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2008年2月 6日 (水)

丸尾拓養氏のマクド判決批評

日経BIZPLUSに連載されている丸尾拓養氏の「法的視点から考える人事の現場の問題点」が、例のマクドナルド店長事件の判決を取り上げています。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm

基本的に、適切な批評だと思います。

>「管理監督者」の法律解釈では「経営と一体的立場にある者」という概念が主張され、行政解釈及び下級審判決において踏襲されてきました。

>今回の判決もこの概念を持ち出し、規範を立てあてはめて判断したようです。

>もっとも、裁判所を責めることはできません。裁判所は法律に従って解釈し判断しただけだからです。

というあたりは、経営法曹として堅実なもの言いですし、

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm?p=2

>翻って考えると、労働時間量に応じた割増賃金を支払うことが妥当な労働者は誰かが問われているとも言えます。こうすると、この問題が成果主義賃金の導入と関連していることが明白になります。しかも、その背景には、成果で評価することについての経営者だけでなく労働者のコンセンサスの増加もうかがわれます。

>また、これまでの長期雇用システムでは、早くから管理監督者として割増賃金を支払われなかったとしても、中高年になって厚く処遇されることで、労働者は賃金を取り返しているとも考えられます。つまり、長期決済型の賃金システムでは、定年まで雇用保障され賃金保障されることで、トータルとしては労働に相応した賃金の支払いを受けているのです。このことはサービス残業問題とも共通であり、比較的若年の労働者に割増賃金を支払うことは、中高年になったときに賃金が低くなることにつながる可能性があります。こうした実態があったからこそ、管理監督者の問題には労使双方があえて積極的には触れてきませんでした。

>しかし、賃金制度が変化し、これと関連して長期雇用システムが変容したことで、短期決済型の賃金を求める声が大きくなり、管理監督者に関する法律解釈と実態との乖離(かいり)が現実化してきました。こうした中で、形式的な法律解釈に基づいた裁判紛争が提起されたことで、法的には正しくても現場感覚としては実態に合わないかもしれない判断がなされたのです。

というあたりは、まさに私が一昨年以来書いたり喋ったりしてきたことです。

問題は、本事件の原告は残業代を払えということよりも、長時間労働を強いられたことを主として訴えていたにもかかわらず、裁判官はほとんどそれに注意を払っていない(残業代を払わせるんだからそれでええやないか、というような一節があります)ことなんですが、

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm?p=3

>しかし、労働時間と賃金と健康問題とをそれぞれ切り離して、現実的な対応策を考える時期にきていると思われます。

というところはもっともなんですが、

>残業代を支払わなければ経営者が長時間労働を強いて、その結果として健康を害する労働者が増えるということは、実証されているのでしょうか。現在の過労死や過労自殺のすべてが、サービス残業を原因として起こっているとは必ずしも言い切れないでしょう。このような不幸な事件を起こさないためにも、理念や法解釈をこねるだけでなく、現場の対応が真に求められています。

というのはいささか筋が違いかけているような。別に残業代を払わないから過労死するというようなことはないでしょうが、十分な裁量性もないまま長時間労働を強いられれば(賃金の支払いにかかわらず)過労死の危険性は高まるのではないでしょうか。

>判決文を書かざるを得なかった裁判官が込めたメッセージは、割増賃金を支払えということではなく、このような問題に労使が真摯に向き合うことを求めているのではないでしょうか。

うーーん、判決文を読む限り、裁判官の目は残業代にしか向いていないように見えましたが。

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