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2008年2月15日 (金)

日雇供給労働者への失業保険の適用

日雇い派遣と雇用保険の関係について、その後もいろいろ追いかけているんですが、こういう面白い通達がありました。

「労働者供給事業によって就労する日雇労働者に対する失業保険法の適用に関する件」昭和24年11月5日失保発第257号

1,職業安定法第45条によって、労働組合が労働者供給事業を行っている場合、これによって供給されている日雇労働者の失業保険における雇用関係は、供給事業を行っている労働組合に存在するものではなく、直接の使用関係を有する供給先の事業主に存在するものであるから、若しも、供給先の事業主が失業保険の適用事業主であれば、当然その事業主が失業保険印紙の貼付、その他の失業保険法に規定する届出及び報告の義務を有するのである。

2,供給先の事業主に対しては、1による趣旨を十分徹底させ、賃金が供給事業を行う労働組合を通じて支払われる場合であっても、供給先の適用事業主が供給によって就労する個々の労働者の賃金を不明確にし、印紙の貼付等に支障を及ぼすことにないように指導監督をすることが必要である。

ここから分かることは、労働者派遣がそこから抜き取られたもとの概念である労働者供給においては、雇用関係は供給元ではなく供給先との間に存在すると行政では整理されていたということです。そして、その整理に基づき、賃金の支払いが供給元からされていたとしても、失業保険の保険料を支払う責任は供給先にあるとされていたことです。

考えてみれば、供給元を使用者と見なして日雇い失業保険をそのまま適用すれば、前にこのブログでも何回か指摘したような供給元のモラルハザードが発生し、これを防ぐことはほとんど困難です。ちょうど日雇い保険が満額貰えるように、供給をコントロールすればいいわけですから。大変おいしい商売になってしまいます。この通達にはその辺の消息は書かれていませんが、そういう配慮はあったのではないかと想像されます。

ところが、23年前の労働者派遣法は、それまでの労働者供給の中から労働者派遣をとりだしたにもかかわらず、雇用関係は派遣元との間にだけ存在すると整理されてしまい、それゆえ雇用保険の保険料を支払う責任も派遣元にあるとされました。その矛盾が、日雇い派遣にも日雇い雇用保険を適用しなければならないという事態になって、今更のように浮かび上がってきたというべきではないかと思われます。

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コメント

>ところが、23年前の労働者派遣法は、それまでの労働者供給の中から労働者派遣をとりだしたにもかかわらず、雇用関係は派遣先との間にだけ存在すると整理されてしまい、

「派遣元」では?

少し前の朝日新聞ですが(2008.10.18 東京朝刊13面)、2007年秋に厚生労働省が「日雇い雇用保険」の適用を日雇い派遣労働者にも拡大したが、一年経過した現在、保険申請に必要な被保険者手帖を交付されたのが全国で4人、実際に手当をもらったのは1人だけ、との記事がありました。
この制度のどこが問題で、どう変えれば機能する、ということは、記事にはなかったのですが、hamachanのご意見をうかがえれば。

Hamachanの「失業と生活保障の法政策」『季刊労働法』221号(2008年夏季)は拝読しました。
最後が「日雇い派遣労働者の扱い」で、ここで、現行の「派遣元が使用者として失業保険印紙を購入し、日雇派遣労働者に賃金を払うつど日雇労働被保険者手帳に貼付するという仕組みをそのまま用いている」、つまり、労働者派遣法の制度設計により、もっぱら派遣元のみを使用者とする認定方法が、使用者によるモラルハザードが十分可能な形になっている、と指摘しておられます。
労働者側、使用者側、いずれのモラルハザードも回避できる形で、日雇派遣をはじめ、こうした不安定な労働形態の労働者にも雇用保険の適用を拡大するには、どうしたらいいのでしょう。

少し前のおたずねでしたが、その後、ヨーロッパでは、短期の雇用で食いつないでいるような、あるいはそもそもまともな仕事のないような求職者が雇用保険の登録をどうしているのかな、と考えていましたが、実は、これって答えはとても簡単なことだったのですね。
社会保険料を払わないともらえない失業保険とは別建ての、一般財源から(たいてい税金)給付される失業扶助、これは、職安に登録すればもらえるから登録する、という単純な仕組み、ということですね。日本には、この失業扶助がないわけですが。

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