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« 後藤田正純氏の「消費者重視」について | トップページ | 障害児の親に対する差別は障害者差別か? »

2008年2月13日 (水)

使用者命令による借金漬け

平成20年01月30日大阪地方裁判所 第22民事部の判決です。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080212135247.pdf

>1 呉服販売業者がその従業員に対し呉服等の自社商品を販売した行為が,従業員の支払能力に照らし過大であり,売上目標の達成のために事実上購入することを強要したものであるとして,公序良俗に反して無効であるとされた事例
2 事業者がその従業員に対して行う割賦販売について,割賦購入あっせん業者に対する抗弁を規定する割賦販売法30条の4の適用を除外する同法30条の6,8条5号の適用が否定され,呉服販売業者がその従業員に対して呉服等の自社商品を販売した行為が公序良俗に反して無効であることをもって,その売買代金の立替払債務の履行を請求する信販会社に対して対抗することができるとされた事例

なんですが、いやあ、奈良松葉という呉服販売会社がその従業員に呉服を無理やり買わせて、ニコス,オリコ,アプラス,セントラルファイナンス、クオークといったクレジット会社に莫大な借金を作らせたという事案です。

いやもちろん、リフレ派の皆さんはじめ市場取引に力関係の強いも弱いも糞もあるかいな、という人々にとっては、会社から借金してこれを買えと言われて断らない労働者の方がアホなんでしょうね。

ついでに、こういうのを見てもやっぱり解雇規制はことごとく当該労働者を過酷な地位に追いやり、不利益をもたらすものだということは「ニュートンの力学法則のようなもの」であり、「権利を強化するほどその保持者の保護になるという考え方は、よほどの特異な前提をとらない限り成り立たない」ものであり、「圧倒的に多くの事象を説明できる原理的ロジックは、学術的に確立している」と仰るんでしょうねえ。

まあ、「原理的ロジック」にかなうものはありませんわな。

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コメント

辞めた方がお得、という状況になんでなってないのか

だからそれが労働契約の特質なんですよ。本件の場合、呉服販売業という特殊技能を生かせる職場があちこちにそううようよあるわけではない。「これは投資だ、損して得取れ」と思ってしまうわけです。そういう発想を勧める「勝ち組さん」もいっぱいいるしね。そうしてどんどんサンクコストがかさんでいく。「やめた方がお得」と思うころには人生の赤字が溜まっている。
この辺の機微が分からない学者先生が単純労務モデルで労働を論じるから困るんですが。

元々そういう特質があるというのは分かるのですが、
元々あるのとわざわざ強化するのは違うと思うのです

>呉服販売業という特殊技能

仮にそれが本当だとすれば、ギルドの出番のようにも

いやなんというかな、和服を借金して買わせるなんてのは論外ですけど、一般論として言えば、労働力という商品は使い込むことによって性能が上がっていくという特性があるので、「若いうちの苦労は金で買ってでもしろ」というのはあながち間違いでもないという面もあるのです。その意味で、「これは投資だ、損して得取れ」というのは、あながちミスリーディングとばかり言えない面もある。
ただ、それがミスリーディングにならない要件は、その投資先の会社が「ほい、ありがとさん。じゃあ、ばいばいね」という裏切り戦略をとらないこと。そこで、そういうやり口をとらせないために解雇規制を強化しなければならない、という話になると、「元々あるのをわざわざ強化する」ということになるわけです。
それを解雇規制という形でやらないならば、「というか」さんの仰るようにギルドシステムで入口規制をするしかない。おそらくそちらの方が、社会全体というしての効率性は下がるように思われます。

> それを解雇規制という形でやらないならば、「というか」さんの仰るようにギルドシステムで入口規制をするしかない。おそらくそちらの方が、社会全体というしての効率性は下がる

そこら辺りの判断が微妙で、ほとんどよく分からないような気がするのです。
契約期間中の解雇は規制するというのは、ある意味で当然だと思うけど。
定年制を敷かせて、それに解雇規制まで加えるとなると、もはや何だか分からないなあ、という感じ。

> 投資先の会社が「ほい、ありがとさん。じゃあ、ばいばいね」という裏切り戦略をとらないこと。そこで、そういうやり口をとらせない

あと、それが向いている方向と言うのは、どっちかというと社内特殊的なものの方になる、という点も気になるところですが。

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