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2008年2月 6日 (水)

民主が高校無償化案

読売の記事です。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080205-OYT1T00672.htm

>民主党が今国会に提出を予定している高校の授業料無償化法案の骨子が5日、明らかになった。

高校、高等専門学校などに通う生徒の家庭に、国が示す授業料の標準額の範囲内で授業料を支給するのが柱。また、子供が私立に通う年収500万円以下の家庭には、標準額の2倍を支給する。同標準額は、今年度は全日制で年間11万8800円(毎月9900円)だった。同党は、関連予算は年間で約4324億円と試算している。

骨子によると、支給対象は、国公私立の高校、高等専門学校、専修学校に通う生徒の家庭などで、全日制は原則3年間。定時制や通信制は4年間まで支給する。事務費を含めて費用は全額、国が負担する。

こういう記事を見ると、すぐ脊髄反射的に、「てめえのガキの面倒くらいてめえでみやがれ、この莫迦」といった反応をする人々が出てくるでしょうが、そういうことを言う人間が、一方で「年功賃金なんて馬鹿げたものはすぐにやめて、成果主義でビシバシやれ」てなことを(本人の意識の内部的には何らの矛盾もなく)平気で言ってしまえているというところが、面白くも悲しいところでもあります。

まさに、年功賃金とは、中高年になって「てめえのガキの面倒くらいてめえでみ」られるように、みんなにそれだけの所得を保証しようとするものですから、そんな「馬鹿げたものはすぐにやめて、成果主義でビシバシ」やることになれば、そこからこぼれ落ちる人々は「てめえのガキの面倒くらいてめえでみ」られなくなってしまうわけです。

論理的には、どっちの選択肢もあり得ます。日本は戦中の賃金統制から終戦直後の労働運動の中で、子供の教育費負担を使用者が支払う賃金負担としてやらせるという方向をとったのですし、欧州諸国はそれを社会的に連帯して負担するという方向をとったわけです。別にどちらかが絶対的に正しいというわけではない。

ただ、その分を賃金でも払わないし、社会的にも手当てしないということは、「そういうてめえの稼ぎでてめえのガキの面倒も見られないような輩はガキなんぞつくらんでええ」と言ってるわけで、それはほっといたって下層階級がぼかすかガキをつくってしまうアメリカみたいな国ではそれなりに合理性を有するでしょうが、日本でも同様に合理的であるかどうかは、頭を冷やして考えてみる必要はあるでしょう。

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コメント

この記事での「アメリカみたいな国」のご発言、ちょっとぎりぎりかな、という感じですが、きちんとした分析にもとづいて、出生率が同じくらいでも、産んでいる層のあり方が、フランスとイギリスではこのように違う、という以下の研究があります。ま、要するに、イギリスでは貧困層が産んでいるのに対し、フランスではどの層の人もそこそこ平均的に、という話です。

黒須 里美 「出生率回復をめぐる政策と意義:イギリスとフランスの比較を中心として」『麗澤大学紀要』第82巻, pp. 59-79; 2006

たしかに、サッチャーさん、ヒラリーさん、メルケルさんなどなどに比べると、セゴレーヌさんが事実婚で子ども4人というのは、目立ちますよね。

ヨーロッパの社会主義をこちらに強制されても困りますね。
日本はむしろアメリカと同じで自由主義・個人主義が合うんじゃないでしょうか? たとえば多くの日本人は労組とか嫌いですし、田舎でも共同で農機具を買わずに個人で所有したがります。住宅もヨーロッパのような共同住宅を嫌い、戸建てを好みます。連帯は向かない気がします。

>>連帯は向かない気がします。

「護送船団方式」「官僚主導」「政官財の鉄の三角形」「談合」「悪平等」などのキーワードに象徴される戦後日本の社会経済システムや,戦中戦前の全体主義などを想起するに,なぜ簡単に「連帯は向かない気がします」と言い切れるのか,相当疑問です。

意見としては分からなくはないですが,相当理由付けしないと説得力がないですよ。

実は、かつての日本のリベサヨさんの口癖は、日本人は集団主義で困ったものだ、欧米みたいに(と、全部いっしょくちゃ!)日本人も個人主義にならなくっちゃあ、てなもんだったわけです。べたべたと職場で連帯する「中間集団全体主義」が諸悪の根源だとかね。

そのおかげかどうかは知りませんが、今や日本人は「アメリカと同じで自由主義・個人主義が合う」「連帯は向かない」とまで言われるようになったのですから、有り難くて涙があふれます。かくして、リベサヨさんの努力で日本人は立派なネオリベになりましたとさ、めでたしめでたし。

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