦割りになっていると、上を足し合わせただけですから、地方では子どもの数が減っているので、お互いに現場では取り合いになってしまっている。父母のニーズに応えるということが大事ではないかと。
 それから、町村官房長官から、文部大臣をしておられるときに、そのときの小泉厚生大臣と、縦割りではなく保育と幼稚園というのを一緒にやっていこうということは、そのときから議論して、先行準備もしたけれども、やはり一緒になれないのは補助率の問題なのですね。保育というのは措置ですから、国費がしっかりと出るけれども、幼稚園というのは教育であって、これは国費は出ないということで、この問題が非常に大きいというような御意見が出ました。
 それから、民間議員から、この保育の分野では、保育に欠ける児童を市町村が認定するという、この措置というのが根源的な問題で、これを利用者の立場に立ったサービスに変えていく必要があると。かつての待機児童ゼロ作戦、今、新・待機児童ゼロ作戦をつくろうとしているわけですが、前の待機児童ゼロ作戦は2万人の待機児童を解消しようとした。これは自治体に登録された子どもであって、潜在的な需要というのは、もっと膨大なものである。このターゲットを大きく広げるには、措置では対応できないので、これを変える必要がある。地方分権委員会と連携して議論していくということが必要だという議論がありました。
 この今、問題になっている措置については、舛添大臣からは、やはり多様な選択肢というのは当然必要だけれども、財源問題が絡んでくるし、それからこういうサービスは「安かろう悪かろう」になってはいけませんから、サービスの質ということも含めて、もう少し議論したいということがありました。
 あと、甘利大臣から、地域の産業振興に適合した職業訓練というのが必要で、今、経産省としても、その観点からの地域人材育成の支援というのに取り組んでいくという発言がありました。
 それから、舛添大臣から、やはり少子化対応は財源をどうしていくのか、それから地方財源についてもどうするのかということを、しっかりと議論しなくてはいけないと。
 額賀大臣からこれに対して、新しい戦略をつくるのはもちろん必要だけれども、その際、既存のものをやはり見直していく。そして、有効な方策をつくる。そして、次世代に負担を先送りしないということが必要ではないかという発言がありました。
 あと、この民間議員の提案の中に、高齢者に関しては柔軟な雇用ルールをつくって取り組んではどうかという提案があるわけですけれども、最近、労働法制が遵守されていないというような問題がいろいろあるので、この高齢者に対する柔軟なルール、あるいは在宅勤務についても、やはりこのルールをしっかりとつくる、その具体的な仕組みを検討することが必要だという意見がありました。
 これに対して民間議員から、あくまで柔軟なルールというのは高齢者を対象にしたもので、高齢者という年齢を区切って弾力化すると。今、高齢者はもともと非常に不安定な状況に置かれていて、嘱託という形で1年更新の雇用になっているので、そこに柔軟なルールを適用して、より安定したよい状態にしていこうというのが趣旨だという発言がありました。
 あと、民間議員から、子育てしている女性の就業率が下がらないようにするという目標が大事だと。M字カーブをつくらないということですね。そのためには、発想を親の側に完全に転換して、預けたいときに子どもを預けられる、3月31日を過ぎても申請できるという安心感が必要で、そのためには措置という制度を大きく変えていく必要があるという御発言がありました。
 それから、最後に民間議員から、就労という点では、新しい成長戦略で、この成長で得られた成果が賃金の引き上げで家計に確実に配分されることが必要だ。それが消費や住宅投資など、安定成長につながっていく。今、春闘の真っ最中だけれども、こういう好循環を確立することが、企業にとってもプラスである。収益の状況、賃上げの状況は企業によって異なるけれども、この認識、つまり好循環が企業にとってもプラスなのだという認識を、経営者も中・長期的な視点に立ってしっかりと共有することが重要であるという発言がありました。
 私から、今日は措置とか認定子ども園については、まだ意見が分かれておりますので、引き続き議論したいということを申し上げました。それから、雇用戦略全体については、今日の議論も踏まえて、舛添大臣に次回、数値目標ですとか改革工程も含めて、いわゆる「舛添プラン」というものをお出しいただきたいというお願いをいたしました。
 総理から、次のような御発言がありました。
 これから日本は人口が減少するけれども、その人口減少の下でも安定した成長を実現していかなければならない。これは大きなチャレンジであるけれども、うまく活用すれば、日本の経済構造をさらに強くするチャンスでもある。こうした観点から「新雇用戦略」は、全員参加の経済戦略を展開していく上で大きな柱となるものであり、女性、若者、高齢者に対するどの政策分野も重要だと。
 総理が、今日、都内の企業内保育所を訪問されたそうで、これはもう理想的にも見えるような保育所なのだけれども、働くお母さんの側からすると、そういう中でもいろいろと問題があるようであるけれども、政府としてもいろいろな取組をしっかりと推進していく必要がある。厚生労働大臣を中心に、新・待機児童ゼロ作戦というのを推進してもらいたい。また、認定子ども園など保育サービスを充実していくことは、生活者の立場に立ってこれを進めることが不可欠なので、舛添大臣、渡海大臣には、役所の縦割りを越えて知恵を出してほしいと。
 それから、今日、民間議員から、経済成長の果実が賃金として国民に還元されるということは重要な課題で、民間議員から今日そういう発言、企業もその方向で努力することが重要だという旨の発言をいただいたことは、大変心強いという発言がありました。

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コメント

職業紹介事業を行っている会社に所属している者です。

ジョブカードはハローワークだけでなく、民間にも協力を仰ぎながら普及させるということらしいのですが、本当に本気でやるつもりなのでしょうか。

厚生労働省の知人によれば、これから民間にも声かけをしていく意向らしいのですが、はっきりいってビジネスにはつながりにくいこの制度、ジョブカードの発行に必要なキャリアコンサルタント資格まで積極的に社員に取らせて協力しようという民間事業者は稀有だと思います。

投稿: tac | 2008年2月17日 (日) 06時51分

ジョブカード:20年度本格実施の制度ですね。法律にもとづかない制度や補助金て、できては消えますが、実効性がどうなのかということがいつも疑問。そして、あの補助金、どこにどう消えたのかな、国民の税金だけど、という疑問だけが残ります。最近の制度では、まだ消えてはいないけど、ニートの「自立塾」でしたっけ、数は少ないは、入れるにはそれなりの金を払わなくてはならないは、それに「塾」の経営もどうなってるのかなー、など疑問はいろいろ。ま、NPOの噛む事業についてはまた別途。税金を使う事業については、本来、国会のチェックがあるべきだろうと思いますが、そこまで行かなくても、最低限、事業・金の使い道に対する「評価」「監査」のシステムが必要でしょう。でも、それは、
http://www.mhlw.go.jp/wp/seisaku/index.html
のような内部的なもの(「有識者会議」にはご意見を聴く、との)ではなくて。

新雇用戦略:リンクの民間議員のお名前をみて「ウッソー!」と驚いたぶらり庵でした。学者さんはともかく、企業経営者でこのような考え方の人のいることは心強いですね。
ただ、一点、ぶらり庵の感想としては、相変わらず、「対象別」のみの支援方法に疑問が。特に、若年、女性、高齢者、全ての層を通じて、現在けっこう強い「起業」「NPO」の志向をどううまくサポートするか、を入れてほしかった。この戦略はどうも既成組織への就労を中心としているように思えるので。なぜか厚労省の白書のページにアップされていませんが、昨年の「働く婦人の実情」の特集は起業でしたし、リッチなリタイアメント層や、お金はないけどアイデアや意欲のある若年層、に、もっと新しい分野、組織を作ってもらって、そこが雇用の源泉にもなる、ということを支援してほしいです。なお、これには、金融の支援が要りますが、それについても、また別途。

投稿: ぶらり庵 | 2008年2月17日 (日) 09時21分

上の「tac」さんのように、実際に職業紹介の仕事で働いている方からみて、じゃ、有効なやり方ってどういうものなんでしょうね。
一時、このブログでも話題になりましたが、職業紹介事業への民間参入。わたしも、当初は、もうけ主義の民間が更に市場を広げるために参入するのはとても疑問と思っていましたが、ハローワークが、求職者に紹介すべき仕事は、求人者から来るのをただ待っているだけなら、営業活動(求人の開拓)もやっている民間が入るのは、「クリームスキミング(高い手数料の取れるおいしいとこどり)」でなければ、官民そろって、失業者を支援するのはいいことではないかと、今は考えています。「求人の開拓」って、社会福祉活動でいえば、「アウトリーチ」の一つで、日本の公務員の活動には、「アウトリーチ」的なものが少な過ぎる、それはもちろん、アウトリーチを担う現場の人員が少な過ぎる、というのがあるんだとは思いますが。

投稿: ぶらり庵 | 2008年2月23日 (土) 07時22分

次は、自分の書いたことへの追加情報。
2月20日朝日の報道で「働く人が出資・共同経営 「労協」法制化へ議連 きょう発足」というのがありました。
連合会長笹森氏が会長である(ややこしいけど)市民会議が行ってきた「労働者協同組合(労協)」法制化の運動を、超党派の議員連盟が応援する、というもののようですが、法制化されると、普通のNPOとどう違うのでしょう。

投稿: ぶらり庵 | 2008年2月23日 (土) 07時30分

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